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12-7 青の王

 俺たちはレギオンの内部に入った。 街のある場所に隠された秘密の地下道から、レーギアに入ったのだった。


 早速、ミーアイ王と対面することになった。 俺たちが、玉座がある広間に入ると、王が即座に立ち上がり玉座を下りて駆け寄って来た。

 「カケル王ですね。 ミーアイ・ソフレイです。 遠路ようこそおいでくださいました」 王は金髪の長い髪の若い女性だった。 俺は12王の強いイメージとのギャップを感じていた。

「カケル・ツクモです」


 俺たちは豪華な応接室に通された。 ミーアイ王は俺の向かいに座ると話し始めた。

「本当にお恥ずかしい話です。 私が王としてふがいないばかりに、こんなことになってしまいました。 ことの発端は1年前のギーガン王の死です」


 1年前、ギーガン王の部屋

 ミーアイが王の部屋に入ると、ギーガン王は笑いながらソファーを勧めた。 元気そうにふるまってはいたが、かなり無理をしている事は明らかだった。

 

 「率直に言おう。 私はもう永くない。 あと数日だろう」

「何を気弱なことを、おっしゃいます」

「気休めはいい。 結論から言おう、次の王は君だ」

「何ですって。 ご冗談でしょう」

「冗談ではない。 君しかいないのだよ」

「バウマン殿がおられるでしょう」

「バウマンでは恐らくこのレーギアは悲惨なことになる。 奴は自分の野心が強すぎる。 あいつが王になったら、他のレギオンに対して戦争をしかけるだろう」

「でも12王は強さと戦いを求めるものなのではないのですか」

「確かに12王は強さを求める。 しかしそれだけではダメなのだよ。 王である以上、レギオンや人々の幸福も同時に考えなければいけないのだ。 しかしバウマンは自分のことしか考えていない。 彼ではダメだ」


 「それならセリナ殿がおられます」

「彼女には自分のビジョンが無い。 人が決めた事を忠実にこなしたり、補佐したりすることには向いているが、王として人々の上に立つには、足りなすぎる」

「それでしたら、私だって王になるには足りません」

「君はこの都市のインフラの整備と、食料の自給率向上に次々と画期的なアイデアを考えて、人々のために精力的に取り組んできた。 レムも十分使えるし、決して諦めない粘り強さもある」

「しかし私は武人ではありませんし、肝心の強さに欠けます」

「最初は確かに強くはないだろう。 しかし、レムの使い方のコツをつかめば次第に強くなれるはずだ。 心配はいらない」

「しかし、それでも私には無理です」

「君しかいないのだ。 リオナ、あれを」


 側に控えていたリオナが、黒い箱を持ってきた。

「これは、天聖球ですか?」

「もう渡しておく。 私が死んだら、バウマンは即座に天聖球を奪いにくるだろう。 その前に君が王になるのだ」

「私には王など無理です」

「私の最後の望みを聞いてくれ。 もし王になって行き詰まったら、緑の王に相談するが良い。 彼は私の友人だ、あの王は信頼できる」

 ミーアイはそれ以上何も言えなくなった。


 俺たちはミーアイの話しをじっと聞いていた。

「そのような訳で私が王になったのですが、バウマンは当然ながら納得せず、私が天聖球を盗んだと言い張ったのです」

「状況は分かりました。 それで王は我々に何を望まれているのですか」とスウゲン。

「この膠着した状態に決着をつけたいのです。 出来るだけ被害を最小限にして。 バウマンはこのレーギアを強引に力攻めすることにはためらいがありました。 それはいずれ自分が住むレーギアを破壊したくないのと、都市に被害が及ぶのを兵が嫌がっており積極的に戦おうとしなかったためです。 しかしそれに業を煮やし、銀のレギオンの力を借りて力攻めに出ようとしています。 もう私の力では収めることは出来ないと判断して、リオナに救援依頼をさせたのです。 緑の王がお亡くなりになられたとお聞きして、落胆いたしましたが、新王のご活躍をお聞きしてこのお方しかいないと確信いたしました」

「分かりました。 それならばやはり、ミーアイ王はバウマンと直接戦われるしかないでしょう。 私がバウマンを倒しても、貴方は兵達から王としての忠誠と信頼を得ることは出来ないでしょう。 自分自身で力を示し、自分で勝ち取るしかありません」

「やはりそうですよね」

「カケル王と私がその機会をお作りいたします」とスウゲン。

「分かりました、よろしくお願いいたします」


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