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17-2 新たな剣

 ドラゴンの島から戻って1カ月ほど経った頃、頼んでいた剣が出来上がってきた。

 刀匠は細長い木の箱をテーブルの上にのせると、ふたを開けた。 開けた瞬間、部屋の光を剣の青い鞘に反射して輝いた。 刀匠が剣を両手で注意深く持つと、俺に手渡した。 剣の鞘は濃い青のエナメル仕上げで、飛んでいるドラゴンのレリーフがついていた。


 俺は静かに剣を引き抜いた。 形は両刃の直剣だが、刀身は美しく鏡のような仕上げになっていた。 光にかざすと、刀身が青く輝いた。

(美しい、閃光とも違うが、引き込まれる魅力を持っているな)

「いかがでしょう、王様。 いただいた石はアクチウムという希少金属でした。 ただあの金属だけだと強度が出ないので、選び抜いた鋼にアクチウムを加え、更にドラゴンの牙の粉末を加えた物を鍛えました」


 俺は剣を振ってみた。 長さも重心のバランスも良く、凄く扱いやすいと感じた。

「凄いですね。 良く切れそうだ。 いくらになりますか」

「王様、よろしければ、金貨1000ギルほどいただければ」

「分かりました」


 レーギアの庭

 庭に下りると、レオン達が試し斬りの巻きわらを容易してくれていた。 俺は剣を抜くと、両手で上段に構えた。 ゆっくりと息を吐くと、一気に巻きわらを斬りつけた。 ほとんど巻きわらの感触を感じさせないほどストレス無く、剣がまるですり抜けたような感覚だった。 巻きわらも斬られた様子がなかった。

(あれ、今斬ったよな。 切れて無いじゃないか) そう思って巻きわらを確認しようとすると、静かに巻きわらが斜めに滑り落ちた。

(どれだけ切れ味鋭いんだ)

 俺は続けざまに、左から、右からと残った巻きわらを斬った。 やはり斬ったことを感じさせないくらい、軽い感覚だった。


 「凄いですね」とレオン。

「やって見るかい」と俺はレオンに言った。

「えっ、よろしいのですか」とレオンはうれしそうに言った。

「バカね、遠慮しなさいよ」とエレイン。

「いいんだ。 エレインも試してみてくれ。 そして意見を聞かせてくれ」

「えっ、カケル様がそうおっしゃるなら、仕方ありませんね」とエレインもうれしそうに言った。 二人も剣を使う者として、本当は試してみたかったのだ。

 二人が巻きわらを斬った。 レオンは鞘に収めた状態からの居合い斬りを、エレインは豪快に連続斬りを試した。

「どうですか」と俺。

「凄い切れ味ですね。 ただ、あまりに軽いので、感覚的に物足りないくらいです」

「そうですね。 体が今までのナマクラの感覚を覚えているので、違和感ありまくりですね」

「この剣には特殊効果はあるのですか?」とレオン。

「どうだろう。 でもこう言うことは出来ると思う」 そう言うと、俺は庭の隅にあった、石で作られたライオンの彫像の前に立った。 俺は剣にレムを乗せて像の前で振り抜いた。 剣は直接には像に当たらなかったが、剣から放たれたレムによってライオンはきれいに真っ二つにされた。

「お見事です。 もう完全に習得されましたね」とレオン。

「名前はあるのですか」とエレイン。

「名前かあ。 そうだ、“青牙”ではどうだろう」

「よろしいと思います」とレオン。


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