表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/13

*第8話*

目を開けると、茶色の柔らかそうな髪があった。

ボケー・・・とそれを見ていると

急激にあたしの思考路が動き始め

頬がピンク色に染め始める。


「あっ・・・あっ・・・あっ・・・!」

そう、目の前には先輩の髪の毛。

先輩は本当にあたしの隣で寝ていた。

寝息が静かすぎて全然気づかなかった現状と

今ここにいる自分の立場に

もう頭の中がぐるぐるぐるぐる・・・

不意に先輩が寝返りを打ち、こちらをむいた。

そのかわいい寝顔にあたしの顔から

今にも湯気がでそうな勢い。

「・・・かわいー・・・」

柔らかそうな髪の毛を触りたくて

手を伸ばすと、その手はつかまれ

驚いて先輩をみると、ニヤリと笑いながら

「おはよ、鈴羽」

と言ってきた。

「わーっっっ!すみません、すみません!」

「いやいやいや、全然いいんだけど。あ、てかおはようって言われたら

返すのが正義じゃなかったっけ?」

「あ・・・」

これはあたしが決めた鈴架学園の・・・ルール?掟?まぁそんな感じの事。

「おはよう、ございます・・・」

「はい、おはよう」

今度はニコリと柔らかく笑う。

二人とも起き上がって、伸びをする。

先輩は笑ったままだった。

なんか・・・ずるいな、その笑顔

「いいな・・・その笑顔・・・」

「なにが?」

「・・・あたし、目つき悪いしあんまり笑えないから」

「そう?」

「・・・はい」

「まぁ・・・確かにな。目つき悪いとかじゃなくて

寂しそうに笑うことが大体って感じかな」

「・・・それ、目つき悪いからですよ」

「いいや、違うな。」

「そうですって!」

「俺の目に二言はない」

「なっ・・・」

「ほら、笑ってみろ」

頬を引っ張られ、あたしは先輩の方を抑えて

「いしゃぃ!(痛い!)」

と叫びまくった。

放してくれたけど、頬がジンジンする・・・

すると、先輩があたしの頬を撫ぜて

「大丈夫、鈴羽もきっと本気で笑えるよ」

その先輩の優しい目色にすきこまれそうだった。


「・・・あれ!?今何時!?」

あたしは吸い込まれそうなのをとめて

今おかれてる現状に頭を戻した。

「いま8時」

「え?!学校、いかなきゃ!やばいいいいいっ」

急いでベットを下りた瞬間

また体の力が抜けた。

「わ・・・」

間一髪、先輩に受け止められた。

あれ・・・まだ風邪引いたままなの・・・?

「会長、この一週間、何時間仕事した?」

「え・・・えと・・・2,4,6,8,10・・・12時間ちょいぐらい・・・?」

「・・・そりゃ体の力も抜けるわ。」

「へ!?なにが?!」

「もしかして、徹夜で勉強したりした?」

「ウン、毎日。」

「・・・会計の仕事は何時間ぐらいした?」

「えっと・・・6時間ぐらい」

「仕事と別でか?」

「うん」

「・・・はぁ・・・だめだこいつ。アホだ」

「は!?なんでそうなるの!?」

「ま。とりあえず今日は休みな」

「へ!?いや、でも、別に学校ぐらいいけるし・・・」

「無理。そのフラフラさでいけるとでも思うのか?

なら会長の頭は穴が開きまくりだな。」

「な・・・・」

確かに先輩の言うことは正論だ。

だけど、正論過ぎてむかつく・・・

「休むにしても、とりあえず家に帰らないと・・・ですね」

「別にここにいとけばいいじゃん」

「へ!?なんで!?」

「いや、なんでもなにも。ここにいとけば、帰らなくてもいいし

ベットもあるし、俺、面倒見れるし」

「いや先輩は学校に・・・・!」

「別に俺学校すきじゃないよ。いってもいかなくてもいい」

「・・・・・。そんなの、悪いです」

「じゃぁ、俺が自ら面倒見たいって言ったら?」

「・・・・・あたし知りませんよ」

あたしはまたベットにもぐった。

もぐってるからだと思うけど、少しくぐもった声で

「ありがとうございますー」

となぜかお礼を言われたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ