表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
突然ですが言霊が使えるようになりました!  作者: 夜桜
『二ノ宮 彩乃の日常』
12/58

番外編:澤田目線のお出かけ①と②

今回は澤田目線

話し的にはお出かけ①と②です

日曜日

拓真が手を振るその先には松永と二ノ宮がいた。気のせいかな、松永の背後に燃え盛る炎が見える気がする

あっ!かわいい、今日の二ノ宮は髪を下ろしてていつもと違う雰囲気だった。なんて言うのかこう、柔らかくなってる?いや、いつもふわっとした感じだけど今日はさらに増して女の子らしいというかそんな感じ、見惚れるな


「澤田君も江本君に誘われたの?」


「うっ、いやっそのっちょっと」


見惚れてたらいきなり話しかけられた。落ち着け落ち着け、なんでこうもドキドキするんだよ。しかも熱くなってきたような。うわぁ自分が自分じゃない気がする

不意に二ノ宮の手がオレの額を触った


「熱はないみたいだね。でも顔赤いよ。大丈夫?無理しないでね」


上目遣い+心配な顔、しかも額を触られた。ヤバイ完全に思考が止まった。何も言えねぇ、と、とにかく大丈夫なことを伝えよ

大丈夫って言おうとしたけど言葉が出てこなくて代わりに頭を振ることしか出来ない


「よかった」


パァァと笑う、何これ、今オレの目の前で何が起こってる。天使が笑ってるみたいだ、いやこれマジで、天使とかいってるけど本当にかわいくて見惚れるを通り越してフリーズだ


「こんな海斗、初めて見るよ。やっぱ誘って正解だったな」


「澤田も天然だけどあやのも天然みたいね」


二人がなんか言ったけど今のオレには何も聞こえない。どうしよ今日一日オレ持つかな









時刻はちょうど昼時、松永の意見でスイパラに行くことになった。デザートやパスタや惣菜がバイキング式で並んでる


「松永、なに見てるんだ」


「あやのは成長期かしらね」


松永の視線の先には二ノ宮の席周りに数々の品が置かれてあった。今のところ二ノ宮は、また皿を持ってケーキを取りに行っている。おっ人混みの中に入った、あれはケーキの争奪戦かな、ものの数秒で出てきた。しかも、かなり嬉しそう、『取れた』って顔してる。うわ〜かわいいな。今オレ、また見惚れてた。落ち着け落ち着け、とりあえず席に着こう


「にしても、二ノ宮ちゃんの大食いはすごいね」


「だって、食べ放題なんだから食べなきゃ損だよ」


「あっ二ノ宮のケーキうまそ」


確かこれ、さっきの争奪戦だったケーキかな


「食べる?」


「いいの⁉︎食べる!」


二ノ宮はチーズケーキを一口サイズにして渡してくれた。ちょうど口の近くにあったからそのままパクリと食べる


「うまっ!」


「でしょ、ここのチーズケーキおいしいよね」


「あっ、これもうまいよ」


そう言って渡したのはガトーショコラ、多めに2つ取って来て、1つは食べたからまだもう1つが余ってる。オレもさっきと同じく二ノ宮に渡す


「うん!おいし〜」


うわー笑顔だ、やっぱ二ノ宮の笑顔かわいいな、おっと口で言いそうになった。流石にここでかわいいだなんて言うのは恥ずかしいというかなんというか

ブッ!!コーヒーを飲んでた拓真がこれでもかってくらい盛大に吹き出した


「てっ…天然怖ぇ………糖度……糖度…」


「拓真、どうした大丈夫か⁉︎」


「あやの、意外とやるのね」


「えっ!私何かした⁉︎」


「二ノ宮ちゃんナイス」


松永が二ノ宮に口パクで何か言ってる。なんだろう


「は、ははは」


みるみる二ノ宮の顔が真っ赤になってく、そんな表情もかわいいなって思う自分がいて、いや、さっきからオレ、二ノ宮の行動全部にかわいいしか思ってなような、じゃなくて今は


「二ノ宮も大丈夫か?」


「ふぇ、あっだっ大丈夫ですよ問題ないですよ」


口調がおかしくなってるし、問題ありそうだろ


「澤田君、ごめんね」


「もしかして、俺何かしたかな」


「ううん、何もしてないよ。澤田君は違うんだよ」


「あやのがそう言ってるんだからいいんだよ」


「おっおお」


一体、俺の知らないところで何が起こってるんだ。今だに拓真は笑い転げてるし、二ノ宮は項垂れてるし、松永は松永でパスタ食べてるし、どういう状況だ?









映画はニートの主人公が突然マンホールから出てきた姫に異世界へ飛ばされ、お姫様を狙う悪党と戦うアクションアニメだった


ストーリーもおもしろかったし何より隣に座って見てた二ノ宮が上映中に『おおっ』『はっ、負けちゃう』『ワルサーP38リアルだね』って松永に話し掛けてたけど松永は寝てて、やたら二ノ宮が格闘技とか拳銃に詳しかったのが驚いた


「そういえば、江本君も買いたい物があるって言ってたよね」


「あるよ〜、明後日が妹の誕生日でさ、まだ何も買ってなくて」


「ありさちゃんって今年で8歳だよね。私も何か買おうかしら、いつもお世話になってるし」


拓真に妹がいたのは知ってるけど名前まで知らなかったな。ありさって言うんだ、というか拓真は他人の事はよく知ってるくせに自分の事は何も話さないからな


「妹かぁ」


「二ノ宮も兄弟いるのか?」


「えっ!私はいないよ」


兄弟の話をした途端、寂しそうな表情に変わった。いつも見ないその表情が気になって、気付いたら話し掛けていた


「澤田、殴ってあげるから黙ってなさい」


「さやちゃん!」


「なんで!!」


あっ、戻った。っておいおいおい松永その拳はっ…

結局、オレは松永に5発くらいお見舞いされた。かなり痛かったな





2Fの小物屋では別々に行動した


「8歳の子が好きそうな物はなんだろ」


「ありさは猫好きだからな。ねこねこ」


猫好きかぁ、そういや拓真も猫似だよな。やっぱり兄妹だから似るのか


「おっ良い物発見!」


拓真が手を伸ばした先には、いかにも女の子が好きそうな猫のヘアピン

ぶつかる手と手、その手の主は松永だった。一瞬で拓真を睨みつけると素早く鳩尾に鉄拳を入れそのヘアピンを強奪、そのままお会計へとダッシュ。痛みに呻く拓真、分かる、松永のあれはかなり痛い


「拓真、大丈夫か?」


「さやには…敵わない、グフッ」


そのまま二ノ宮の方に倒れ込む、危ないと拓真の体を引き離そうと手を伸ばしたけど、スッと二ノ宮は後ろに下がってかわした


「受け止めてよ〜」


「江本君、私も一緒に探すからね」


困り気味に言う二ノ宮、優しいな

オレも拓真の妹のため猫系の物を探していると二ノ宮の声がした。声がする方を見ると水色のヘアアクセサリーを髪につけて鏡を覗き込む姿を目にした

似合ってる、前から思ってたけど二ノ宮って水色が好きなのかな?いつものシュシュも水色だしボストンバッグも水色のライン入ってて、今日の服だって水色系

それに、ヘアアクセサリーを棚に戻したりまた持ったりの繰り返しで悩んでるみたい、でも結局、名残惜しそうに棚に戻してその場を離れた。

二ノ宮が離れた後オレもそのヘアアクセサリーを見てみる。もったいないな、あんなに似合ってたのに、手にしたヘアアクセサリーを持ってレジに並ぶ、これは自己満足じゃなくて、本当に二ノ宮に似合ってたから


「ごめんっ遅れた」


店を出た時にはもうみんなが揃ってた


「じゃぁ、揃ったところで行きますか」


「「「どこに」」」


見事なシンクロ率、拓真が向かう先にはゲームセンターでそこでプリクラを撮ろうと言う話だ。久しぶりだな、高校入ってから行ってないかも


「これが、プリクラかぁ〜初めて見るかも」


「「「え!」」」


「プリクラの名前は聞いたことあるけど実際に撮ったことはないんだよね」


「二ノ宮ちゃん、それマジか」


「うん、私がもと住んでた三野坂にはね。ゲームセンターなんてなくて、あっても片道3時間で街まで行かなくちゃいけなかったからね」


「ど田舎ってことかしら」


「うん、一応コンビニくらいはあったけど、24時間営業じゃないよ。夜の8時で終わったし、ほら!早く撮りにいこ」


そういえば、二ノ宮って三野坂中から来たって話してたな、しかも県外だし

撮り終えたプリを見る二ノ宮はすごいすごいと子供がはしゃいでいる感じでかわいかった



* * *



二ノ宮とオレは乗る電車が違うけど、同じ駅だから、ホームの椅子でのんびりと次の電車を待っていた。後10分くらいで二ノ宮が、乗る電車が来るな


「やっぱり夕方は人混むね」


確かに駅のホームには部活帰りの学生や帰宅するサラリーマンが多くいた


「そうだな」


しばらくの沈黙、うわぁ、会話続かねぇどうしよ。なんでオレこんなにも緊張してるんだ。二人きりだからか?いや、周りには人がたくさんいるし、じゃぁ隣に二ノ宮が座ってるから?それは映画館と同じだな

ちらっと、隣に座る二ノ宮を見ると目が合う、視線を外してもう一度、また目が合った。2回も!驚きと少しの嬉しさが、こみ上げて来る


「ぷ…」


「どうした⁉︎」


「ううん、なんかねおもしろくて笑っちゃった。どうしよ止まらないや」


くすくす笑う二ノ宮は今日で一番きれいでかわいかった。夕日のせいもあってかな


いや…



でも……


「やっぱり二ノ宮はかわいいな」


「ほぇっ」


「あっ!ほら仕草とかなっ服とか笑顔とかあとあと」


なに言ってるんだオレは、そんな突然かわいいなだなんて言ったら驚くに決まってるだろ。うわぁテンパって自分でなに言ってるのかも分からない、熱が顔に集まってくるのが分かるくらいだ


「澤田君ありがと」


同時に電車が来た


「今日は楽しかったよ。また遊びに行こうね」


そう言って椅子から立ち上がる


「ちょっと待って」


気付いたら二ノ宮の手を掴んでいた。ほぼ反射的にやった行動だから、その後なんて話していいか分からない

ただもう少し、あと少し、一緒にいたかった。それだけ、でもそんなことは言えなくて、ふと思いついたのが今日買った水色のヘアアクセサリー、本当は今日じゃなくて明日にでも渡そうって思ってたけど、渡すタイミングは今かな


「二ノ宮に渡したいものがあって」


今日買ったヘアアクセサリーを渡す


「見てもいい?」


「あぁ」


「これって」


かなり驚いてる


「たまたま付けてたのを見てさ、似合ってたから、それに二ノ宮って水色が好きなのかなって」


「うん、私水色好きだよ!なんで分かったの?」


「いつも学校に付けてくるシュシュも水色だし、ボストンバッグも水色入ってただろ、それに今日の服も寒色系だからかな」


うわ、これじゃいつもオレが二ノ宮の事見てるって話になるじゃないか、どうしよ引かないかな。でも実際、二ノ宮は引いてなかった


「でも、買ってもらうだなんて悪いよ。お礼がしたいけど、どうしよう」


「そんなのはいいよ」


「ううんダメダメ、お礼はちゃんとしたい。何でもするから!」


そんな男相手に簡単に『何でもするから』だなんて言ったらダメだよ!そんなこと言われたら………

うわっ、やめやめ、と、とにかくここは話を流そう


「お礼とかはまた今度でいいから、ほら電車もうそろそろ行っちゃうよ」


そう言って二ノ宮を電車の中に押し込んだ








* * *




夜の10時くらいだろうか、自分の部屋にあるベッドで仰向けに寝転がっていると、拓真からLINEがきた。気分的にスルーしよ


なんか今日は、二ノ宮のことよく知れた気がする。水色が好きだったり、やたらアクションに詳しかったり、大食いは当たり前か、それに話すとおもしろくてやっぱり笑った顔が可愛いくて好きだな


ピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコンピコン・・・・・・


「うわぁ!」


どうやら拓真がLINEのスタンプを連打したらしい、仕方がなくLINEを開いて文字を打つ


『あっ!やっと気付いた』


『スタンプの連打はやめろ!』


『〜wwwwwwwwwwwwwwvwwwww〜

この中にVがあります。さぁどれでしょう?』


既読を付けてスルーしよう


『にしても今日はいいネタをありがとう』


『何がいいネタなんだ?』


『二ノ宮ちゃんのために水色のヘアアクセサリー買ったりさ、あれ渡せた?」


『渡せたけど、見てたのか』


拓真の観察力はすごいからな。自称、桜ヶ丘の情報屋って名乗る程だし


『いや〜それにしても今日のスイパラ事件はねぇ。」


『スイパラ事件ってお前がコーヒー吹いたやつか?あれ一体なんだったんだ』


『もしかして気付いてない?』


『?』


『二ノ宮ちゃんとお互いに あーんしただろ』


あーん?記憶を遡ってみると


「うわぁぁぁ!はっオレなんてことを、しかも気付いてなかったぁ、えっだからあの時、二ノ宮が赤くなって、わぁあぁぁ」


ベッドの上でゴロゴロと悶える。海斗うるさい!一階から母親の怒涛が聞こえた


『既読を付けて反応なしだから今やっと気付いたみたいだな。おーお今頃顔を赤くしちゃってうぶだねぇ(笑)それとここで問題です!二ノ宮ちゃんが使ったフォークと海斗が使ったフォークであーんをしました

さて、これはなんと言うでしょう

ヒントは間接◯◯です

正解はまた明日学校で!それじゃぁオレ落ちるわ〜』


最後のLINEに気づいたのは朝で、オレは朝から赤面する羽目になった。今なら松永の気持ちが分かる

クラスに入ってまず初めに拓真に一言、言ってやろうとしたが、拓真の隣に二ノ宮がいた。しかもあの水色のヘアアクセサリーを付けてくれている。あっ、また目が合った、目が合うと軽くてを振ってくれて昨日みたいに笑った。つられてオレも笑う


あぁ、本当にオレはこの笑顔が好きだ

次から研修編に入ります

当分、学校の話がメインなので

異能課の人たちの出番はお休み

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ