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6年生になりました。
クラスは変わらないままなのでそんなに何が変わったということはない。
修学旅行もあるし、部屋決めとか大変そう。
しかし私には今までとは決定的に違うことがある。
あの日から私は日々が輝いて見えるのだ。あの日って?
そ、れ、は、恋!
お兄様と樹がこれでもかと言うほどしつこく探ってくる。私はお兄様や樹の星羅LOVEが異常なのを知っている。そのため、マイダーリンと引き離されないためにも、絶対に口を割れないのだ。
今では琥珀院や、紫藤もしつこい。ふー、モテる女は困ったものだわ〜。
マイダーリンの名前は柏 翠斗(かしわ あきと)という。翠斗くんなんて呼んでますっ!緑の家系らしい。目も緑だしね。あ、そうそう、緑の目はみんなからも綺麗と人気だった。しかし翠斗の目つきが怖いとのことで、周りから敬遠されているそう。
え?誤解を解いたりなんかしませんよ?だってライバル増えたら困るし。聞かれてないから答えてないだけで、嘘ついてる訳じゃないもーん。私と翠斗が本当にラブラブになったらカミングアウトします。それまで他の女の存在が出てきたら困るからね。ただでさえ翠斗には好きな人がいるんだもん。
昼休みは週3回の頻度で翠斗と愛を育んでます!これが骨の折れる作業で、、。なんでかって?4人の狩人から逃げなければならないからだ!
今日も命からがら、翠斗の元へ。
「翠斗くーん」
木をするする登る。そして迷う事なく翠斗の上へ。
「重い。」
「何言ってるの。私が重かったら誰のことも持ち上げられないわよ。練習あるのみ!」
「はー。」
今日も今日とてカッコいいです。見ればみるほどカッコ良く見えるんだからもう重症だ。
「星羅。そんなことばっかり言ってたら友達出来ないぞ。」
「ふふ?普段は物静かなお嬢様だもの。大丈夫よ。心配してくれたの?ありがとう」
ちなみに私のことは星羅としか教えてない。瑠璃坂という権力を使って仲良くなることはしたくないからね。まぁ、自分で調べてわかる分には私に興味があった、てことだから全然構わない。
私は今、計算で頭がぐるぐるしている。そう。翠斗のことでだ。私はまだ小学生。今のままでは可愛い妹分で終わってしまう。そんな訳にはいかない。押して引いてをしたいところだが、今はまず仲良くなることが先決だ。方法としてはこうだ。定期的に会いに行って触れ合う。距離を少しづつ縮める。焦らず、ゆっくり、一歩ずつ、確実に。とにかく今はなんでもいいから依存させるのだ。
あとは、1番、てところを押す。さりげなくな!
「翠斗くんといる時間が1番落ち着くの。私が中等部に上がっても、仲良くしてね?」
「俺は、みんなから嫌われているから、星羅がこうやって話に来てくれるのは嬉しい。」
「あら、翠斗くんは嫌われているわけじゃないわ、目つきが怖いのよ。話せば素敵な人って分かってくれると思うよ?自分から頑張って話してみれば?」
奥手な翠斗くんが話しかけるとは思えないけどね。そうわかってて言う私って悪い女?
「今は星羅がいるから、前ほど嫌われてるとは思わなくなった。お前みたいにズカズカ言ってくる人はいなかったからな」
翠斗がそっと目を伏せる。可愛い!!!
「ふふ、私が特別ってこと?私もこんなに本音で話せるのは翠斗くんだけだよ?」
必殺、あなただけよ?、攻撃。
ふっ今日はこれで勘弁してやる。
教室に戻ると、仁王立ちのレンジャーたちが。いや、だって青、紫、黄色だし。紫は違うかもだけど。メインの赤がいないなぁ。
「皆さんそろってどうしたの?」
何もわからない風に首を傾げる。
「星羅、どこに行ってたの?」
青レンジャー薫が代表して私に尋ねる。
目が怖い。今まではぐらかしていたが、そろそろ限界のようだ。
手を打たねば。
「お兄様。そんなに逐一行動をお伝えしないと、お兄様は不安なのですか?お兄様にそんな思いをさせている私は自分が嫌いになってしまいそうです、困りました、、」
私はそっと目を伏せて一粒の涙を流す。
レンジャーたちは初めて見た私の涙に慌てる。
私は困った顔で「しっ」と人差し指を自分の唇に当て、そのままその指でお兄様の唇に触れる。
「あまり、私のこと困らせないでください、ね?」
女の涙は使いようだ。特にお兄様と樹なんて私が泣いたところを見たことが無い分効果が見込める。
そしてレンジャーたちは膝をおり、床に手をついた。
一件落着。
ふふっ!今世では「ただし美少女に限る。」ができるからねぇ〜
今夜は勝利の祝杯といくか。うひひっ
午後の授業は修学旅行の部屋決めと班決めだった。
はいはい、どうせ紫藤と琥珀院と一緒でしょー。もう分かってるからこのパターンは。
でも部屋決めが困るなぁ、
と、思っていたら、ヤバい。なんで!?
部屋が、、麻呂眉と琥珀院のファンリーダーと一緒になったんだけど!いや!いーやぁー!夜に奇襲される!いや、それより何より夜中に暗い中で麻呂眉の顔みたら寝れなくなりそう、怖いよ〜!
そんなことを思ってたのがばれたのか、麻呂眉がこちらを見た。
「あら瑠璃坂さん。何か問題でも?」
「いいえ?さぁ、続けてたもれ」
「は?」
「いえ、なんでもございません。」
あぁ、憂鬱じゃ。修学旅行が憂鬱じゃ。




