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18-8 だまし合い(2)

 黒の王都制圧から2カ月半後、銀のレーギア

 シーウエイはバラス王から呼び出しを受けていた。 シーウエイは王の執務室で、目の前に座る銀髪の目つきの鋭い男の前に立っていた。

(王は用心深く、猜疑心の強いお方だ。 言葉を間違うと命取りになるぞ) シーアイは緊張した。


 「それで、お前がブラックストーンで商人達から賄賂を受け取り、私腹を肥やしているという報告が上がっているが、どうなんだ」

(そらきた) シーウエイは軽く一呼吸してから話は始めた。

「それは全くのデマです。 バラス様も私がどのような人物かご存知のはずです。 これは緑のレギオンの策略です」

「緑のレギオンだと。 なぜ緑のレギオンが出てくるのだ」

「それは、緑のレギオンが黒の王と通じているからです」

「何だと、証拠はあるのか」

「ありません」

「適当な事を言って、言い逃れするつもりか。 証拠があがっているぞ」 王の近くに立っていた、サムライのギリオンが言った。

(告げ口をしたのはこいつか)


 「そうではありません。 緑のレギオンが黒のレギオンと組んでいるのは間違いありません」

「何故そう言える」

「今の私のこの状況が証拠です。 これは私に罪を着せてブラックストーンの駐屯軍の指揮官から更迭させようという策略です。 今の黒の王は有能な武人ではあったそうですが、策略に長けていたとは聞いておりません。 また集めた情報によると、王の周りには策謀を進言できるような側近もおらぬようです。 それなのに、彼が南部を掌握する手際は実に鮮やかでした。 こちらが手を出す隙を与えないように綿密に計算された行動でした。 策を授けているのは、銀のレギオンのユウキというサムライか、藍のレギオンのスウゲンというサムライに違いありません」


 「つまり、これから戦いを控えて、お前とは戦いたくないと言うことか」

「そうではないでしょう、向こうもそうなれば戦いが楽になるとは考えているでしょうが、成功するとは思っていないでしょう。 恐らく、先日私がユウキというサムライを捕らえた事に対する腹いせ、嫌がらせですね」

「なるほど、ではお前は黒の王との戦いに、緑のレギオンが出てくると見ているのだな」

「はい、必ず」

「どのような展開になると見ている」

「南から黒の王が約5万の兵を率いて王都目指して攻め上がるのに合わせて、緑のレギオンが西から2万前後の兵で攻めて来ると見ています」

「それで、勝てるのか」

「 今の兵力だけでは五分五分かと。 先ほどの展開は基本の動きです。 ですが向こうは更に一ひねりも二ひねりも加えて来るはずです。 現時点ではそれが何か分かりませんが、こちらはそれに対して柔軟に対応するしかありません。 その時に現有兵力だけでは心もとありません」

「分かった、いくら必要だ」

「あと5万ほど」

「いつぶつかる」

「3カ月が目途かと、ですのであと半月後には攻めてくると考えております。 緑の軍は既に動き始めているかと思われます」


 「分かった。 ギリオン、お前が率いてブラックストーンに向え、そしてシーウエイの指揮に従え」

「は、はい。 承知いたしました」 ギリオンは不服そうにシーウエイの顔を睨んだ。

「ありがとうございます」

「必ず勝つのだ。 今後の計画には黒のレギオンは不可欠だ」

「はっ」 シーウエイは頭を下げた。


 「それから、ブラックストーンではレジスタンス活動が活発化しているという報告も上がってきているが、大丈夫なのか」とバラス王。

「奴らは、黒の王が王都に攻め上るタイミングで、蜂起し呼応するつもりです。 今は泳がせておりますが、こちらのネズミを放っておりますので、直前で一網打尽にするつもりです」

「そうか。 ではもう行け」 そう言うと王は、立ち上がり窓から街の風景を見ていた。


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