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2-2 セシウス

 三日前、レーギア、アンドレアスの執務室

 アンドレアスの机の前のソファーに、一人の男が座っていた。 年齢は20代後半、細いように見えるが、実際はがっしりした体格、黒の軍服の袖をまくった二の腕には太い血管が浮き出ていた。 短い銀髪に端正な顔立ちながら、人なつこい印象を与えている。 名前はセシウス・バーラント、アンドレアスと同じく将軍の称号を持つ、レギオンの指揮官だ。 アンドレアスとは同格の将軍であるが、アンドレアスはレギオン軍事部門の統括、総司令官であるため、実際は部下にあたる。


 「クローム殿の連れて来た客人の迎えには、ジュリアンたち三人を今朝向わせた。現在、獣人族に捕らわれているとのことだったが、その奪還も問題ないだろう。 それと、先ほどシローネ殿からも連絡が入った。 無事こちらに戻られたようだ、こちらも客人を連れてな。 それでだ、シローネ殿と客人の迎えに誰か送って欲しい。 もしかしたら何者かの襲撃があることも考えられるので、腕も確かな者をな」

「俺がレオンと誰か連れて行こう。 場所はどこだい」セシウスはフランクに答えた。 立場上は上司と部下だが、永年のつきあいでお互いに実力を認め合い、深い信頼が構築されていた。 公式の場所や部下の前以外では、このように対等に意見を言い合う間柄であった。


 「ガレジオン山脈の北の端から200キロほど北の地点らしい。 しかしお前が行くというのは大げさじゃないか。 レーギアから出て少し息抜きをしようとしているだろう。 今は来たるべき時に備え、やるべきことがいくらでもあるだろう」

「ばれたか」と笑ったが、すぐに真顔になり、続けた。

「俺の部下たちは、俺がいなくてもちゃんとやっている。 そちらは心配ない。 それより、オークリー様の意図していることを成功させようとしたら、そちらの方が重要だし、心配だ。 俺自身で、その人物を見てみたい。 あんたはここを切り盛りしなきゃならんから離れられないだろう」

「分かった、好きにしてくれ。いつ出る?」

「昼すぎには出られるだろう。 それはそうと、オークリー様の様子はどうなのだ」

「正直あまり良くない。 もう時間はあまりない」アンドレアスの顔が曇った。

「ただオークリー様は、何があっても動揺せず手はず通り進めてくれとのことだ」

「そうか、承知した」セシウスは少し憂鬱そうな顔をしながら、部屋を出て行った。


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