35・異能課、全員集合!
船内の地図を探して歩くこと30分。現在、私が歩いている場所は豪華客船にあるルーレットやパチンコなどがあるカジノのど真ん中。一体どうしてこうなったかと言うと、ただ単に私の方向音痴が炸裂してここに辿り着いてしまっただけ
周りを見ると小太りなおじさまやナイスバディなお姉様がディーラーさんに何かを渡していたり、ルーレットがぐるぐる回っていたり。そうだね、ここは私が来るところじゃ無いことは分かった。とにかくここはお金がこすれる音やパチンコの音など機会音がうるさい
「まだ朝の10時くらいなのに」
カジノは夜のイメージが強い私にとっては、この光景は異常です。耳を塞ぎながら出口を探して右往左往していると、後ろから誰かに方を叩かれました。振り返るとそこにいたのは神谷さんと見た目から不良と思われる金髪、耳ピアス、目つき最悪な男の子。でも、どこか子供っぽいところがあるから、不良君は多分、私と同じくらいの歳かな?
「彩乃ちゃん、久振り。仕事大変だね」
「あれ?神谷さんって探偵業が忙しくて」
「そうだよ。ここに来たのも探偵業」
つまり、私は怪盗の件でこの豪華客船に乗り、神谷さんは探偵業の仕事でここに来た。仕事は別々だけど場所は同じって言うことか
「とある政治家の賄賂現場を写真で撮れって国のお偉いさんからの依頼なんだ」
「それ、こんな場所で言っていいのですか?」
「その政治家さん、向こうでナイスバディなお姉様と遊んでるから大丈夫!聞こえてないよ」
ほぉ、政治家さんを尾行して賄賂現場を写真で撮るのですか。そう言えば、ここにいる人達って、もちろん普通の家族もいるけど政治家とかアーティストとか滅多に会えない人達が多いよね
「えーと、そちらの方は?」
「この金髪耳ピアス目つき最悪で見た目から不良のこいつか?」
あっ、神谷さんも私と同じことを言った
「こいつは一ノ瀬 祐樹、彩乃ちゃんよりも2コ上の不良君。一昨日まで少年を更正させる施設に入っていたんだ」
それって、少年院ですよね。やっぱり不良君でしたか。しかも、2コ上ってことは高校3年生。でも、神谷さんと一緒にいるということは?
「祐樹も俺たちと同じ異能課だよ。それで、出所して暇そうにしてたから俺の仕事を手伝ってもらってるわけ」
「暇じゃねーし」
神谷さんを睨みつけドスの効いた声。ヤクザだよ、怖いよ。と、ここで一ノ瀬さんがちらりと後ろを見た。つられて、私も見ると、神谷さん達が後を付けていた小太りな政治家さんが席を立ったのです
「動いた」
「じゃぁ、俺ら行くね、仕事がんばって」
神谷さんと一ノ瀬さんは嵐のように去って行きました。なんだかあの2人は謎が多いコンビだと思う。神谷さんは飄々として、一ノ瀬さんは、見た目があれだから話しかけにくい
「って、私はここにいる場合じゃないんだ!」
島崎さんに船の先頭の方に行けって言われてたから、早く行かないと。ん?ちょっと、待てよ。もしかして今この船には、私、島崎さん、高橋さん、相田さん、ロイさん、神谷さん、一ノ瀬さん。仕事内容が違うにしろ、異能課の人達が全員集まってる状態だよね
「うわー、これって絶対に事件フラグだよ」
それに、怪盗も私達と同じ異能っぽいし。はぁ、今日の夜、何が起こるか恐ろしいよ




