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そもそも玉藻と紅子の話は単語作りの時点で脱線していた。そして脱線した内容も落ち着いたためか、妖怪二人の会話はそれとなく礼御のことに戻った。
「しかし、若い男女が一つ屋根の下とは……些か卑猥な想像をしてしまうな」
それとなくすごいことを紅子が口に出したのを、礼御は間違いなく耳にしてしまった。慌てて礼御は否定する。
「そもそも玉藻は人じゃないからな。それに若いって……お前ら俺の何倍生きてるんだよ。そんな如何わしい妄想する方が間違ってるぞ」
その礼御の発言に玉藻は「えっ?」と悲しそうな声をを上げて、懇願するように続ける。
「そんな、礼御。あたしとは遊びだったっていうの? ひどい!」
「こら、玉藻。便乗するな。何一つお前が悲しむことなんてしてないだろ」
礼御が少し狼狽した口調で玉藻の悪乗りを止めた。しかし玉藻はそのくらいでは止まらず、何か悟った表情で懐かしむように言う。
「……そうね。あなたはあたしをベッドで悦ばしてばかりだったわね」
「おいおい、嘘も大概にしろよ!」
これは冗談でもまずい方向に話が進んでいると、礼御はどうにかブレーキをかけようとするも、案の定そんな礼御の静止を気にすることなく、会話には紅子が入ってくる。
「そんな中わしをこの部屋に住まわせようとしておったのか。……なんじゃ? 見た目は幼女でも、年齢は十八歳以上だからセーフというわけか? エロゲで嫌になるほど目にする展開じゃ」
「知らねーよ!」
この悪質な性癖の妖怪と出会うまで、礼御がアダルトゲームに触れたことがないのは事実であった。しかし礼御の叫びをどう捉えたのか、紅子は堂々と諭すように言う。
「そんなみみっちいこと考えるな。男ならハッキリとするべきじゃぞ!『俺は真性のロリコンだ。この愛さえあれば法律なんて問題ない!』。このくらいは宣言して欲しいものじゃ」
「礼御、あなた……。あたしは礼御が望むなら、幼女にも熟女にも姿を変えたのに! あなたが望むなら……男にだって、ショタから兄貴までありとあらゆる受け責めを与えてあげれたのに!」
「求めねーよ! お前ら俺をどういう人間だと思ってるんだ!」
礼御は二人の発言に疲れながらも、だからと言って許容してしまっては後々さらに面倒になることを容易に推測できていた。
そんな礼御の悲痛な声を無下にするかのように、玉藻と紅子は真顔――できれば作り真顔だと信じたい――でそれぞれ言う。
「実はショタ好きのホモ」
「ロリコンではなく、ペド」
この二人の相性はあらゆる意味で最悪だ。
礼御は怒る気にもならず、ただ項垂れるのであった。




