表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/34

32 いつぞやのクラスメイト/赤津華朱莉嘉

 皆さまお久しぶり。僕はしがない星羅さんのクラスメイトだ。初等部でずっと同じクラスだった星羅さん。中等部でも同じクラスだった。

 吉本も一緒だ。


 中等部に上がって、逆らってはならない人が増えた。五代名家の赤津華朱莉嘉あかつかしゅりか、1つ上の先輩である翠城碧すいじょうみどり。こちらも五代名家だ。


 女子の人気は三分割になった。と言っても隣の学園から雪城学園に入学した生徒も多い為、一人頭のファンの人数は今までと変わりない。



 星羅さんは変わらず、スクールカーストなく皆と仲良くしている。流石は星羅さん。

 そんな星羅さんだが、この前、いじめの首謀者にされそうになっていた。先生のチェックを無事終えた僕は、そのやり取りに夢中であったが、星羅さんの次の列であった吉本は、やり取りを聞きながら机の中の物を出したり、しまったりしていた。チェックが自分の所に来るか来ないかを図っているのはわかるけど、、何をしているんだ吉本。隣の駒井くんが凝視しているぞ。


 赤津華が星羅さんを信じたのは爽快だった。イリスの会とか学園以外でも関わりがあるから、星羅さんの人と成りは分かっているのかな?



 吉本といえば。中等部に上がってからまた、吉本の意味のわからない発言や行動にクラスから浮きそうになっていた時、文化祭で星羅さんが紫藤さんのデザインを作るという事を提案し、吉本も手先が器用で満足のいく作品を作れたこともあって、クラスメイトと仲良くなれた。吉本。お前はもっと星羅さんに有り難みを感じろ。



 中等部に上がってからと言うものの、弟くんは来なくなった。まぁ、来にくいよね。お兄さんも食堂で一緒に食事をしているところはたまに見かけるが、クラスまで来る事はなくなった。


 文化祭からと言うものの、星羅さんが寂しそうである。もともと、か弱い雰囲気だった星羅さんがたまに今にも泣きそうに顔を歪める姿はクラスメイトの殆どが胸を痛めている。しかし誰もその理由を聞くことも、知ることもない。

 紫藤さんは知っているのかな?聞きそうなものだけど。紫藤さんも星羅さんをじっと見る事はあっても表情に関しては何も言わない。普通の会話だけだ。


 星羅さんの憂いを僕が晴らせる事が出来れば、と思わなくもないが、僕はお呼びではないだろう。


 これからもそっと僕らは星羅さんを見守るのみだ。


 P.S.琥珀院さんが髪の毛を切って女子達が大層お喜びだったので、僕も切ってみた。親しい男友達以外からは何も言われなかった。







 ーーーーーーーーーーーーーーー



 赤津華朱莉嘉




 小さい頃から声が聞こえた。成長するにつれ、それが心の声と知った。

 今まではこの能力、、能力とは言いたくないが。まぁこの力に振り回される日々だったが、だんだんと力はコントロール出来るようになった。弱まっている様にも感じる。


 今ではその人の色が見えるのと、気にしてみれば心も読める。強い感情も。


 その力のおかげで瑠璃坂がいじめの首謀者にされそうになっている時、たまたま聞いた事にはしたが、瑠璃坂でない事は分かった。



 瑠璃坂は小さい頃から不思議な色をしていた。ここにいない様で、いる、いる様でいない、そんな色だ。

 心なんて読めてもいい事なかったが、瑠璃坂の側にいると落ち着いた。だからパーティーなどはいつも瑠璃坂の後ろをそれとなく陣取っていた。本人はちっとも気づいてなかった。

 でも、紫藤は俺を気にしていたから気づいていたぞ。



 瑠璃坂の事は割と読んでしまう事が多いので、不公平に感じ、自分のことを打ち明けてみた。


 立派な厨二病にされた。


 あれから、すれ違う時には名前ではなく、心眼の覇者と俺を呼ぶ。なんだよ、心眼の覇者って。何も上手くないぞ。


 そして俺は光の玉なんて集めてない。すれ違う度に光の玉が何個集まったか考えるのを止めろ。



 翠城家のパーティーでは心の声で話しかけてきた。厨二病だと相手にしていない割に、心が読めても別に、というのを感じさせる瑠璃坂は凄い。普通、もっと気持ち悪がるとかありそうなのに。いや、あったんだ。気持ち悪るがられ、避けられた事があるんだ。あの時にもう二度と人には話さないと誓ったんだが、瑠璃坂ならもしかしてと感じてしまったんだ。もう傷つきたくなかったのに。


 そして言われた?通りに会場を出てみたら、すざましい怒りのオーラを感じたのですぐ引き返した。俺に何をさせるつもりだったんだ。鉄砲玉ってなんだよ。

 翠城碧もそういう意味では特別。アイツは読めない。いや、読みにくい。凄く気力を使って読もうとすれば読めるのだが、すぐにやめた。知らない方がいいことも世の中沢山あるものだ。

 同類で言えば琥珀院も読みにくい。翠城のことがあった後知った為、琥珀院は全く読んでない。近くにいても全く声が聞こえないのはむしろ恐怖だ。




 それにしても瑠璃坂。薄々気づき始めたのはいいが、俺をスパイにしようとするな。そして薄々気づいているのに、俺に対しての厨二病というレッテルがちっとも覆らないのは何故だ。



 体育は1組も合同授業で一緒だが、風で砂が右目に入ったので目を抑えていたら、右目か!?疼くのは右目なんだな!っと語りかけてきた。あの距離で聴こえるのはもう語りかけているより他はない。そのあと全て分かっている、とでも言いたげに頷く瑠璃坂。凄い嫌がらせだ。



 そして瑠璃坂。転生ってなんだ?乙女ゲームってなんなんだ?

 瑠璃坂は普段は割と読めるというか、まるで語りかけているとき、叫んでいるときは、どこにいても聴こえるんだが、ふと全く無音になる時がある。まるで見えない壁で塞がれている様だ。転生や乙女ゲームが何か知ろうと思っても、見えない壁で塞がれて何も聴こえない。何かを隠す感情の時もそうだ。使い分けている?そんなことが出来るのか?まるで心を見せていい時と見せたくない時で使いこなしているみたいな、、、まさかな。そんな人間出会ったことがない。





 あ、瑠璃坂だ。こちらに気づく。


 おっす、おら心眼の覇者。光の玉はどこだ?うぷぷぷっ




 バッチリ聴こえたぞ

 この力、、聴くだけでなく相手に訴えられたらいいのに、、!


 俺は光の玉は集めてないし、闇の支配者にもなっていない!!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ