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37・方向音痴の仲間発見!

さてはてここはどこだ?カジノ場から出れたのは良いけれど今、私がいるのはどこからどう見ても立ち入り禁止の場所だと思う。辺りを見回すと太い配管や空気孔や機械類の数々


「どうしてこうなった」


なぜ神は私に方向音痴というスキルを与えたのでしょうか?高橋さんや島崎さんに連絡を取ろうとしても、ノイズが入ってしまい、連絡を取ることは不可能です。それに、ここは迷路のように入り組んでいて、どっちが北か南かさえも分からない一体ここはどこなんだ


「寒い」


腕時計を見ると時刻は午後5時。今は時間とかどうでも良くて早くここから出たい。曲がり角を右に曲がって、また進む。今度は左の道へと曲がる。次も左の道へ。決して、闇雲に進んでいるわけではない!私はちゃんと考えて動いているんだ!考えているんだけど、なかなか地上に辿り着かない


「どんどん違う方に行っている気がするのは気のせいかな?」


コツコツ、コツコツ、コツコツカツンッ

私の足音ではない音が後ろから聞こえた。立ち止まってその音がする方を見る。誰だろう、ここに来るっていうことは整備士さんか従業員さんとかかな?


「すいませーーーん!」


私は大きな声で叫びます。おっと!足音がこっちに来る。と言うことは、ここから出られるんだ!私は嬉しくなり足音のする方へと駆け出しました。そして、さっき来た曲がり角を曲がると、数歩先には整備士さんでもなく従業員さんでもなく、金髪耳ピアス、目つき最悪の不良少年一ノ瀬さんがいたのです


「い、一ノ瀬さん⁉︎なんでここに」


「お前は確か」


だって今、一ノ瀬さんは神谷さんと一緒に行動中のはずだよね?なんでここにいるの?私の頭の中は疑問符でたくさん


「あー、あー…あやね?」


「あやのです。ひっ、睨まないで下さい」


「睨んでねぇーよ、この目つきは元々だ」


目つきが悪いから睨まれてるかと思った。それに、一ノ瀬さんに睨まれると怒った時の島崎さんにそっくりでものすごく怖い。怖いけど、私はどうしてここにいるのかと勇気を出して聞いてみました。すると、返って来た言葉に驚きを隠せませんでした


「ターゲットを見失って探していたら、ここに辿り着いた」


「と言うことは一ノ瀬さんも方向音痴なのですか?」


「はぁ?オレがいつ方向音痴って言った?」


怖い怖い怖い怖い怖い怖い!ドス黒いオーラと共に睨まれると竦む。誰が助けて、この際だから西川さんでもオーケーです


「オレはただ、オレが決めた道を歩いているだけだ」


「かっこいいこと言ってるけど、それって闇雲に進んでいるだけだよね⁉︎」


「………」


無言で返された。まぁ、とりあえず三人寄れば文殊のなんちゃらと言いますし、実際は3人じゃなくて2人だけど。とにかく、仲間が増えて少し安心したよ。今まで心細かったもんね


「一ノ瀬さん、まずは」


「裕樹で良い」


「へっ?」


「聞こえなかったのか?」


「いえいえ!えーと、では裕樹さん」


ちょっと待って何をもって今、下の名前で呼ばせたの?しかも、こころなしか照れているようにも見える


「まずは先に進むよりも今来た道を辿って戻りたいなぁーとか思います」


「そうか」


ちょっとした変化について行けない私の今の発言は文章としておかしかった。それでも、一ノ瀬さんじゃなくて裕樹は理解してくれたみたい


「それなら行くぞ」


「はいっ!」


あっ、くせで敬礼してしまった。慌てて戻しスタスタと先を急ぐ裕樹の後を追って私は駆け出した。ちょっと良いかな?今、一瞬、裕樹が島崎さんとお兄さんキャラを混ぜたような感じに見えたのは、きっと私が疲れているからかな?

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