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03

 

 お兄様はトイレにいってしまった。寂しい。

 さすがにトイレにまで追っかけて行くわけには行かないので、大人しく壁の花をしようと、壁の椅子に移動したのは良いが、


「星羅様は普段何をしているのですか?」


「おい、今は俺と星羅様が話しているんだ」


「おいおい、止めろよ。星羅様が怖がってらっしゃる、僕とあちらでお話ししませんか?」


 とさっきから話しかけられまくり。瑠璃坂ってそんなに有名な家なのか?壁の花になってる私をお兄様に見つけてもらってプチシンデレラの気分を味わおう。ぐふふ。という私の目論見は叩きのめされた。

 私は適当に相槌をうちながら流している。所詮小学生。とりあえず褒めとけば勝手に気分良くなるんだよな。お、お兄様が戻ってきた!


「星羅、さっきの場所にいないから探したよ。」


「薫お兄様、お帰りなさい。お姉様方のお話を邪魔してはいけないと思ったの。でもここにいるお兄様方が相手してくださったから寂しくありませんでした。みなさん薫お兄様のお友達だったので、お兄様の学校でのお話をお聞きできて楽しかったです」


「僕の友達?」


 お兄様は私の周りに集まっていた面々を見渡す。


「ふうん?」


 お兄様が笑うと、「では僕たちはこの辺で失礼、またお話しましょう、星羅様」と蜘蛛の子蹴散らすように離れていった。

 え、お兄様の友達って嘘だったの?


 私とお兄様が仲良く話していると当たりが一斉に騒がしくなった。向こう側からすごい取り巻き?の女を連れている子どもが来ている。


「まぁ、きり様よ!」


「あの、五代名家、紫藤家しとうけのご子息の、、」


「今日もカッコいいわっ」


「あぁ、一度でいいからお名前お呼びしてほしいわ!」



 随分人気だな。お兄様と同じくらいじゃないか?ちなみに私は全然見えない。だってお姉様方が立ち上がってるんだもん。おー、群がっちゃって。あ、浮世絵顏発見。あいつ誰狙いなんだ。


「とても人気なんですね」


「うちと同じ、五代名家だからね。」


「五代名家、、」


 うん。帰ったら勉強しよう。思ったよりまずいぞ。五代名家というなら攻略対象か?それにしても、紫藤に瑠璃坂か。紫に青とくればあとは黄色、赤、緑か?


「桐くんは星羅と同い年だからこれから話す機会も増えるかも知れないね。」


 そうなのか。ますます攻略対象くさいぞ。


「ご挨拶するべきでしょうか、」


「そうだね。落ち着いたら一緒に行こう。」






 どうしてこうなった。


 お兄様と紫藤に挨拶に行ったはいいが、何故かついてきて、隣に座っている。そしてお兄様はお姉様方に呼ばれ、今は2人でテーブルを囲んでいる状態だ。視線が痛い。浮世絵顏がこちらを睨んでいる。お前はお兄様と話さなくていいの?本命はこっち?


「お料理が全然ございませんね、なにか頼みましょうか」


「あぁ」


 と機転を利かし、スタッフさんにこちらにも料理を持ってきてもらう。にしても凄い綺麗な顔してるなぁ、お兄様とはまた違う、黒髪イケメンだ。ぱっちり大きな目がまだあどけなく、可愛らしい。しかしこいつさっきから「あぁ」しか言わねーな。口下手なのか?


「お料理美味しそうですね、いただきます。」


 私が美味しく食べると、紫藤は何も言わずに食べ始めるので、「厚かましい様ですが、いただきますと言うのは食材に命を頂いてるからどんな時でもちゃんと言うことが大事だと思います」って教えたら、はっとこちらをガン見してきた。え?怒った?


 そしてしばらく何か考えた後で


「お命頂戴致す!」


 と言い始めた。この子攻略対象じゃないわ。きっと。

 どこで手に入れたのそんな言葉。忍者になるの?ねえねえ、忍者になるの?


 それからというもの、懐かれたようで、生まれたてのヒヨコのように私の後をついてくる。イケメンだから嫌ではないけど、君きっと攻略対象じゃないから、もうどっかいってよー。


 しかもさっきとは打って変わり「普段は何して遊んでるんだ?」「小学校は一緒だったよな?」「今度一緒に遊ぼう」などなど、とてもうるさい。


 現在はパーティー会場を散歩中だが、紫藤があまりにも遊べとうるさいので、誰もいないことを確認して、


「私、おうまさんごっこがとても好きなの。それなら遊ぶわ。おうまさん、して?」


 と可愛くお願いした。


「そんな子どもっぽい遊びが好きなのか。しょうがないなぁ、ちょっとだけだぞ、ホラッ!」


 紫藤は恥ずかしそうに嬉しそうにしながら四つん這いになる。


「ほうら、草よ。くえ、くえ。」


「、、、、、、、、」










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