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13-2 新たなプロジェクト

 ユウキはリオナに王都守備軍に案内されて、そこでボークの現物を見ることができた。 翼幅約2メートル、前後も同じぐらいだ。 三角形でエイかカイトのような形だ。 上に立ってのる場所があり、その前にはハンドル代わりのバーがあり、その前には風の抵抗を少なくするためと思われる風防があった。 青く塗られた本体をよく見ると、材質は木製の骨に帆布を張って軽量化をしてあった。

(なるほど、要は立ち乗りのハンググライダーだ。 だがどうやって飛行するのだろう)

「飛行するところを見せていただけますか」


 軍の担当者は頷くと、ボークに乗りバーにつかまると、静かに垂直に浮かび上がった。 そしてそのまま前進しながら上昇していった。 よく見ていると、方向転換は体重の移動で行なうようだ。 ユウキが隣にいたもう一人の兵士に尋ねた。


 「最初の浮遊はレムで行なっているのですか?」

「半分は正しいです。 あの三角形の頭の部分に飛空石が設置されています。 それで頭で浮くことを念ずると、それに石が反応してレムの力で浮くのです。 慣れてくると浮空術を使えない者でも操作することが出来ます」 兵士はそう言いながらウズラの卵ほどの黄色の石を見せてくれた。


 「こんな小さな石で済むのですか?」 ユウキは驚いた。

「飛行しだせば風の力も利用することができるので、大きな力は必要ないのです」

 ユウキはしばらくボークが自在に飛行する様を眺めていた。


 5分ほどして兵士が地面に下りてくると、ユウキは聞いた。

「私にも乗ることが出来ますか?」

 兵士は隣にいる上官と思われる兵士の顔を見たが、その兵士が頷くと言った。

「大丈夫ですよ。 乗り方をお教えいたします」 そう言うとユウキに操作方法の説明を始めた。


 ユウキはそれから2時間ほどボークの飛行に夢中になった。


 その日の夕方、ユウキが戻ってくると、いきなり重要な話があると言い出した。 その席には、ミーアイとリオナもいた。 ユウキは興奮して話し始めた。

「あのボークは使える。 他のレギオンにも導入しよう。 それによって戦術の幅が広がる。 それともう一つ、飛空船を作るのだ」


 ミーアイとリオナはユウキが俺にタメ口で話すことに驚いた。 その姿にユウキも自分が興奮してタメ口になっていることに気がついた。

「あっ、これは失礼いたしました」

「ははは、ユウキは元々私の友人で、時々タメ口が出てしまうのです」と俺は説明した。

「そうですか」とミーアイ。


 「こちらにある飛空石と、藍のレギオンの造船技術を利用して大型の飛空船を造るのです。 それを輸送船として利用するのです」

「それで、どう変わるのだ」

「各レギオンの財政状況は大きく変わります。 過去の歴史においても、国が繁栄するためには商業都市とそれを繋ぐ物流の要衝を押さえる必要がありました。 緑のレギオンでそれをやろうとすれば、森を切り開き街道を整備する必要があります。 しかしそのためには何年もの期間と多くの人々と多額の出費が必要です。 ですがこの飛空船ができれば、街道が必要なくなります。 飛空船の建造にお金はかかりますが、全体の費用と時間を考えれば効果は歴然です。 一刻も早くこのプロジェクトを進めたいと考えます」

「本当にそれは建造可能なのなのですか」とミーアイ。

「可能です」

「分かりました。 他のサムライ達にも理解できるよう、もう少し具体的な計画にまとめてください」

「承知いたしました」


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