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 期末テストは終わった。私?抜かりはない。毎日の復習予習もしているしね。勉強に関しては唯一の前世手当もあるしね。


 文化祭を翠斗あきとくんと一緒に回るためにお誘いにでる。


「翠斗くんは文化祭何をするんですか?」


「、、、、」


 そんな言いたくないこと!?


「星羅のクラスは?」


「私のクラスはアクセサリーショップです。文化祭初日、一緒に回ろう?」



「多分難しい」


「え!!誰と回るの?」


 根掘り葉掘り。翠斗くんのクラスは劇をやるらしい。その関係で忙しく、文化祭を回る時間は無いに等しいとのこと。

 ちょっとホッとする。


「劇は何をするんです?」


「ロミオと白雪姫」


「何それ」


「脚本をクラスメイトがしているんだ。」


 へー。合本みたいな感じかな?


「翠斗くんは何をするんですか?」


「、、、、、、、」


 口を割らない。これは気になる。尋問を始めると、ポソっと何か言う。


「もっと大きな声で。」


「、、、ロミオ」


「えーーーーー!!!!!!!」


「仕方ないだろ!クジで決まったんだよ」


「絶対観に行きます!絶対!」


「観なくていい」


 行きますとも!!!カメラ!席次第ではスコープも!


 溜め息を吐く翠斗くんも素敵。


「それがあるから、しばらく昼休憩も忙しくなる。今日はたまたま練習がないんだ」


 最近誘っても断られるのはそういう事だったんだ。


「頑張ってね」


 嫌そうに手を上げて教室に戻っていく翠斗くん。


 文化祭楽しみーーー!!!







 私のクラスも準備は佳境のまま。最近は総合の授業はもっぱら文化祭準備に入らして貰っている。


 吉本めちゃくちゃ上手い。私のも作ってもらいたいくらいだ。クラスメイトも吉本の手さばきを見て、教えを頂いている。仲が良くなることは良き良き。



「星羅。今日うちに来ないか?」


「紫藤様。今日ですか?」


「映画を見たいんだが、星羅がダメというから。星羅が選んだものならいいだろう?」


 禁断症状でも出たのか。まぁ映画好きには苦だったろうな


「いいですよ。アイリスの出席書類も持っていきますね」



 女子の目が痛いのでアイリスと一言でも出しておけば納得するだろう。そもそもコソコソ話のような声だ。私はアイリス、のところだけ皆に聞こえるように声をあげる。


 納得した表情の女子。イリスの会、アイリスの言葉使える使える。




 移動教室の途中、心眼の覇者を見かけた。すれ違いざまに


「文化祭でうちのクラスのアクセサリーの中に、能力を抑えられる石を使っているものがございますわ。そろそろ目が疼く頃でしょう」


 と言っておいた。疼くのは右目か?左目か?








 紫藤の家に行く為、家に連絡をする。駐車場に止まってる紫藤の車のドアが開く。車に乗ると琥珀院もいた。


「僕もいいでしょう?」


「いいんでないでしょうか」


 いてもいなくても一緒だ。



 紫藤の部屋にスクリーンが用意されている。映画好きは伊達じゃないな。


 私は紫藤の映画からケモノ姫を選ぶ。小さい子から大人まで人気のアニメ作品だ。このシリーズは私が大好きなのだ。崖の谷のシカもいいなぁ。



 あ、私はポップコーンはいりません。

 お菓子ってあんまり食べないんだよね。お腹にたまるものが好き。ケーキとかパンとかご飯系。



 おお!何度見ても素晴らしい!こんな男の人いたら恋に落ちるわ!


 見終わったらお茶を入れて感想を言い合う。



「何度みても面白いね。僕が観たのはこれで3回目くらいだけど」


「そうですね。私このアニメシリーズ大好きなんです。この作品は口移しで肉を食べさせるところが好きです」


「意外と描写が細かいよな。村人が切られたところはしっかり腕が飛んでたし」


 やめろ。


「食べ物を用意する」


 紅茶だけでも構わないけど、あるならスコーンとかマカロンがいいなぁ



 そのまま3人で談笑をしていると、生肉が届いた。

 は!?


 それを紫藤は一口、口にいれ私の方へ迫ってくる。

 私はマナーなんてすっ飛ばして全速力で紫藤の部屋を走り回った。


 流石紫藤というか、早い!捕まった!


 フゴフゴと何かを言う紫藤。何言ってるかわからない。


 取っ組み合いをしている私たちを爆笑しながら優雅に紅茶を飲んでいる琥珀院。止めろやぁぁぁ!!


「星羅の好きなシーンを再現してるみたいだね」



 口移しか!?口移しをしようとしているのか!?


「あれは生肉ではございません!!!!干し肉です!!!!!」


「仲が良いようで何よりだね」


「黙れ!動く城ぉぉぉぉ!!!!」



 はっと私は思い付き、


「紫藤様。何かが足りませんわ!そこに座って!」


 と命令する。大人しく座る紫藤。まだ生肉は口の中だ。


 私は自分のペンケースからピンクのマーカーを出す。赤のマーカーは持ってない。


 紫藤の頬に逆三角形を描いてやる。


「紫藤様。私は横に並ぶ狼をやります。主人公は琥珀院様です」


 と横に四つん這いになって見せる。生肉口移しよりマシだ。


 紫藤はノリノリで琥珀院に向かう。琥珀院は慌てて逃げ回る。私は四つん這いで琥珀院の前へ立ち?はだかり、琥珀院の動きを止める。紫藤に捕まる琥珀院。あはははは!


 琥珀院に迫る紫藤の絵柄を見て四つん這いを止め、カメラに収める。来年の運動会への景品にでもするか。女子の皆様が喜びそうな図だ。


「ちょ!待って!待って!!きり!!」


「フゴフゴ」


 イケメンなだけに面白すぎる。爆笑する私は助けを求める琥珀院を横目に紅茶を優雅に飲んで見せる。




 生肉を口に入れて気持ち悪くなった紫藤がトイレに駆け込んだことによって終止符が打たれた。



「星羅」


「琥珀院様も私を助けなかったわ」


「、、、動く城って何?」


「何のことでしょう?」


 君がケモノ姫と同じアニメシリーズの動く城の王子に似てるんだよ。途中王子は残念王子に変わるけど。でもあれは最後までカッコいい王子だ。






 次の日、琥珀院は肩まで伸ばしていた髪の毛を切ってきた。


良い子は真似しないように

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