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次の日家に暁天さんが父母を伴って謝罪にきた。
え!父親いるやん!生きてるじゃん!
「この度は娘が本当に申し訳ございませんでした」
私は家族に何も言っていなかったので、お母様もお父様も何が何だか分からないようだった。
それを知った暁天夫妻が事の次第を話す。
「まぁ、そんなことが、、」
お母様はのほほんとしている。お父様も難しい顔をしているが特に不満は言っていない。
「娘の可愛がっていたイヌなんです。チチという名前でね、、」
と申し訳なさそうに言う暁天パパ。
形見は父、ではなくチチだったのか。
なんだか騙された気分であったが私は特に気にしてませんよ、という様に振る舞った。
それでは気が済まないという暁天夫妻に
「それでは、円さん。私の友達になって頂けませんか?私はどうも人見知りなようで、それとなく過ごす事は出来ても親しい友人というのは少ないの」
と提案してみる。
目を見開く暁天さんとご両親。うちの両親はニコニコしている。
「でもそんな、、あんなことした私にお友達になれる権利なんか」
随分しょんぼりしてらっしゃる。こってり絞られてきた様だ。
「権利とか関係ないわ、円さんと友達になりたいと思ったの」
「娘の今後の学園生活を考えて下さったのですね、、星羅さんに酷いことをしてしまったのに、」
まぁ、それも無くはない
「でも、本当によろしいのでしょうか?」
震える声で円さんが問う
「いいのですよ。本人の私が言っていることですから」
でも、田中さん、吉原さん、飯田さんにもしっかり謝る様に。
「娘もこう言っていますので、今回の事は大きくはせず、娘の友達になるという事で良いのではないでしょうか。でも万が一次があれば私たちも可愛い娘を思って動かざるを得ませんので」
あらお父様。いい事いうじゃない。
「そんな!次だなんてございません!な、円。」
「はい!勿論です!!」
この件はこれにて完結。
その後は私の自室に連れて行って気遅れする円さんを遊び倒した。
その晩、お父様とお母様、お兄様、私の4人でティーを飲んでいると
「星羅。暁天さんのこと、良かったのか?優しすぎるのも心配だよ」
とお父様。
「勿論。だって円さん顔が可愛いではございませんか。私、前から狙っていたのよ。可愛い子は何をしても大抵は許されるものよ」
シレッと話す。
円さん、これから素敵な友人関係を築きましょうね?
「「「、、、、、、、」」」
「誰に似たのかい?」
という父に
「私ではないわね」
という母
「親の顔が見てみたいね」
という兄。親どころか、兄弟の顔もよくよくご存知でしょう?
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体育祭が終わったと思えば次は文化祭。どうせ色々詰まってくるなら文化祭、体育祭の順番にすればあんな暑い思いしないで済むのではないのだろうか。でも、体育祭が秋なのはある話でも、文化祭が夏はないよね。
雪城学園では文化祭に最も力を入れているのは高等部なので、中等部は左程苦労をしないでいいのはありがたい。と言っても腐ってもお金持ち学園。そこそこの準備はいる。
「クラスの出し物は何にしますか。3年生の先輩方が優先なので被りにくそうなのが良いそうです。」
クラスの委員長が指揮をとっている。
休憩室でいいじゃん。ベンチ置くだけのやつ。金持ち学校だから高級な良い座り心地の椅子置いとけば?
と私は思うのだが、演劇、合唱、屋台、カフェ、お化け屋敷と王道なのが候補にあがる。合唱て文化祭でやるものかな?
「アクセサリー作り体験は?」
紫藤がとんでもないことを言った。
え?アロマキャンドルとか石鹸風の出し物?それ、売れなかった子のアクセサリーどうすんの?手作りで作ってあるものと、あらかじめパーツを用意して組み合わせも出来るようにする?なにそれ面倒くさそう、、、
さすが金持ち学園というか、、手間も金もかかる事を、、
と内心の私。誰が作ったかは極力わからない様にするらしい。
「素敵!それにしましょう!紫藤様が言ってますし!」
「そうね!今までになかった発想だわ!先輩方とも被らなそう!」
女子の皆様が浮き足立つ。君たち、紫藤の作ったアクセサリーこっそりキープしたいだけだろう。
古川さんも目を輝かせている。戻ってこーい。
そのまま決定してしまった。私作れるかな?1つ残らず買ってもらえる様に裏で手配しなくては、、
はい。チンケなプライドの持ち主です、、
そして皆忘れてるね?文化祭の前に期末テストだよ。
とりあえず紫藤に当分映画観賞禁止を言い渡そうかな。どうせアクセサリー作りも映画の影響でしょ




