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11-5 連判状

 アーレンの邸

「ガウザー殿、では横領の罪で失脚させる作戦は失敗したと言うことですね。 私の金が無駄になってしまったわけだ」 アーレンは不快そうに言った。

「私がしくじった訳ではないぞ」とガウザー。

「まあまあ、済んだ事はしようがないでしょう。 では別の方法を考えましょう」とアイレス。


 そこへ家の使用人が慌てて部屋に入ってくると、主人に耳打ちした。

「何だと、分かったすぐ行く」 アーレンの顔が硬くなった。

「皆さん、突然の来訪者のようです。 ちょっと相手をしてまいりますので、失礼します。 くれぐれも姿を見られないように、皆様はこの部屋をお出にならないようお願いします」 そう言うとアーレンは、体を重そうに揺らしながら出ていった。


 別室に入ると、アーレンは満面の笑みをうかべながら客に言った。

「これはこれは、良くおいでくださいました。 あなた様が我が家へおいでくださるのは大変な名誉です。 まあおかけください」

「突然押しかけてすまぬ。 たまたまこの近くを通ったものでな、寄らせてもらった」

「そうですか、いつでも歓迎いたします。 ところでレーギアの様子は如何ですか。 新王はなかなか今までにいないタイプのお方とか・・・」

「若くて世間を知らぬゆえ、毎回困らせられます。 こちらの事情など考えずに勝手に1人で決めてくる。 こちらの言うことは聞かない。 ほとほと困り果てます」

「そうですか、それは大変でございますなあ」

「それだけではない、獣人族や魔人族などをレギオンに引き込んで、レギオン内に不協和音を引き起こしている。 このままではレギオンの分裂を引き起こすのではないかと憂いている」

「私がお聞きしている話ですと、ユウキ様というサムライの方が色々と王様に知恵を付けていらっしゃるとのことですが・・」

「そうなのだ、ユウキも少し知恵が回る事でいい気になって、何にでも口を出してくるのだ。 このままではあの者はきっと王を誤った方に導くに違いない」

「ではどうされるおつもりなのですか」

「ユウキはサムライからはずす必要があると考えている。 私は近いうちに、私の進退をかけて進言するつもりだ」

「立派なお覚悟です。 レギオンを心配されるお姿に、私は感動いたしました」

「いやいや、このような愚痴を思わず漏してしまい、お恥ずかしいかぎりです」

「私にできる事がございましたら、ご協力させていただきますのでお申し付けください」

 客はその後もしばらく愚痴を話した後、帰っていった。


 アーレンはアイレス達の所へ戻ると、客との会話について話した。

「どう思います、皆さん。 もしこれが本心であれば、我々の仲間に加えて良いのではないでしょうか」とアーレン。

「うーん、信じて良いのだろうか。 罠ということないのか」とマウセル。

「だが、仲間に加えることが出来るのならば、これほど心強いことはないぞ」

「分かりました、仲間に加えましょう。 ただし連判状を作り、そこに署名していただくのです。 そして1人だけ裏切る事が出来ないようにするのです」とアイレス。

「なるほど、では次回にはお呼びしましょう。 それとそれまでには別の案に必要な人材の確保も進めておきますので」とアーレン。


 一週間後、アーレン邸

「よくおいでくださいました。 実は大切なお話がございまして、本日はおいでいただいたのです」とアーレン。

「どのようなお話でしょう」 客は少しいぶかるような顔で尋ねた。

「先日、レギオンの先行きをご心配されておりましたが、もしそれを是正できるとしたら実行されますか」

「もちろんだ」

「もしも、同じようにお考えの方が他にもおられたら、協力したいとお考えになられますか」

「ああ、是非一緒にやっていきたいと考える。 そんな方がたを知っているのか」

「知っております。 しかしこれは、場合によっては王に対して反意を持っているととられかねません。 それでもやり抜くお覚悟がございますか」

「もちろんだ、早く王には考え方を変えていただかなければ、このレギオンはダメになってしまうと考えている」

 アーレンはじっと客の目を見ていた。

「分かりました。 同じ考えをお持ちの方がたをご紹介いたします。 こちらへどうぞ」 アーレンはそう言うと、客人をアイレス達の部屋へ連れていった。


「これは、あなた方でしたか」

「どうぞこちらへおかけください。 お互いご紹介するまでもございませんよね」とアーレン。

「我々もレギオンを良くしたい気持ちは一緒です。 是非お力をお貸しください」とアウトス。

「分かりました。 ですが具体的にはどうするのですか」

「それは今、計画中です。 じき具体案をお示しいたします」

「さて、強力な仲間も加入したところで、我々の団結を確認するため、連判状を作成したいと思います。 途中で臆病風に吹かれる者はいないとは思いますが」 アイレスはそう言うと、一枚の上質な紙を取りだしてテーブルの上に置いた。 そこには次のような文章が書いてあった。


 “我らは緑のレギオンの将来を憂い、義を持って集った。 現在のレギオンに巣くう腫瘍を取り除き、王を我らが望むレギオンに導くため、団結して最後まで戦うものである”

 部屋にいた7名は、その文の下に次々と署名していった。 最後がアイレスだった。

「これで皆さん、どんな事が起きようと私たちは一蓮托生ですよ」 アイレスが、全員がサインした連判状を見せた。


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