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田中さんと山田くん  作者: 天夏 奏
3/6

お弁当を食べましょう、一緒に。 【田中さん】

 友達。

 私と山田くんは、友達になりました。

 しかも、一番の。




 嬉しくて、何だか落ち着きません。

 さっきの授業では、ペンを何回落としたことでしょう。




 「……」うーん

 何か友達らしいことがしたいなと、私は考えます。




 私は、友達らしいことと言うのは何なのかわかりませんが、山田くんとは、本当はもっとお喋りがしたいと思ったのです。




 「……」んー

 うぅむ、と考えていますが、友達となると、やはり同じ話題で盛り上がって、馬鹿みたいにふざけ合うことなのでしょうかと、一人で妄想を膨らませてしまいます。

 ですがどちらも、お喋りの苦手な私、ふざけられない私には出来ないことです。




 「田中さん、何か考え事?」

 そんな私を見てか、山田くんが再び話しかけてきてくれます。

 山田くんは、私が黙っているときでも、ちゃんと見てくれているんだなと思いました。

 そんな山田くんは、優しいと思います。




 「……」友達……

 人とお喋りするのが苦手な私は、山田くんとあまり目を合わせられません。

 「どうしたの?」

 それでも山田くんは、私の言葉をしっかり聞いてくれます。




 「友達……らしい、事……」

 私にとっては、それだけの言葉を言うんでも、少し気恥ずかしくなってしまって目を伏せます。

 「友達らしいことか」




 すると、近くのグループから、声が聞こえてきました。

 「ねぇねぇ、お弁当、どこで食べる~?」

 それを聞いた私の耳は、心と同時にピクリと反応しました。

 「……」そうだ、これです!




 「……」お弁当食べたいな、一緒に。

 口で言うのが恥ずかしかったので、その代わりに、山田くんを見つめます。

 「じ、じゃあ、お弁当……二人で食べるか」

 山田くんの表情は、口元に当てられた手で隠れて見えませんでしたが、ほんのりと赤くなっていたような気もしました。




 友達らしいこと。

 二人で、お弁当を食べましょう。

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