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41・怪盗リディアと西川 隼斗

西川 隼斗は喫茶店『カルミア』の常連客であり西川 疾風と言うペンネームで推理作家という職業に就ている。性格は軟派であるが職業柄、観察力が優れており、また推理作家であるため警察などに関する知識は本職の人よりも豊富。そんな彼には長年の付き合いの喫茶店『カルミア』のマスターさえも知らない事情があった


「はぁ」


それは、彼が孤児院出身だと言うこと

今、彼が過ごした幼き日の孤児院は時代の波に飲まれ経営が困難となっていた。そこで、彼は自分が執筆した作品の売り上げを孤児院の経営者であり院長のディ・クロエという人物に渡している。だが、本の売り上げだけでは孤児院の経営を長く持たせることは出来ない


「時代って言う奴は怖いねぇ」


とある6月上旬の夜、西川はこれから本の売り上げだけでは経営を支えるのは難しいと考えながらネオン街の街を当てもなくぶらぶらと歩いといる。そして、ビルとビルの細道を見つけ何気無く入り込む。辿り着いたのは閑静な住宅街だった


「静かだな」


そう思いながら西川は気分転換のため次の作品に登場する人物のことを考えた。静かな場所は考え事をするのに最適であり、またネタ作りの場にも最適だ


(今度はベターだけど怪盗物の話にしようか。一般高校生が事件に巻き込まれたり、そうだな、怪盗の名前は何にしようか。工藤マリアのリを取って、喫茶店カルミアと彩乃ちゃんのアを取って、後はやっぱり孤児院の院長の名前も取ろう)


歩くこと数分、西川は小さな公園に辿り着いた。そして、一人ブランコに座る


「リディアかな。怪盗リディア」


良い案が思いついたとばかりに晴れ晴れとした表情の西川は星が綺麗な夜の空を見上げると、そこには大鎌を持った白髪のシスターが宙に浮かんでいた。目を擦ってもう一度見る。西川は何かの幻視かと思い自分の頬をつねっても何も変わらない


「やっと見つけた…あなたなら能力を使いこなせそうですね」


「えっ、ここは漫画の世界!」


宙に浮くシスターはそのまま垂直に降りてきた。普段からフィクションを執筆している西川でも、どうやら脳内では処理しきれないようだ。そして、シスターは奇妙なことを西川に話し始める


「オーディンさまは私たちと共に消えようとしている」


「オーディンって北欧神話の戦争と死の神」


ゆっくりと近づいてくるシスターに西川は後退りしながら話を聞く。と、ここで西川の背中が公園のフェンスに当たった


「その前に綺麗なシスターのお姉さん〜あなたの名前を教えてよ。ついでにメアドも欲しいなぁ」


話を逸らそうと必死になるが、シスターの動きは止まらない。それどころか、大鎌を振り上げている。どこの誰かも分からないシスターに西川は今までの人生の中での知識を振り絞ってこの状況を何とかしようとしたが、無理だった


「私たちは消えてもいい、だが、私たちが消えるとオーディンさまがいたという事はなくなる」


ここで、西川は今の状況に適応するためそれまでの知識を全て記憶の彼方へと追い去った。そしてシスターの話を全て本当だと受けいれる


「だから、オーディンさまがいた証拠に今からあなたに能力を与えます」


「中二病かっ!」


「オーディンさまが消えても能力は消えない。それなら、オーディンさまがいた証拠になる。これは、私の独断でわがままな行動、きっとオーディンさまも許して下さるでしょう」


受け入れようとしたが、許容範囲を越えた内容に西川は目が点になる


「私のわがままにお付き合いさせた代わりにあなたの望む能力を与えます」


やはり、これは夢なのだと改めて考え直した西川は夢なのだから何でも言って良いと思い、次々と今、自分が望む物をシスターに言った


「昔はさ、悪を倒すヒーローじゃなくて悪を悪で倒すダークヒーローに憧れていたんだ。強いて言うなら良い怪盗とか。それと、本当は小説家じゃなくて電気会社に勤めようかと思っていたし、あとは、やっぱり孤児院を継続させるために資金が必要だな」


「では、あなたにはこの3つの能力を与えましょう」


すると、大鎌にはめ込んである小さな6つの玉のうち3つが赤く色付いた。そして、その大鎌を西川目掛けて振り落とす


「ちょっ!夢なんだからそこは口移しとか」


そこで、西川の意識は失った




* * *




意識を失った西川は無意識のうちに能力の暴走により化け物化はしないものの、目的のために海外で怪盗リディアとして動いていた。その目的とは孤児院を守るための資金集め


しかし、無意識だった西川はふとした瞬間に我に返る。そして、能力を使って今まで世間を騒がせたと言うことに気が付いた


「夢じゃない」


能力を手に入れて驚き、それと同時に今までの悪行と人から奪った物で孤児院を継続させていたんだと考えると悲しんだ


「いつの間にか能力コントロールできてる」


だが、孤児院が、無くなるよりかはまだ良いと西川は思った


「こんなオレをみんなは許してくれるかな」


いや、ダメだろうなとこぼしながら西川はハワイのビーチで一人海を見ていた。だが、毒を食わねば皿までと言う。こうして、西川は悪いことを知りつつ怪盗リディアとして世間を騒がせることにしたのだった


29・ー終幕ーのディナのセリフ (伏線)


「それに、種はまだまだありますからね」


ここで回収させて頂きました

種は西川さんの意味です


そして怪盗リディアは西川さんでしたね

明日の更新はおやすみします

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