表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

エピローグ

「お前さんバカなんじゃないのかい!」


「知るかそんなもん!」


「「はぁ!」」


バチバチバチ


買い物客でにぎわう市場に二人の声がとどろく。

周りにいる客は「誰か避雷針になってくれ」という切な願いを胸に収めている。


そんな広場でも、人の中でも噂の渦中にいる二人。

名はそれぞれ、ラント、タラキ。

夫婦だ。


そんな二人の喧嘩は止まらない。


「お前さんなんか嫌いだ。」

「ふん!そうかい」


そして矛先は町へ


「こんなところに越してくるんじゃなかった」

「汚いしな..」


これには町の人も苦い顔。


「なんじゃ てめぇ!」


そこに優しい不良。


「「アァ?」」


「ぎゃあああああああああぁ」


さて、その向こうの向こうのはたまた雲の向こうの地下の地下から物語は始まる。


-------------

「おい!勝ち犬どこでへばってるんだ?ケッケ」

「「はははははははは」」


片手にブロンズの剣を握り締めた男は俺を見て笑う。

それにつられて周りの男たちも笑う。


(くそっ、こんなところさっさと出て行きたい!)


心の中で悪態が出るが、それを100も承知でこの男のパーティーに入ったのだ。

しかし、ここまで馬鹿にされると悪態の一つや二つ言いたくなる!


(まぁ、それ以上言っているだろうが。)


それはそうと、俺は『勝ち犬』ながらも精一杯神経を張り詰める。

男たちの斥候は、うまい料理屋の話ばっかりして全く索敵をしていない。

喧嘩で死んだなんでたまったもんじゃない。


俺がこのクソ冒険者といる水も滴るいいダンジョンは、ゼフェテリア海溝という。

ゼフィテリア海溝は、またの名を初心者ダンジョンと呼ばれ数多あるダンジョンの中でも、冒険者に広く親しまれている。


しかし、周りを見渡しても人っ子一人いない。あるのは水に濡れたダンジョンの壁が広がるのみ。

それだけ深い層まで潜ってきたということである。

そこまで余裕で進める力を持つ、俺がこのクソパーティーに入った理由でもある。


「なぁなぁ、もう少しでついてもいいんじゃねーのか?」


「言われてみれば最後のセーフポイントを過ぎて5時間か。おい勝ち犬急げ」


「はい、ただいま」


(じゃねぇよー。何様じゃこりゃあ!)


そう思いながらも手はリコレクターを操作し続けている。


セーフポイントとは、ダンジョンの中で唯一魔物が入ってこれない半径10mほどの緑色に怪しく光る円のことだ。

だいたいセーフポイントとはその階層の頭時間だけ離れているといわれている。

さっき奴の仲間が5時間かと言ったのは、今いる階層が55海溝だからである。


「ピッピ!」


そんなことを考えていたら、リコレクターが魔力を感知したようだ。


「見つけたようだな、案内しろ!」


あやつについてはノーコメントで。


さて、リコレクターが反応を示していたのは幸いにもそう離れてはない位置だった。

もう、足がボロボロだ。


しぜん、駆け足になりながらそれから10分ほど歩き続ける。


ポワァーーーーー


神聖な気が満ちた円が見えきた。

しかし…ここで飛びついては


「いけない。さっさといけ勝ち犬」


「そこは斥候だろ!」


「あ゛ぁ?」


言葉と同時に奴の手が動く。ゆっくりと。

十分と時間を要して、ブラウンソードが俺の頭の上をのろまに通り過ぎていく。


奴は俺が死んでないのが気に入らないかったようだ。


「行け!」


パーティーに命令するとタンカーと話しに言ってしまった。

ただ、時折黒い笑みを浮かべてこちらをバレないように見る。


何かするかもしれない。

即席パーティーではよくある話だ。

さっきレアアイテムも見つけたし。

気をつけておこう。


しかし、まぁこうネチネチと

(子供みたいな奴だ。)


心の底から呆れる。



しばらくすると斥候が戻ってきた。セーフポイントは、ダミーではなかったようだ。

この海溝には、『ニンジン』という擬態する魔物が潜んでいる。

そしてよくセーフポイントに泊まった冒険者を包み込んで食べる。


その確認の為、斥候を使ったのだ。

これでようやく安心できる。


「おい、勝ち犬テントを設営しろ!」


ついて早々に命令。

俺には休む暇はないようだ。


さて、ここでこの世界の説明をしておこう。

この世界では強くなるのには、レベルアップ、単純な経験による習得、それともう一つある。


最初の二つは特に膨大な時間が必要だ。

例えばレベルアップ。

さっき喋ったニンジンで1レベル上げようとすると、ニンジンを100匹倒さなきゃいけない。

しかもニンジンは中々のレアモンスターときた。


じゃあ強い魔物、70海溝ボスを倒せばいいじゃないか。

すると、勿論だが1レベルが5人いようが倒せない。

たくさんいれば倒せるだろうが死傷者も多いし、何よりある程度敵にダメージを与えた人全員に均等に経験値はいく。恐らくニンジンより下だろう。


つまり、レベルアップにはコツコツと地道な努力で積み重ねる必要がある。


じゃあ、習得は?これも言わずもがな。

そこまでの技術を一瞬で習得できるのなら誰だってやる。


ただ、クソパーティーは強い。

その秘密は、三つ目のメインクエストによる強化だ。


メインクエストの内容は多種多様。

きのみを探す、失神する、結婚する、犯罪者になる

本当の本当に多種多様だ。


そしてそれらは、生まれた時からランクと内容が決まっている。


内容は変更することはできない。

ランクは、銅、銀、金、オリハルコン、アダマンタイト、レスティナとあり、それによってクリアした時の手に入る力が違う。


レスティナだと、頑張れば世界を滅ぼせる。

銅でも元の100倍強くなる。


ただ、それに比例して内容も難しくなる。

だから、「レスティナ」なんて王族でもない限り捨てられる。

村や町がお祭り騒ぎになるのは「金」が生まれてからだ。


そして、冒険者ギルドに行くとカードを渡される。

奴らは最低のF。ただ、ギルドカードはメインクエストの力でしか判断しないのであくまでも参考材料だ。


俺はそんな奴らより低い「冒険者落ち」だ。



夜、今日は珍しく奴らが夜番をするそうだ。

ここ10日の疲れがダッと出る。

(ろくに寝れてなかったからな)


今日はいい夜になりそうだ。

面白かったら感想やブックマークなどしていただけると嬉しいです。

ではまた〜。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ