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「まさか、星羅様が、、?」

「星羅様がそんな事なさるはずないわ!」


 クラスの騒めきは止まらない。


「どうして瑠璃坂さんのポケットにこれが?」

 先生が訪ねてくる。私が知りたいわ!そんなもん!


「朝の時にはなかったんですが、、」


 私に言えるのはそんくらいだ。上着、、暑かったから椅子にかけっぱなしにしてたけど、そんな嫌がらせされるほど恨まれているつもりもない。もちろんそんな根性持っている奴がいるなんて分かっていたらそんなヘマはしない。


「星羅、心当たりは?」

 紫藤が訪ねてくる。普段蔑ろにしつつも、こういう時に私を疑ってないとわかる紫藤にちょっとうるっときた。


「ございません」


 すると震えたようにクラスメイトの田中さんがポソっと


「そういえば、星羅様が最近朝早く3組に入って行くのを見かけた人が、、いるらしくて、、、」


 どんどん言葉尻が小さくなっている。やめてー私が脅してるみたいじゃーん!


 クラスは沈黙に包まれる


「酷いわ!瑠璃坂様!父の、唯一の形見なのに!」


 と暁天さんが泣き始める。え、これ完全に私犯人パターンじゃん


「瑠璃坂さん、朝3組に入っているのは本当かい?」


 先生のこの質問に私は是と答えるしかない。その通りだし、、


「何をしていたのかな」


 いや、いじめの落書きを消していたと言っても信憑性がないし、いじめがあったことを黙認していることにもなるし、何より名前も知らないその子がいじめられていることが公になってしまう


「掃除です。花瓶が置きっ放しだったのを見て戻すのがきっかけで、、」


 嘘ではないが苦しい言い訳にしかならない。本当にそうならば毎日朝に行く必要がないからだ。


 再びクラスは静寂になり、暁天さんの泣き声だけが響いている。


「アイリスでも私を無視しているのは許せます。でもこんなのあんまりですわ!」


 泣き叫びながら暁天さんは私に訴える。その悲痛さに周りの大半は暁天さんの味方になっているように思える。


「緋津華様!聞いてください!瑠璃坂様が!」


 と暁天さんは同じく通りがかったのであろう緋津華に訴える。いたんだ、緋津華。


 この状況にこの証言。もう私が意地悪して盗ったことでいいような気もしてきた。面倒くさい。



 緋津華は私の方をチラリと見てから


「俺は瑠璃坂が盗ったとは思わない」


 と言ってくれた。ここでのまさかの援護?


「五代名家だからって肩身を持つのですか!?やってはいけないことは同じです!同じ人なんですから!」


 ポロポロと未だに涙を流す。可愛い子が泣いてるとそれだけで味方になりたくなっちゃうなぁ

 いや、私酷い言われようなんだけど。無視してたっけ?それにしても泣いてる暁天さん可愛い。顔が。


 しかしそんなのにはつられないのか、緋津華は流される雰囲気は全くない。ふと暁天さんの後ろの女の子たちが何か言いたそうにしているのを見つけた。

 何か知っているのか?

 同じようにその雰囲気を察したのか緋津華が


「吉原、飯田。何か言いたそうだな」


 とその女の子たちに話しかける。女の子達はビクっとして顔を見合わせて迷いを示す。


 紫藤がその子達を一瞥し


「何か知ってるなら話せ」


 と命令口調で指示した。こう、反論はさせないという雰囲気。こいつこんな事も出来たのか。


 口元をわなわなさせた吉原さんが


「ご、ごめんなさい、ごめんなさい」


 と謝り始めた。何が起こっているのかわからない私とクラスメイト。


 必死に謝りながらも何も話さない吉原さん。プルプルと震えてる姿がなんだか捨てられた子犬のようで居た堪れない。


「いえない事もございますわよね。無理しなくていいのよ」


 と手助けをしてしまった。だって可哀想なんだもん。暁天さんよりずっとプルプルしている。


「瑠璃坂さん!これは学園にクレームを申請させて頂きますわ!」


 暁天さんが叫ぶ。


「そうですか。私のポケットにあったのは事実。それで気が治まるならば是非クレームを出して頂ければと思います」


 私が犯人では無いにしろ、いじめがあるのも事実だし、暁天さんの形見が無くなったのも事実。暁天さんの顔が可愛いので今後このようなことは無いように私としてもお願いしたい。でも泣いてる暁天さん、やっぱり可愛い。いや、私に女の子泣かせて喜ぶ趣味はないのだが


 そんな私たちを見てクラスメイトの田中さんが勇気を振り絞ったように


「ごめんなさい星羅様!」


 と泣き始めた。ひぐひぐと泣く田中さん。ごめん、何が何だかわからないけど、田中さんの泣き顔が酷すぎて早く泣き止んで欲しい。田中さんは笑ってる方が可愛いタイプだと思うよ


 過呼吸のようになった田中さんがそれでも懸命に声を出す


「暁天様に、、ひぐっ、、星羅様が3組に入った事を言わないと、ひぐっ、家が危なくなると、、ひっ、、脅されて、、、」




 ん????



 雲行きが変わったぞ。どういう事かね?暁天さん?


「何を言っているの!!!その女のいうことはデタラメです!!!!私のペンダントが瑠璃坂様のポケットから出てきたのは事実!!!」


 と叫ぶ。

 とりあえず田中さん死にそうだから保健室へ行かせてやって?


 田中さんに感化されたのか、吉原さんが口を開く


「私も暁天様に、、虐めている様に見せてくれと言われて、、毎日机に落書きを命令されて、、そしたら、ある日瑠璃坂様が、私の書いた落書きを消しているの見かけて、、それを知った暁天さんが、、犯人を瑠璃坂様にしようと、、」


 飯田さんも意を決したように


「暁天様に言われて、田中さんに瑠璃坂様のポケットにペンダントを入れるように頼んだのは私です、、」


 と。


「なぜそんなことを?」


 それまで口を閉じていた先生の問いに


「虐められている、というのを知ってもらい、緋津華様の気を引くんだと、、、」




 飛んだ白羽の矢だ。にしても可愛い顔して陰湿なことを企むなぁ〜。暁天さん怒った顔は怖いよ。般若も逃げることまっしぐらだよ。


 獣の形相をした暁天さんが


「この子たちの言っていることは全て嘘よ!!私を貶める為に言っているのよ!!信じて下さいますよね!緋津華様!!!!私を助けて下さい!」


 さっきまで可愛い泣き顔だったのに一気にホラーになった暁天さん。怖いよぅ。妖怪だよぅ


 緋津華は何も言わない。


「暁天様!この先私の立場がどうなっても構いません!でも、でも!ご自分の事でもないのに毎日朝早くからあの瑠璃坂様が、!雑巾を手に、今にも泣きそうな顔で懸命に黒板や机を拭いていたのです!それは、とてもとても哀しそうに、涙まで浮かべて、毎日必死に拭いていたのです!!!」


 感極まったのか吉原さんも泣きはじめ訴えている。見られていたのか!恥ずかしい〜!!ちょっとヒーロー気取りだったんだよ!誰も知らない事がかっこいいかもって悦に浸ってたんだよ〜


 恥ずかしいからもうやめてぇー!!!しかも贖罪でやってただけだし、そんな出来た人じゃないし!!私が助けてほしいわ!誰かぁ〜


 そんな私の心はつゆ知らずか、クラスメイトまでもらい泣きしている。勘弁しておくれ、、それにしてもこんな早くに裏切られるなんて、暁天さん小物すぎる、、



 古川さんが

「最近星羅様が憂い顔だったのはそのせいだったのね!!」


 と畳を掛ける。もう許してください。穴があったら入りたいです。


 それまで無言だった緋津華が


「知っている。だから瑠璃坂じゃないときっぱり言い切れた。たまたま、暁天が虐めと見せかけてくれと言っているやりとりの時に通りがかったから初めから知っていた」


 暁天〜〜!!!詰めが甘すぎるぞ!!


「そ、そんな、、そんな、、、」


 暁天さんが膝を床につき、虚ろな目をした。終わったな。


「先生。とりあえず田中さんは保健室へ行って頂いてよろしいでしょうか?それと、暁天さん、涙を拭いて」


 とハンカチを差し出す。獣の形相から可愛い姿に戻ってくれ。怖いんだ。頼むよ。


「星羅様なんてお優しいんだ」


 ポツリと誰かが言った事によりなんだか私の株が上がった気がする。いや、獣の形相が怖いんだよ、、でもあえて訂正はいたすまい。



「この事はこの後の職員会議で報告させて頂こう。では各クラス授業に戻るように」


 と先生は言い、他のクラスへ内線を回し荷物チェックの終了を先生方に伝えていた。



 暁天さんはその後先生に呼び出しをくらったらしい。あーぁー。小物が半端な事するからこうなるんだよ。でも私は君の可愛い顔は今後も好きだよ?



 とりあえず身内を敵には回さぬ、と古川さんにはお礼を伝えた。

 私、女の子の親しい子が今までいないことを痛感。取り巻きはいても、友達いないなぁ、、



 古川さん友達になってくれるかな?



 よし!これからは友達100人目指すぞ!そして山頂でおにぎりをみんなで食べればもう敵なしだ!!!


 そんなことを考える私を知ってか知らずか、残念そうな顔で緋津華が私を見ていた。

 なんだよこの野郎。


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