09
小さい頃は喋らないと周りに心配されていた。
気付いた時には遅かった。
どうすればいいのかわからず、ただただ自分が他の人と違う存在ということだけが残った。
自分には人と違う能力があった。
他人の心が読める能力。
相手がどうしてほしいか分かるし、何を考えているのか分かる。
成長するうちに、その人自身の色も、なんとなく見えるようになった。その人を表す色や、感情によって見える色。
上っ面ばかりで自分の欲望の事しか考えてない大人。
金、女、男、恋愛、嫉妬、、、
聞きたくないし、見たくない
だけれども制御の仕方もわからなければ、出来るのかすら分からなかった。
毎日が不安の塊で、いつかバレてしまうと怯えながら生きていく毎日。
一度だけ、こんな毎日が嫌で、誰の心も見たくなくて、家出をしたことがある。
走って走って走って走って走って。
その先には何もなかった。
幸い両親は穏やかな人たちで、この人たちの言う通りに生きようと思えた。
でもやっぱりどうして自分だけが?
という気持ちはぬぐえなくて、時間が経てば経つほど、独りになっていく気がした。
寂しくて、苦しくて、
まるで呼吸が出来ていないような毎日。
誰かに期待して、絶望して、期待して、絶望して、
期待するのをやめた。
それでも、誰かを信じたくて、自分を知って欲しくて、今日もまた空を見上げる。
見上げていれば、まだ自分は自分でいられる気がした。
他人の心ばかりわかって、自分の心がわからない。
時が経つにつれ、心の声をシャットアウト出来るようになった。
強い感情になるとどうしても勝手に入ってきて、具合が悪くなることが多い。
面白い人を見つけた。
不思議な色の人。心と見た目が全く違う人。
その人の心はとても落ち着く。
どうしてこんな色をしているんだろうと近づいた。
自然と一緒にいることが多くなり、知れば知るほど落ち着くあの人が不思議で仕方ない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「、、りさま、桐様!」
紫藤はやっと周りに気付いた。今日は凄くぼーっとしていたようだ。最近は映画の影響もなく、普通の会話をしている。初めからそうしろよ。
斜め前が紫藤の席なのでとても賑やかだ。毎日毎日飽きないものだ。
「たまにとてもぼーっとしてますわね、何を考えているのやら」
ぽそっと呟くと
「どうなんだろうね」
通りすがりの琥珀院が返事をしてくれた。
この作品はコメディーではございません!笑笑
たまにはこんな話もあります!笑笑
ブックマーク増えてました!(´。✪ ✪。`)
わーい!わーい!
今後ともよろしくお願いします(๑•̀ᴗ- )✩