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 文化祭当日。


 事前に1つ買っていいと委員長からのお達しだった為、瑠璃坂の権力を使って3つ購入した。お兄様用と両親用だ。


 アクセサリーは大好評。作った人は分からないようにしているのだが、どこからか入手した情報にて紫藤デザインの元、吉本が作ったアクセサリーは微妙な顔をしながらも女子の皆様に大好評。すぐに完売した。

 私の作ったストラップや、アクセサリーも完売。有り難き。





 翠斗あきとくんに振られた為、まどかさん達と小学校からの私の取り巻き達も一緒に文化祭を回る。取り巻き達と円さんも仲良くしてるようで良き良き。


 翠斗くんの演劇は前から3列目を抑えた。スコープまでとは行かないが、目がさほど良くない私は眼鏡を装着。表情まで見えるぜ!



 ロミオと白雪姫はそこそこ人が集まっている。

 話は、家は対立関係で、ヒロインが毒リンゴで仮死状態になってしまう、とまぁありがちの内容だった。


 ヒロインが翠斗くんの好きな美人さんだった。ヒロインなのは分かるけど、相手役が翠斗くんなのが複雑。


 キスシーンは流石にフリだろうが、私の胸にモヤモヤがおきる。


 どうしてもっと早く生まれなかったのかな。同じクラスだったらもっと近づけたのに。



 モヤモヤを抱えながら劇を鑑賞した。





 あ、受付してるお兄様発見。


「お兄様!」


 私が駆け寄ると笑顔で迎えてくれる。最高だ。


「星羅。お友達もこんにちは。」


 私の周りは頬を染める。取り巻きの男の子たちはちょっぴり居心地悪そうだ。



「妹ちゃん久しぶりだね」


 お兄様の友達の若葉わかば翡翠ひすい先輩も常盤ときわ先輩も受付している。生徒会役員らしい。


 常盤先輩の下の名前は知らない。



「お久しぶりです。翡翠先輩。常盤先輩」


「星羅ちゃん。久しぶり。」


 常盤先輩はイケメンではないけれど、整った顔立ちで癒し系だ。


「星羅。鳩尾は?」


 いやいや。お兄様。こんな人前では翡翠先輩の鳩尾を狙えませんて。私の友人もいるんですから。


「お兄様。お兄様にプレゼントするアクセサリー購入したので、家に帰ったらお渡し致しますね」


「ありがとう。大切にするね」


「あれ?俺のは?」


 という翡翠先輩。


「星羅がお前のを買うわけないだろう」


 というお兄様達の会話をニコニコと聞く常盤先輩。

 仲がいいね。


「星羅様はご兄弟と本当に仲がよろしいのですね」


 一緒に文化祭を回っていた吉原さんが口を開く。


「たった1人の兄ですし、たった1人の弟ですから」



 お兄様達と別れて文化祭を楽しんだ。






 次の日の一般公開は樹とプラプラ。この日も翠斗くんの劇は観る。


 樹の友人とも何人かすれ違う。知っている子もいるね。私の天使ちゃん達は立派な人間になってきている。



「僕の姉様。」


 と紹介される。


「こんにちは。瑠璃坂星羅です」


 樹の姉として、恥ずかしくない姿でいなくては!





 翠斗くんの劇を樹と見る。

 最前列で眼鏡をかけた私は見てしまった。今日の劇でのキスシーン。

 私には見えた。本当にキスしているところを。



 痛い。胸が張り裂けそうだ。


「姉様どうしたの?」


 樹が心配そうにしている。


「なんでもないわ。ちょっとお腹が痛くなっただけ、もう大丈夫よ」


 私は拳を握って元気に振る舞う。


 その後は樹と一緒に私のクラスに行ってお揃いのストラップを購入。

 私がデザインした雪の結晶のストラップ。


 私たちのすぐ後に私の作った物達は完売していた。

 売り上げに貢献せずともアクセサリーは人気よのぅ。



 こうして文化祭は大盛況のもと、無事終了した。







 家に帰り、何事もなく普段通りに過ごした。自室に入ってこれからは1人。


 私の頭の中は今日の翠斗くんのキスでいっぱいだった。


 分かってた。いや、解ってた。

 初めから理解していた。それでも恋をしてしまったのは私。諦めなかったのは私。



 瞼を閉じれば翠斗くんの姿が見える。走馬灯のように今までの思い出が流れた。そしてその姿の中には翠斗くんが、好きな人を見つめている姿も。


 覚悟は決める。でもあと少し、もう少しでいいから好きでいてもいいよね。








 文化祭が終わってからも翠斗くんはいつもの木の上に現れなかった。

 私は1人木の上に登ってスコープを持つ。文化祭でクラスメイトと仲良くなった翠斗くん。もともと怖いって勘違いから1人だったんだもん。こうなることは予測出来ていた。


 今日も翠斗くんがいつも座っていた木の感触を踏みしめながら、翠斗くんの教室をスコープで覗いていた。


 私はストーカーではない。断じて。



 ふぅ。ため息をついてコテージの個室へ入る。1人でいたかった。

 まだ、もうちょっと諦めないよ。翠斗くん。

 翠斗くんが使っていたシャーペンを握りしめてどっぷりと想い出に浸る。




 、、私は断じてストーカーではない。






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