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17-7 奪還作戦(3)

 翌日の朝、飛竜部隊が砦に到着した。 部隊長のエランは早速3チームを編成すると作戦に詳細を伝えた。 部隊はその後2時間の休息の後、作戦予定地点へ向けて飛空船を飛ばした。 俺達もその飛空船に乗った。 それとは別に、10頭の飛竜が偵察のために飛び立った。 作戦予定地点近くに到着する頃には既に夜になっていた。 これは敵にこちらの姿を発見されないようにするためでもあった。


 第1地点は50名の兵をトウリンが、第2の地点はセシウスが、そして第3の地点はエランが率いることになった。 俺とスウゲン、そして警備班はバックアップとして第2地点の近くで待機することになった。


 その夜にザウフェルから、念話が入った。

「カケル様、ユウキ殿達が通る街道が分かりました。 真ん中のルートです」

「分かりました。 ありがとう」


 俺はスウゲンを密かに野営地から呼び出し、ザウフェルの言葉を伝えた。

「そうですか、分かりました」

「どうしました?」

「何か引っかかるのです。 まだ何か有るはずです」そう言いながら下を向いて考えていたが突然、顔を上げた。


「そうか、分かりました。 3つとも囮です」

「どう言うことですか」

「向こうのサムライは、折角捕まえた小鳥をむざむざ逃がすようなことは絶対に避けたいと考えているはずです。 3つの護送チームのどれかで護送すれば、こちらが3つの奪還チームを送ればどれかには当たる。 それでは100パーセントではない。 だから別のこちらが見逃してしまうような方法で移送するはずです。 カケル様、セシウス殿達に伝えてください。 明日通る人を見落とさないようにと、農夫の野菜を積んだ馬車もです」

「分かりました」


 翌朝から3チームは3つの街道脇に潜み、通過する者がいないか監視を続けた。 飛竜も上空から近づいて来る者がいないか監視していた。


 昼前に、真ん中の街道の第2地点に銀のレギオンの車両が近づいて来た。 戦車を戦闘に、その後に2台のトラックが続いていた。


「いかにもって感じだな」とセシウス。

「如何いたしますか?」 飛竜部隊の隊長が言った。

「スウゲン殿の話だと、あれも囮だと言う話だ。 だが万一と言うこともある。 確かめないわけには行くまい」

「では、行きますか」

「うむ、だがあくまで確認が目的だ。 ユウキ達がいないことが分かったらサッサと引き上げるぞ」


 セシウスは街道脇まで出てくると、剣を抜いて構えた。 剣が赤い光をまとうと、セシウスは遠間から戦車の砲塔へ向けて剣を振るった。 剣から放たれた赤い光が、戦車の砲塔を切断した。 戦車は街道で停車した。 そして後続の2台のトラックから銃を持った兵士が次々と降りてきた。


 それに合わせ、飛竜部隊の兵達が街道の両脇から現れ、弓の斉射を放った。 銀の兵士達は、矢を受けながらも銃で反撃を開始した。 飛竜部隊は鋼鉄製の盾で防いだ。 その間にセシウスは一気に戦車からトラックかけて脇をかけ抜けた。 黒の兵達は一斉にセシウスに銃撃を加えたが、セシウスは体をレムで強化しているため、銃弾が当たってもかすり傷程度のダメージしか受けなかった。 セシウスは戦車の上部とトラックの幌の部分を剣で切り裂いた。


 戦車の内部が見えて、乗務員が慌てて逃げ出してきた。 トラックの荷台の方にも誰も乗ってはいなかった。

(やはり囮のようだな) セシウスはそう判断すると、右手を上げた。 それが撤収の合図だった。 兵達は一斉に街道の両脇の草むらに消えていった。


 セシウスから念話で報告が入った。 それとほぼ同時にトウリンとエランからも同様の報告が入った。

(スウゲンの言うとおり、いずれも囮だった。 ではどこにいるのだ) そう思った時に、飛竜の兵士から念話が入った。


「カケル様、そこから南に5キロほどのところに、銀のレギオンの戦車が3台、そちらに向っています」

「それだ!」

「こちらに3台の戦車が向っている。 恐らくそれが本当の護送隊に違いない。 セシウス達を待っている時間はない。 俺達だけでやるぞ」

「承知いたしました」とアドル。


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