27・戦いはまだまだ続く
カカカカッ!
ドドドドドドッ!
キィン、キィン、キィン!
只今、私はメアリーちゃんと戦ってます。実はメアリーちゃんが持っているステッキは隠し刀だったみたいで、私が大きなクマを倒した後、「シャッキーン♡」と言いながらのりのりで刃物を出してきました。可愛い顔をして怖いよ。フリーホラーゲームか
「おねえさん!はやーい☆」
さっきから、メアリーちゃんからの攻撃を日本刀で受けては流しての繰り返し。私としてはこんな小さい女の子を傷つけたくはない。でも、このまま長引くと先に私の方がダメになる。いくら能力で運動神経が強化されても持続力には自信がない
さて、どうしようか
「すきありー♬」
「うわっ!」
考え事に気を取られていたら、どうも隙が出来たらしい、メアリーちゃんの素早い蹴りが私の横腹にヒットして、吹っ飛んだ。正確には吹っ飛ばされて巨大なウサギのぬいぐるみに当たりました。痛いよ、でも、ぬいぐるみだからクッション代わりになってくれたみたいで、痛みは少しかな?それにしても、あの攻撃を受け続けてよくこの日本刀は壊れないよね
「はっけん!」
「弾丸ですか」
空中に浮かぶメアリーちゃんの手には1つの拳銃が握られていました。私はすぐに体を起こしてしっかりと地面に足をつけ飛び交う弾丸の数々を日本刀で受け流します。というか、銃弾を日本刀で受け流すことは初めてだから出来るかどうか分からなかったけど、やってみるもんだね。なんだか、石川五右衛門みたいだな
ん?あれ、なんだかメアリーちゃんからの弾がゆっくり見えてきたのは気のせいかな。次にどこを狙うとか分かって来たかも、もしかして、目が慣れたとか
「【煙幕】」
「あれ?」
辺りには薄茶の煙が漂い始め、しだいに私の居場所が分からないようになりました。そして、私はここから一気に抜けます。左に動いて煙の中から飛び出して次に向かった先は大きな犬のぬいぐるみ、高さ的には今、メアリーちゃんが空中に浮かんでいる高さと同じくらいだと思う
「どこいくのかな〜」
まだまだ、拳銃の弾は雨の様に降り注いでしますが、それをなんとか避けつつ犬のぬいぐるみ駆け寄ると、足や胴体、手や鼻の先を階段にして飛び上がりました。すると、メアリーちゃんは私がいる犬のぬいぐるみの頂点に飛んで来ました。しかも刃物が付いたステッキを振り回しながらでも、これで良いんです
「【水流】」
「きゃっ」
大声を出して叫ぶと目の前から勢いのある水流がメアリーちゃんに向かって突撃、案の定、メアリーちゃんはこの水流とぶつかって地面に叩きつけられてしまいました。そしてここからが一か八かの賭けに出ます。上手くいってくれよ
「【雷】」
雷は静電気の応用、私が最初にさとりさんと戦って以来、偶然でしか出なかったあの雷です。でも、今は違う。あれから私は鬼教官こと高橋さんに厳しく鍛えられたもん。その訓練の証を今、見せてやる
パチリ
あれ?目の前で小さな光が走っただけで、あとはなんにも起こらない。私の考えでは、この部屋を作り出した張本人はメアリーちゃんだから、その張本人を気絶か何かにすればこの部屋から出られるし、何より日本刀で切らなくてもいいかなって思ってたんだけど
事はそう簡単には出来ないみたい
「いたたたた、あたまうっちゃったよ」
「やらかしたなぁ」
「おねえさんって、けっこう、ごういんだね」
すると,その時。私とメアリーちゃんの間の何もない空間からメアリーちゃんによって消されてしまった囚人服の男がパッとマジックのように現れました
「じかんぎれかー」
メアリーちゃんはつまらなさそうに呟くと刃物が付いたステッキを囚人服の男に向けました。え、なにこれ。もしかして時間制限とかあったんだ。じゃぁ、この部屋も時間制限であと少ししたら元に戻るのかな?
「「って、えっ!」」
私とメアリーちゃんの声が同時に重なりました。それもそのはず、だって囚人服の男が突撃、手を前に突き出すと勢いよく私とメアリーちゃんに向かって鋭く尖った氷の粒を発射してきたのです
私は日本刀で氷の粒の一つ一つを砕いて、メアリーちゃんは素早く刃物が付いたステッキに鞘をつけて、普通のステッキに戻したかと思うと、ステッキで目の前に円を描き魔法陣のような物が浮かび上がって、その氷の粒を弾いています
「なんで、メアリーにこうげきするのよー!」
メアリーちゃん、かなり怒ってますね。
「グッ」
囚人服の男が、胸を押さえて苦しみ始めました。一体、どうしたの?この事にメアリーちゃんも私と同じで驚き、お互いに目を合わせた後、囚人服の男がどうなるのかを見続けていました
すると、なんと言うことでしょうか⁉︎
囚人服の男の背中から氷の翼が生えました。しかも体の色が健康的な肌色から悪魔の様に真っ黒な肌へと変わり目は真紅の様に真っ赤です
「なにこれ?」
「ディナ…たすけて」
私もメアリーちゃんも顔面蒼白。だって、おもちゃの部屋が次第に薄黒く染まっていくんだもの。何もかも、ぬいぐるみや星マーク、ハートマークも全て
「グォォァアアア」
野太い雄叫びに我に戻りました。
「えっ、なんで、なんでもどらないのっ!」
焦った声がしたのはメアリーちゃんから。どうやら、この部屋を元の高速道路に戻そうとしているみたいだけど、それが出来ないらしい。って、これからどうすんのさ!
のしのし重い足取りで黒い元囚人服の男は私が立っている黒くなった犬のぬいぐるみの下までやってくると、黒い手でぬいぐるみに触れました。その瞬間、ぬいぐるみはあっという間に氷漬けに、一方、私はぬいぐるみが氷漬けになる前に、ぬいぐるみの頭から元囚人服の男の頭を上を通り越えて、地面に着地。薄暗い部屋の中を走り回ります
「メアリーちゃん、この部屋を元に戻せないの?」
「やってるけど、むりー。あぁ、もう!」
「無理って」
「いけ『がいこつサーカスだん』」
メアリーちゃんが叫ぶと、サーベルや銃を持った大勢の骸骨達が現れました
「じかんかせぎ、よろしくねっ!おねえさんも」
「私も⁉︎」
どうやら、メアリーちゃんが部屋から脱出する方法を試している間、私と骸骨サーカス団でなんとか食い止める様です。




