02.ダンジョンブレイク
「んんッ」
俺は時計があるであろう後ろに手を伸ばす。
ガサッ
(あった、あった)
と、目の前に持ってきたのは時計...
「ギャアアアアアア!」
ではなく、魔物の首だった。
「はぁ、はぁ」
後ろを振り返ると、俺が寝てた方向が反対になって戦利品の方に寝ていたらしい。
その証拠に前に時計が置いてあった。
戦利品といっても高価なものは全部奴が持っているが一応、討伐部位なので丁寧に魔導リュックに入れ、
本命である時計を手に取った。
指し示す時刻は…AM6:00。
集合は6時半のはずなので…ベストタイミングだ。
(修行の癖かな)
あの頃は毎日6時起きだったもんなー。と、過去に浸っていると時刻は既に時刻はー6時10分
「そろそろ顔洗おう」
必要なものを持ってテントから出る。
(俺ってあんなに寝相悪かったか?)
そこで、ふと気づく血と肉の匂いに。
ガンッ
「危なかった。あんなのコンマ1秒でも遅れたらサヨナラだぞ。」
間一髪気づけてよかった。
さっきのは明らかにレタスという魔物の爪攻撃だ。
急いで装備を整えようやばいことが起きてる気がする。
☆
で、さっきから身構えているんだけど…
(全然こない)
装備も着装済み。
テントがひっくり返ったらすぐ出陣と思ったんだけどなぁ。
びっくりするほどこない。
今6時19分、もうみんな出てくるだろ早く倒してくれ。
俺には力がーーそれに答えるかのようにして、
ガシュッ
誰かが外でレタスを倒した。
(まだ懲りずに徘徊してたのか?)
チャックが開く
もしかしたら魔物かもしれないと思っていたが
「さっさと出てこい、囮」
(俺の名前は囮じゃないんだけどな)
手を差し伸べたのはタンカーと、右手をなくした”奴”だった。
肘から先がごっそりなくなっている。
「どうしたんだよ、その手」
「そんなことはどうだっていい。お前俺たちが逃げるまで囮になれ。」
「やだよ」
俺だってこんなところで命を捨てたくない。必ずあの子をーー
「それにっ、契約には:仲間を見捨てないって書いてあったはずだぞ。」
「っ!最後までやってくれるなあのジジイ。分かった一緒に戦えばいいんだろ」
改めて外に出て見た風景は悲惨そのものだった。
あちこちに、魔物の死体が転がっている。
でも、まだいっぱい魔物いる。
(というか、セーフポイントには魔物は…)
と足元を見ると、セーフポイントから俺のテントは50メートルほど離れていた。
しかし、セーフポイントの中にもこちら程は多くないが死体が点在している。
唯一取得出来たスキルー解析でよくよく見ると全部特殊個体だ。
何匹か無敵耐性持ちがいる。
(中に入れた理由はこれか。)
たまにセーフポイントに現れると聞いていたが…
ぱっと見ただけで、1、2、3、4はいる。
特殊個体が生まれるのでさえ2〜3年なのになんだこの多さは。尋常じゃない
「取り敢えずセーフポイントに走れ!」
俺が引きつけて、タンカーが防御、奴が斬り殺すの連続。
50メートルがめちゃくちゃ遠い。
30分後
(あとちょっとだ)
疲労がピークを迎え始めた距離は残り5メートル必死で囮になる。
今更になって起き出した魔術師も加勢し、やったたどり着いた。
そう思った時だった。
「ギャオオオオオオオオォオォォォォォォォ」
という咆哮が聞こえたと思うと、セーフポイントの壁の一部が壊れ
ガシャン!!
という音とともにセーフポイントも壊れた。
「「なっ!」」
突然のことに驚きたいがそんなことをしている暇は無い。
(はぁぁぁぁ!)
やっとの思いで魔術師と合流すると、魔物は逃げていった。
一息つけた時、博識なタンカーが言った。
「恐らくあの声、そして本来破壊不能な壁が壊れた。このことから推測するにあの咆哮はーー」
ドシン、ドシン
俺たちの目の前に現れたのは、冒険者なら絶対に倒したい魔物ランキングトップ5に入る
「ギャオオオオオオオオォオォォォォォォォ!」
恐竜型恐竜型戦時兵器級魔物 ナベだ。
次で第1部も終わりです。楽しみ!
補足ですが魔物のレベルは最後の…ナベで当たる戦時兵器級というところを見てください。
これは上から4番目に当たります。
面白かったらまた見にきてください。
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