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 その日の私はちょっと早く学校に着いた。早起きしてしまったのだ。二度寝の危険性を前世で知っている私は早めの朝食をとり、二度寝しないようにそのまま家を出た。


 本当にたまたまだったのだが、自分のクラスに行く途中、花瓶が席の上に見えて足を止めた。


 このクラスは3組。1つの席に花瓶が置いてある。まだ誰もいない時間だったこともあり、興味本意にこっそりクラスに入りその席に近づいた。花瓶の下には暴言の数々が書かれている。お金持ちでもいじめってあるんだぁ


 私は前世でいじめを知っている。悪質ないじめだ。男の子だったが、きっかけが何だったのかは知らない。いじめはエスカレートしていき、性的暴力にもなっていった。その子は前世でその時の私の好きな人でもあった。だが、主犯の男の子達が彼のズボン、パンツを脱がし「こいつ、◯◯のこと好きなんだって〜」と言われた。私の名前だ。携帯に彼の姿の写真を撮っている主犯達が私は怖くて、とにかく関わらない様にと振る舞い、その子を助けることは出来なかった。確かに変わらず私の好きな人だったのに。その男の子はその後何ヶ月か後に自殺した。悔しかった。憎かった。何も出来なかった自分が。


 その時のことを思い出し、私は花瓶を退け、文字を消そうと雑巾を机に押し付けた。中々消えない。書かれてる文字が「ビッチ」「寝取り女」とあったので、その机の持ち主が女の子であることが分かった。事実にしろ、嘘にしろこのやり方は解せん。何より、前世では救うことが出来なかった男の子への贖罪のような気持ちでひたすらに擦った。


 こんなもんかな。あまりにもピカピカになっても変だし、文字は見えないほど消えたからいいだろう。



 私のクラスではそんなことが無かったし、今後もさせることはないと思う。私、権限あるしね。一瞥よそんなん。一瞥。

 あぁ、前世でもこのくらい明白な権限があれば彼を死という道へ追いやる事はなかったのに。私も死んで異世界転生してるわけだから、その彼ももしかしたら転生してるかもしれないね。輪廻転生があるならば、その彼に幸せな次の世界がありますように。




 憂鬱でその日を過ごした。


 古川さんの

「星羅様、今日はなんだか悲しげですね」

 という発言にも


「そうかしら」

 とフォローも出来ないくらいだ。


 次の日もなんだか気になって早めに登校した。やっぱり落書きがあり、黒板にも書かれていた。書かれている子の名前も知らないし、書いている子の理由も知らないが、その日も私は消した。黒板て意外と大変。日直が、放課後に雑巾で綺麗に拭きあげる毎日であることもあり、消すだけじゃなく拭きあげまでしなくてはならない。お金持ちの学校なのに!!と思うが、社会に出てなんの労働苦労もしない人間にならない様にと、あえて苦労させている様だ。


 ふふふふ

 今日は私、重曹持ってきたから。完璧だし、時短よ!!!!と心の中で笑いながら机、黒板を消していった。

 よし、ロッカーに常備しとこう!


 次の日も、そのまた次の日も書かれていた。私は前世の彼への贖罪にかられ、掃除のやりがいも感じながら毎日机や黒板を消していった。



 なんだか日課にも感じる。掃除すると心が綺麗になる気分なんだよねー

 まぁ私の心はすでにピカピカだけどね!!


 悪役令嬢として没落したらメイドとして雇ってもらうのもいいかも!

 就職先の斡旋も考えて、紫藤、琥珀院とは今後も仲良くしとかないと!


「星羅?何悪い顔してるんだ?」


 隣にいた紫藤に突っ込まれる。もしもの時に協力してもらわねば!


「紫藤様。あと五年後くらいにメイドを探している家があればご紹介願いますわ」


「五年後?」


「それくらいですわね。四年後かもしれませんが」


「よくわからないが、分かった。」


 言質ゲットォォォ!


「それではこの紙にその旨の筆と印を!」


 随分戸惑っていたが、筆と印を押させた。余は満足じゃ!同じ文を琥珀院にも書かせよう!


 お兄様に私の「ナンバーワンホストのなり方」の本も読ませなくては!こういうのは家族で協力していかないとね!





 ある日突然持ち物検査が行われた。全クラスで行われているらしい。結構厳密に行われている。鞄のポケットまで先生がチェックしている。制服もだ。ザワザワと騒めく教室。


 何でも3組の暁天ぎょうてんまどかさんの父の形見が無くなったらしい。おーそれは大変だね。暁天さんはイリスの会にもお見えになる可愛らしい女の子だ。高みの見物をしていた私のポケットに見覚えのない、ペンダントがある。


 え!!!え?え!?いやいやいや、まさか、いや、これ私の上着!?確認するも瑠璃坂の刺繍が内側に施されている。

 ちょっと待ってちょっと待ってお兄さーん!と焦っている間に私の点検の順番が来る。


「先生。私のポケットにこんなものが、、私の物ではないのですが、、」


 と観念してペンダントを出す。目を見開く先生。丁度通りがかったのか、暁天さんが


「それ!私の父の形見!」


 と叫ぶ。




 デスヨネー、流れ的にもさ、、


 でもさ、でもさ、言わせてほしい

 うそん。そんなことある?



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