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02

 

「おはよう。具合は大丈夫かしら?お医者様は軽い貧血とおっしゃっていたけれど、、」


 お母様が部屋にやってきた。どうやら私が起きたことを確認したメイドが呼んだようだ。


「はい、もう大丈夫です。お母様。ご心配おかけしました。」


 今日も素敵なお母様、そのおっぱいに顔を埋めさせてください。


「そう、よかったわ。大事をとってお夕飯は、お部屋に運ぶわね。今日はもうゆっくりお休みなさい。樹さんがとても心配してらしたから、後で来ると思うわ」


「はい、お母様。ありがとうございます。」


 色々考えたかったのでありがたい。いつきは妖精さん、私の弟の名前だ。遊んでる時に倒れてしまったから、心配しているらしい。

 さてさて、今後どうするかだが、攻略対象が1人しかわからないのだ。とりあえず、イケメンには片っ端から媚を売っておくか。そしてヒロインもわからん。舞台は高校生時代だったので、それまでは平和に暮らせるのだろう。てことは3つ上のお兄様は攻略対象ではないのか。どうせ転生するなら話の内容がわかる世界に転生したかったなぁー。無い物ねだりというやつか。

 前世で私がよく読んでいた悪役令嬢転生ものだと、ざまぁ万歳!だったが、自分のの人生をかけるのはちょっと、、うん。平和が一番。ラブアンドピースだ。

 ちなみにこの世界はほとんど日本構成されている。ダイエットグッズを発明させたり、料理を広めていっちょ儲けてやる!などは出来ない、、ストーリーもわからなければ知識も活かせない。私の前世手当てはどこに行った!イケメンと暮らせるだけか!十分です!失礼致しました!パラダイスです!

 ふー。自分の今後もわからないことだし、とりあえず勉学に励んで、何が起こっても大丈夫なように素敵美少女になるか。


「星羅。百面相してどうしたの?」


 薫お兄様が樹を連れて入ってきた。現在9歳のお兄様は美貌にどんどん磨きがかかって、妹の私でも鼻血がでそうです。よかったねお兄様。もし将来この家が没落しても余裕だよ!新宿No. 1狙えるよ!


「いらっしゃい。お兄様、樹。心配かけてごめんね?」


「ねえさま、だいじょうぶ?」


 うるうるして私を見つめてくる弟。可愛い。抱きしめて悶えたい。


「ええ、もうすっかり。お母様に今日は安静にしてるように言われたけど、明日からはまた遊びましょうね?」


「はい!ねえさま大好き!」


 ぐは!!!きゅん!きゅん!!きゅーん!!!!心臓に負担かけすぎて私は死ぬかもしれないぃ!でもそれでもいい!可愛いよぉ、弟、可愛いよぉ!!


「星羅、顔が、、」


「お兄様?」


「いや、なんでもないよ。今日も星羅は天使のように可愛いなぁと思って。」


 薫お兄様が私の頭を撫でる。


 ぐほぉ!!!!死ぬ!素敵すぎて死ぬ!!キュンキュンしすぎで心臓が破裂する!私が天使だなんて、、きゅん!そんなお兄様は私の王子様かな!?禁断の扉開いちゃう!?お兄様いけないわ!私たちは悲しきかな実の兄妹!なーんちって!ぐへへへへへへ!


「ぶっ!」


「お兄様?」


「顔が、、いや、なんでもないよ。明日のパーティーも大丈夫そうだね。それじゃぁお大事に。」


 樹を連れて去っていった。まってぇ!私のオアシスぅぅぅ!!

 ん?明日のパーティー??あー、集まってどうのこうのって言ってたな。今まで怠惰に生きてたけど、悪役令嬢が発覚した今ぐーたらしてるわけにはいかないなぁ、サボってた勉強しないと、、今日は、ほら、倒れちゃったしぃ?安静にしないとだからぁ?


 うん、明日から本気だす。




 そして始まったパーティー。

 今日は私も朝から磨かれ、素敵なドレスを着ている。え?勉強?夜やる夜やるぅ。


 毎年この時期になると交流会が開かれる。小学生にあがる子どもたちの顔合わせが主旨らしい。歴史のある上流階級の家しか呼ばれないらしく、このパーティーは「イリスの会」と名づけられ、呼ばれること自体が大変名誉なこととされているそうだ。


 イリスの会に呼ばれる子どもたちは月に1度お茶会を開き、交流を深めなければならないらしい。金持ちって大変。4月から小学生になる私も今年からお仲間入り。

家族で挨拶回りをしていたが、今は子ども同士の交流会中。私はピッタリとお兄様にくっついております。刺さる羨望の眼差し、あぁ、優越感!ふふふふ。妹の座は譲らなくてよ!

 今日の交流会は全員だが、月1のお茶会は小学生の部、中学生の部、高校生の部、と分かれているそうだ。


 それはそうとさっきからお兄様がモテまくっている。さすが私のお兄様。

 今も女の子たちが私のお兄様を囲んで、きゃいきゃいしている。もちろんお兄様の隣は私だけどな!


「薫様は大変ね?まだ乳臭い子どもの世話をしなければいけないなんて。尊敬するわ」


 生まれる時代を間違えてるのか?という浮世絵のような顔の女が言ってきた。さっきからこの女私を邪魔扱いしまくっている。乳臭い子どもって私か!?お前と3つしか違わねぇだろ!


「薫様はお優しいから迷惑と言えないのね、可哀想に。」


 ふん!と私に鼻を鳴らしはじめた。こいつ私が妹だと知らないのか?

 よくも自分の好きな人の妹の悪口いえるな。

 ムカムカムカムカ、落ち着け、私が大人になるんだ。たかが9歳の戯言。


「そういえば、薫様は、美人で性格悪い人とブスだけど性格いい人どっちが好ましく思いますか?先日この話題で盛り上がりましたの」


 周囲の女の子たちも耳を澄ませて聞いている。


「そういう質問しない人かな」


 お兄様〜!!

 浮世絵顏から笑顔が消えていた。


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