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06

 


 ラーメン食べたい。


 とっても食べたい。


 お嬢様転生ものであのチープな味が凄く食べたくなるっていうのは本当だった。そもそも私は無類のラーメン好きで、頻繁にラーメン食べてないと体調崩れるくらいラーメン教だった。

 禁断症状が、、、、!!!!!!

 右手が震える!!!!!

 ラーメンを!ラーメンを求む!!!!!!



 なんて心中で訴えても出てくるはずもなく、授業中にはどうやって手に入れて食べるかをずっと模索していた。


「瑠璃坂様が物憂げな眼差しをしてらっしゃる、、」


「きっと俺たちが考えもしないようなことをお悩みになさってるのだ」


「あぁ、僕があの憂いを晴らしてあげることができれば、、、」


「憂いに満ちた表情も素敵だ、、」


「俺、話しかけてくる!」

「おい!ずるいぞ!」

「俺も俺も!」



「あ、あの、瑠璃坂様っ、元気が無さそうですね、お困りごとですか?」


 誰だっけこの子、、顔真っ赤で可愛い〜。素朴な感じ。そうそうこれこれ。小学生ってこんな感じだよね〜、お兄様や馬鹿とばっかり話してたから忘れるところだったわ〜


「ちょっとだけ、、でも、大したことじゃないの。気にしてくれてありがとう」


 カップ麺持ってこれる奴がいるとは思えないしな。そもそも私のイメージを崩すこと頼めないし。


「弱々しく微笑んでる!!!」

「天使だ!」


 天使だなんて、そんな、、きゃ!もっと言っていいんだよ?

 弱々しくは笑ってないんだけど。タレ目のせいかな?普通に笑っても弱々しいイメージつくなぁ。



 昼休みになり、私はお兄様の元を訪れた。気分が優れない時はお兄様補給しなくちゃ!

 四年生の教室は流石に緊張するな、、あ、浮世絵顏発見。久しぶりだなぁー。


「あれ?瑠璃坂くんの妹さん?」


「こんにちは、お兄様いらっしゃいますか?四年生の先輩方の教室は入りづらくて、、」


「そうだよね。呼んでくるよ。あ、今戦いごっこしてるみたい、ほら、あそこ。」


 え!?お兄様が戦いごっこ!?お兄様が!?

 そんな小学生らしいお兄様みたい!!教室を覗いてみると、お兄様がお友達の首を絞めていた。いやーん!小学生ぽいお兄様も素敵!!!


「まぁ、お兄様楽しそうですね、参加しなくていいんですか?」


「僕はよわいから、、」


 しゅんとしている。いかん、フォローしとこ。


「皆さんが自分より強いってだけで、本当に弱い人、なんていらっしゃらないかと、」


 はっとした顔になって、じっと私を見つめる。そのあと、少しずつ赤くなっていた。うーん、、


「星羅」


「あ、お兄様」


「来てたんだ。気付かなくてごめんね?常盤、妹を見ててくれてありがとう。」


「あ、うん。じゃぁ僕はこれで、、またね星羅ちゃん。また今度ゆっくり話したいな。」


「はい。ありがとうございました。」


 常盤ときわっていうのか。名残惜しそうに去っていく。うーん、これは、落としてしまったようだ。


 お兄様がさっき首を絞めていた人を指して、


「星羅、あいつとは何があっても喋らなくていいから。話しかけてきたら鳩尾に一発くらわせて僕のところにおいで?」


 何があったんだろう、もしかして、ガチ首絞めだった?お兄様、目がイッてるよ?


「さぁ、あいつの目に入らないところに移動しよう。」


 その後、お兄様に散々甘やかして頂いて満足。満足。しきりに修道院や、出家した尼の事を熱心に語ってたけど。お兄様、私結婚はしたいです。


 教室に戻っていると、女子の会話が聞こえた。


「ねぇねぇ、クラスで一番気になっている人誰?」


「うーん、クラスにはいませんわ。学年なら、、」


「あら、ダメよ。学年だとみんな同じになってしまうもの。言わないなら吉本にするわよ」


「まあそうなるけど、うーん、いませんわ」


「じゃぁ吉本よ」


「吉本は嫌ですわ」


 気になっている人なんて、小学生でも女子の会話だねぇ。

 見知らぬ吉本くんに幸あれ。




 放課後になると、紫藤と琥珀院が来た。女子がうるさい。


「星羅。今日お昼休みどこにいってた?」


 お前に関係ねぇだろ。いつでもひっついてきやがって!ピク◯ンか!お前のこと引っこ抜いた覚えはない。

 私は?と可愛らしく小首を傾げた。


「遊ぼうと誘いにきたら、瑠璃坂さんがいなくて拗ねちゃったんだよ」


 約束もしてないのに勝手に来て勝手に拗ねられてもねぇー


「まあ。」とだけ返しておく。


「そういうわけで、今日星羅の家にいく。」


 きゃー!!と女の子たちがはやしたてる。

 何がそういう訳でなんだ。ぶっ飛ばすぞ。そっちでニヤニヤしている琥珀院もムカつく。鼻に牛乳入れるぞ。


「急で困りましたわ、、そうね、あちらの彼が入れようとしているゴミが入ったら、というのはどうでしょう?」


「いいだろう」


 ゴミを投げてゴミ箱に入れようとしていたクラスメイトは投球フォームのまま固まった。


「おい、吉本、、」


「吉本、頑張れ」


「吉本くん、わかっているわね?」


 吉本ぉぉぉぉぉ!!!!お前が吉本か!



 振りかぶっていた彼の右手は遠目にもわかるほど震えていた。






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