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9-1 北からの知らせ

 水晶のレギオンと戦争から1週間、レギオン中戦後処理に追われていた。 俺自身の体もようやく通常の生活ができる程度まで回復していた。

(俺は負けた、戦争は勝ったが俺自身は完敗だった。 やはり12王は強かった。 もっと強くならなければならない)

 アビエルの方は驚異的な回復を見せてもう動き回っているが、ファウラから勝手に抜け出していつも怒られていた。


 午前中の政務が終わり、くつろいでいるとユウキが現れた。

「邪魔して良いか?」とユウキ。

「ああ、これから昼飯だけど一緒に食うか?」

「そうだな」 俺はメリナに追加をお願いした。

「そういえば前に、財政が逼迫していて次に戦争があったら、国庫が空になるといっていただろう。 今回の出費でヤバイんじゃないのか」

「んー、まあまだそんなに余裕があるわけではないけど、少しずつ改善はしている」

「何をやったんだい? 前に職員の意識改革が必要だとか言っていたじゃないか」

「“改善提案”をさせるようにしたんだ。 グレアムさんと相談してグレアムさんから命令として出した。 それによって現状を否定するわけではないが、改善することにより、レギオンがより良くなると言うことを理解させた。 それと報奨金を出すことによって本人の収入も上がる、正にウイン、ウインの関係というわけだ。 今では職員達が競って提案を出そうとしている。 その効果が少しずつ出始めている」

「なるほど」

「二つめは、お前が退治した魔獣の魔獣石だ。 あれは驚くほど高価だった、金や宝石よりもな。 あれを少しずつ市場に売却している。 市場で値崩れしない程度にな。 三つめはバレンだ。 海路の安全が確保されたので貿易が増えてきている。 ここはこれからもっと発展するぞ」

「そうか、それは良かった。 じゃあ内部の問題は解決と言うことかい?」

「それがそうでもないんだよな」

「えっ、他になにがあるんだい?」

「役職の硬直化というか、世襲化というか」

「どう言うことだい」

「レギオンには貴族制度がない。 なので一見身分制度が無いように思えるが、実は違う。 例えば今の財務大臣は前財務大臣の息子だ。 同様に今の建設・補修大臣は前大臣の甥だ」

「つまり、役職を世襲させたり一族で独占したりしていると言うことか。 それでは有能な者がいても力を発揮できないということじゃないか。 なぜ前王はそんなことを認めていたのだろう」

「ずっと昔からそう言う体制が出来上がっていて、反発が強くて王もそれを変えることができなかったのだと思う。 その悪い慣習は下級職員まで及んでいる。 何のコネもない者は下級職員にさえもなれないのだ」

「それは大きな問題だな」

「そうだ、そしてこれを変えようとすればレギオン全体の反発を買いかねない」

「だが、これはやらなければならないことだぞ」

「そうだな」

「何か考えはあるのか」

「今考えているところだ、これは慎重にやらないと謀反がおきる」

「分かった、俺がやらなければいけないことがあったら言ってくれ」

「案がまとまったら相談するよ」 そんな話をしているうちに昼食の用意ができたようなので、食べながら話しをすることにした。


 「そうだ、ユウキの方が何か用事があったのだろう?」

「用事というか、北から面白い情報が入った」

「どんな? また水晶のレギオンが攻めて来るとか言わないでくれよ」

「もっと北だ。 白のレギオンに新王が立ったと言うことだ。 その王の名前はヒョウマと言うらしい」

「何だって」 俺は思わずフォークを落とした。

「ヒョウマってあのヒョウマか?」

「定かではないけど、ヒョウマという名前はこちらでは珍しいから、恐らく間違いないだろう」

「そうか、本当に12王になったんだな」

「それでだ、もし白の王があのヒョウマならば、我々と同盟を結べないかと思ってな。 そうすれば水晶のレギオンに対する牽制になるのだが」

「いや、それは無理だろう。 彼は俺と戦うと言っていたから」 俺はヒョウマがここから逃げ出す前の会話を話した。

「なるほど、それならば反対に水晶のレギオンと同盟を結ぶこともあり得るか。 とりあえずもう少し様子をみるか」


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