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11-4 罠

 ユウキと藍のレーギアに行ってから10日ほど経ってから、港町バレンから報告が入った。 バレンの港をもっと大型船も入港出来るよう整備を進めていたのだが、その開発を任せていた業者が開発資金を持ち逃げしたと言うのだった。 程なくその業者はつかまったが、その時には開発資金の大半は無くなっていたというのだった。 その後の取り調べで、その業者は事業の担当責任者であるユウキにリベートとして半額を渡したと言うのである。 それを受けてガウザーが警護隊をつれて俺とユウキが話している部屋へ入って来た。


 「 カケル様、お話中申し訳ございませんが、ユウキ殿をこちらにお渡し願いたい」とガウザー。

「どう言うことです」

「このユウキは、業者と結託してバレンの開発資金を着服した容疑がかかっております。 逮捕して詮議いたします」

 俺はユウキと顔を見合わせた。

「お前そんなことをしたのか」

「するわけありません。 証拠はあるのですか?」

「業者の男が白状いたしました」

「それは可笑しいですね」とユウキ。

「詳しく調べる必要があるでしょう。 こちらまで移送を指示してください」と俺が言った。

「それは出来ません。 その男は牢獄で首をつりました」

「口を封じられたのか」とユウキ。

「なにを白々しい。 如何にサムライといえど免れないぞ」とガウザー。

「私が金を受け取ったと言うのなら、その金はどこにあるのです」

「ふん、今街中にあるお前の部屋を家宅捜索させている。 きっと隠してある大金が出てくるはずだ」 そう話しをしている所へ家宅捜索に向った者達が帰ってくると、ガウザーに耳打ちした。

「何だと、そんなバカな」 ガウザーの顔色が変わった。

「どうしたのですか、ハッキリ言ってください」

「金は出てきませんでした・・」

「そうでしょう、最初からあるはずなど無いのだから」とユウキ。


 そこへジュリアンとホーリーが入ってきた。

「カケル様、先ほどユウキ様の部屋へ入ろうとする怪しげな男を、ホーリーが捕まえたと申しております」

「はい、私がユウキ様の身辺を注意していたところ、ユウキ様が部屋を出たところを見計らって、部屋に入ろうとする男を見つけ捕まえたのです。 ただその男はおかしなことに大金を持っていたのです」

「それだ、その男が部屋から大金を持ちだしたから、部屋に金が見つからなかったのだ」とガウザー。

「いいえ、そうではありません。 その男は部屋に入る前に大金を持っていたのです。 それで捕まえて問い詰めると、その金を部屋の中に置いてくるように人から頼まれたと言うのです」とホーリー。

「これはどうも怪しいですね」

「とにかくユウキ殿が依頼した業者が仕事を全うしていないだけでも、責任問題ですぞ。 更に事業資金を着服したとなれば、厳罰は免れません。 その捕らえた男も含めこちらにお渡しください」

「ダメです。 明確な証拠が無ければ逮捕はしてはダメです。 それにその男はスペンスの方で調べてもらいます。 ジュリアンさん、守備部隊長へ引き渡してください」 俺はジュリアンに指示した。

「承知いたしました」

「クッ、カケル様、本人の自白があるのですからこれほどハッキリした証拠はないでしょう。 十分有罪に出来ますよ」

「ですがその本人も亡くなっているのでしょう。 その自白の信憑性も怪しいですよね」

「とにかく、その程度ではダメです」

「分かりました」 ガウザーは小さく舌打ちすると警護隊を連れて出ていった。


 「ホーリーさん、ありがとうございます。 助かりました」とユウキ。

「いいえ、私はジュリアンからユウキ様の身辺に注意していてと言われただけなので」

「カケル様が付けてくれたのですね」とユウキ。

「お前が全然言うことを聞かないからだよ。 とにかくこれで、お前を邪魔に思っている奴がいることがハッキリしたな」

「そうですね」 ユウキはまるで想定内であるかのように落ち着いていた。


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