01.ダンジョンブレイク
〜クソパーティー〜
その日の深夜
セーフポイントに設置された5つのテントの一つがゴソゴソと動き始めた。
そこから出てきたのは二つの影。
一人は長髪の髪を後ろでまとめていて、もう一人は刈り上げている。
二人とも装備は短刀のみと軽装だ。
通常ダンジョンで過ごす時、いかなる場合でも短刀を装備して置くことが基本のキと言われるほどだが、
ここは仮にも55海溝。もうちょっと装備しないと危ない。
にも関わらず、長髪の奴は大丈夫だろうとしらを切っていた。
「おいタンカー行くぞ!」
「ちょっと待ってよー。」
「のろま!先行ってるからな」
「ヘーイ」
なんだよその呆れたやつに言う口調は!
ムカつく。
さっきからはらわたが煮え繰り返ってたまんねぇ!
お前を殺そうとしたのに殺せてなくてニヤって笑うなんて
許せない、許せない、ゆるせない、ユルサナイ。
「さっさとこいよ!」
「うるさいぞ!」
慌てて口を紡ぐ。
やっぱりこいつは怒っても離れないいい奴だ。
遠くはないセーフポイントをはじからはじまで歩く。
(それにしても、セーフポイントは殺風景だなぁ。)
セーフポイントの周りは壁で囲まれていて、唯一出入りできるのは入ってきたときの隙間のみ。
だから魔物が周りを闊歩しようが怖くはない。
それにだ。そもそも論ここにいれば魔物は入ってこれない。
世界各国の研究者がこぞって地面に展開されている魔法陣を調べるが、根本的には分かっていない。
ただ、それでもお金を湯水のようにそこに使う。
(滑稽だ。しかも、それは馬鹿高い税だぜ。)
そんなことを思いながら歩くとあっという間に目的地に
「到着だ。」
黄色のテント。
そこには”アイツ"が眠ってる。
ニヤッ
「ひぃぃぃぃぃぃ」
「タンカーどうした?」
「いっいやなんでもない」
気づけば、タンカーの足元には水がしたったっている。
この短距離で汗を掻くなんて、やわな奴だ。
「んんんn、」
「「ハッ」」
((あぶねー))
(さっさとテントを”このまま”セーフポイントの外に出すぞ。)
「え!だって外には…」
「ぶつくさ言うんじゃねー。」
タンカーの目には奴の手が光って短刀を構えたように見えた。
「ひぃぃぃぃぃぃ!分かったやればいいんだろ」
「わかればいい」
奴の手から短刀が消える。
そうして二人の影は隙間から外に出て行ったのだった。
待ち受ける運命も知らずに。
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