26・日本刀少女
メアリーと名乗りゴスロリを着た金髪とピンクの瞳の少女は、人差し指を上に向けて声高らかに叫びました
「メアリー・ワールド☆」
すると、風景が高速道路からガラリと変わって、まるで、おもちゃ箱の中に迷い込んだような風景へと変わりました。周りを見ると、クマのぬいぐるみや大きな星、ハートマーク、女の子が好きな物がつまりに詰まってますね。そして、さっきまで後ろにいた、島崎さんとさとりさんはどこにも見えなくて、代わりに囚人服を着た男が私と同じく呆然と立ち尽くしています
よかった、ここにも仲間がいた。変な安心感に包まれながら、私はメアリーちゃんに目を向けます。すると、メアリーちゃんは右手に魔法少女が持つような可愛らしいステッキがありました
「魔法少女?」
「そっだよー☆メアリーはね、さいきょうのまほうつかいなんだぁ♡」
語尾に星マークやハートマークが付いているのは気のせいかな。というか、まずはここから脱出して島崎さんと合流しないといけない。でも、今のところ出る方法は見当たらないよ
「おまえは、じゃまだから、おりのなかね♬」
突然、囚人服を着た男の真上に、人1人が入れる檻が現れた。そしてその檻は垂直に落ちて行き、大きな音と共に囚人服を着た男を囲ってしまいました。囚人服を着た男は持ち前の馬鹿力でなんとか、檻を壊そうとするけど、びくともしない。今度は氷の粒をメアリーちゃんに向けて発射しましたが、氷の粒が当たる前に、メアリーちゃんがステッキを一振りすると、氷の粒は粉々に砕けました
「もー!じゃま」
囚人服を着た男はマジックのように消えてしまいました。今、一体何が起こったの
「じゃぁ、はじめよっか♬」
「えっ!」
「『くまちゃんズ』レッツゴー!」
ゴゴゴゴッ
それまで動かなかった、辺りにいた人形のクマたちが一斉に動き始めました。その数は5体。でも、1体が25mプールくらいの大きさがあって、横にも縦にも大きい。これらどう相手すれば良いの⁉︎
「【止まれ】」
ドジドシ、ズンズン、止まらないー!
「メアリーのくまちゃんズは強いのだ☆」
えーと、こういう時はどうすれば良いのか、考えろ考えろ、えーと、えーと。あぁ、思い付かない
「うわっ」
走りながら考えてたからかな。あっさりと、クマの1匹に捕まってしまいました。しかも、片足を摘ままれて、今の私は逆さの状態です。頭に血が上りそう、っていうか、上ってる
「はぁー、ていっ!」
このままでは、確実にやられてしまうので、空いている足に勢いをつけ、思いっきりクマを蹴りました。それが効いたのか、私を摘まんでいたクマは手を離し、私は地面へ着地
「【日本刀】っ!」
素早く日本刀を出して、クマから少し距離を取ります。やっぱり、日本刀は重いな。前に、鬼教官こと高橋さん経由で触った事があるけど、その時よりも重く感じる。でも、そんな事を気にしてちゃダメだ
「はぁー!」
私は、重い日本刀をしっかりと持って、クマへと跳躍
「【大きくなれ】」
日本刀に向かって言霊をかけます。そして、大きくなった日本刀で5体のクマを横薙ぎに払いました。すると、切られたクマ達は泡のように消えてしまいました
「あっれれ〜?」
大きくなった日本刀を振り回すのは、疲れるな
でも
「掛かって来るなら、掛かって来い!」
それでも、やらなきゃいけないんだ!




