01
一瞬で私は悟った。
そう、この世界のことを。
おぎゃーおぎゃー
この泣き声は私だ。
どうやら私には前世の記憶があるらしい。しかしどう頑張って言葉を話そうとしても全て「おぎゃー」になってしまう。
いきなり「ぼく赤ちゃん、ちきゅうはほろびる」とか話して天才だとか悪魔とか世界を救う勇者だ!的なことはどうやら出来ないらしい。
となると、やはり悪役令嬢転生ものか!?
そうであると信じている!私は乙女ゲームとかはあまりしなかったが、二次元は大好きだ。声優さんもいい声だと思う。アニメと漫画、小説はそこそこ読み漁っていた。まぁ、悪役令嬢転生とか言っている時点で皆お気づきだとは思うが。
悪役令嬢転生は良い!イケメンが近くで見放題だし、だいたいが「ざまぁ笑笑笑笑」で気分も爽快だ。ざまぁ最高。
ちなみに私は二次元ならモブでもヤレる!と友達に豪語して、非常に情けない目で見られていたくらいには二次元が好きだった。
この世界が二次元構成で見えるのか、三次元で見えるのかとても気になる。
来い!人間!!!!
私の目にその身を写すのだ!!
もう、ばばぁでもじじぃでもハゲでも誰でもいい!!!
誰か来いー!!!
オギャギャギャギャーー!
おぎゃー!
オギャギャギャギャー!
おーい!君達の愛しの赤ちゃん様が泣いておるぞ!
ミルクなりオムツなり、私の顔色を伺いに来るがよい!!
「あらあら、どうしたのかしら、、」
来た!引っかかったぞ!
若い声だ!声は美人だ!
誰だ!我が母か!?
「どうしたのー?お腹がすいたのかしら?」
私の目に写った姿をみて私は息を飲んだ。
いや、実際にはまだおぎゃーと可愛く泣いているのだが。主観の問題だ。
2.5次元?
4次元??
なんというか、二次元よりかな!
よっしゃぁぁぁ!!
いける!いけるぜ!
モブめの婚約者でも全然余裕だせぇ!
どんとこい!うええええぇぇぇい!!!!!
ちなみに目の前には好みドンピシャの美女がいる。
美女だ。好みだ。よだれ出そう、、。いや、出てるか。私赤ちゃんだし。
よし、いっちょ仕事するか。
おぎゃー!おぎゃー!おぎゃぎゃー!
赤ちゃんは泣くのが仕事だからな。しっかり役割を果たさないと。
そうしてかれこれ私は2歳になった。
私はどうやらお金持ちのお嬢様だ。前世で爬虫類顔と呼ばれていた私がお嬢様、、と思うと自分でも笑える。そのうち「おーっほほほほほほほ!」とか言えるのかな。扇子はやっぱり蝶々柄か!?
お金持ちならではなのか知らないが、赤ちゃんの時から両親と部屋が別だった。あ!ご心配なく。愛情はたくさん頂いているので。まぁおかげで何しても不気味がられずにすんで私としては幸いだ。
ちなみに私の名前は瑠璃坂 星羅《るりさか せいら》という。そしてなんと、なんと、、!!!私にはお兄様がいるのだ!!!!
やったーーー!!!念願のお兄様!!!!
前世では一人っ子で、どうしても兄が欲しかった私は、母に甲斐性なしの父を捨てて、私に素敵な兄が出来るよう上手いこと乗り換えてくれ!とよく懇願したものだ。母には鼻くそやオナラをするのに気を使う相手は面倒、と拒否されたが。トイレかお風呂でしろよ。
そんなこんなで兼ねてからの願望が叶ったわけだ。
兄の名前は瑠璃坂 薫《るりさか かおる》。現在5歳の私の天使だ。いや、人間なんだが。
「せいら、おやつだって。いっしょにいこ」
おっと噂をすれば。これぞエンジェルスマイル!という笑顔で手を差し伸べている。はぁ眼福。
「はい。かおるおにーさま♡♡♡」
リビングにておやつを頬張る。
「せいら、ほっぺにおやつついてるよ。」
わざとだ。
それをおくびも顔に出さずきょとんと小首を傾げた。薫お兄様はくすっと笑ってほっぺについているおやつをとって自分の口にいれた。
うひょひょひょひょ!!!!!胸きゅん!!!しかし私はきょとんとした表情を保ち、おやつの続きを食べる。2歳児にとっては世話をやかれることは当たり前だからね。恥ずかしがっている姿が可愛い!となるのはもう少し歳を重ねてからだ。ふふふふ。
「あらあら、仲良しね。」
うふふ。と華麗に笑ってこちらにやってきた切れ長の目がとても綺麗な色素薄い系美人。お察しの通り我らが母だ。余談だが、お兄様は母そっくりだ。まぁ、男の子は母親に似るっていうしね。基本的に色素が薄く茶色い髪の毛に茶色の目をしているとてつもない美貌の持ち主だ。間違いなくモテそうだ。ちなみに私はお父様似で真っ黒の髪の毛にタレ目で、儚い系の美少女だ。目の色はなぜか灰色で祖母に似ているらしい。
母とお茶のみ、自分の部屋にもどった。
さて、私が目覚めてから2年経つわけだが、この世界がどういう世界なのかさっぱりわからない。ただ美少女に転生出来ただけか?ラッキー人生を送ればいいだけ?没落したりしない?お兄様とランデブーしてればいいの?あ、よだれが、、
その疑問はさらに4年後に解かれることとなった。
6歳になりました。
両親は仲睦ましく、弟が生まれた。これまたお母様に似て可愛い私の妖精さん。いや、人間なんだが。
悲劇はそんな弟(現在4歳)がヒーローになりきっている時、「まぁ、誰をやっつけているの?」と聞いたら「やっつけてるんじゃない、守っているんだ!」と言われてなんだか自分を恥じていた時だ。急に目の前が真っ白になった。え?汚い私の心を真っ白にして来いという神様からの命令!?と思うと同時に新しい前世の記憶が蘇った。
目がさめると私は自分のベッドにいた。どうやら倒れてしまったようだ。
しかし、この世界が乙女ゲームということがわかった。そして私が悪役令嬢だということも。
だが、私はそのゲームを全くと言っていいほど知らなかった。辛うじて分かるのは私が悪役令嬢なことと、王道パターンの攻略対象1人だけ。
しまった、、、これでは幼少期にたらしこめないではないか。ざまぁもできなければ、そもそもヒロインがわからない、、
うーん、どうしたものか、、
恋愛もの、書いてみたかったんです。
恋愛になる気がしないんです。
でも私、恋愛小説たくさん読んでるから大丈夫、なはず、、
暖かく見守っていただきたいです。
課題_〆(・_・。)に覆われてるときに、更新が進みます笑笑