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きらきらにてをのばして

作者: 畝澄ヒナ

マオくんは、5さいになったばかりの小さな男の子です。

そんなマオくんは、きらきらしたものが好きです。


ママとうみに行ったとき、きらきらとひかるお水をさわります。

「きれいだね、ママ」

ママも水をさわって言います。

「ええ、そうね」

でも、いくらすくっても、つかめません。

となりでママだけが、マオくんを見つめています。


ママとこうえんに行ったとき、きらきらとひかるお砂をさわります。

「きれいだね、ママ」

ママがマオくんを見つめながら言います。

「ええ、そうね」

でも、いくらあつめても、くずれていきます。

となりでママだけが、マオくんを見つめています。


ママとよるのお空をながめているとき、きらきらとひかるお星さまに手をのばします。

「きれいだね、ママ」

ママがマオくんをよしよしして言います。

「ええ、そうね」

でも、いくら手をのばしても、とどきません。

となりでママだけが、マオくんを見つめています。


マオくんはママにききます。

「どうしてパパはいないの?」

ママは言います。

「むかし、お星さまになっちゃったから」

マオくんがお空をゆびさしていいます。

「じゃあ、お星さまがほしい!」

ママは言います。

「それは、できないのよ」

マオくんのほしいきらきらは、マオくんのものになりません。


ある日マオくんは、おねつをだしてしまいます。

1日たっても、2日たっても、下がりません。

ママがマオくんを、びょういんにつれていきます。

それでも、おねつは下がりません。

マオくんはつかれて、ふかいゆめの中へと入っていきます。


マオくんが目をさますと、そこにはなにもありません。

びょういんでも、おうちでもありません。

なにもない、しらないばしょです。

「ママ、どこ?」

ママをさがして、マオくんはあるきだします。


あるきつづけていると、小さな川がながれているばしょにつきます。

川のむこうに、きらきらが見えます。

マオくんは手をのばします。

「きれいなきらきら、ほしい」

とどきそうで、とどきません。

川に足をいれたところで、きらきらから声がきこえます。

「だめだよ」

きらきらが、人のかたちに変わっていきます。


それは、マオくんのしらない、おじさんです。

「こっちにきては、だめだよ」

マオくんは、ふしぎにおもって止まります。

「なんで?」

おじさんは言います。

「ママとあえなくなっちゃうからね」

マオくんはくびをぶんぶんふります。

「それは、いや」

しばらく、マオくんとおじさんは見つめあいます。


マオくんはいいことをおもいつきます。

「じゃあ、おじさんもいっしょに行こう」

おじさんは言います。

「それはできない」

マオくんはききます。

「なんで?」

おじさんはかなしそうに言います。

「1回お星さまになっちゃったから」

マオくんはかんがえます。


マオくんは言います。

「パパもね、お星さまになっちゃったんだって」

おじさんはくやしそうなかおをして言います。

「そう、なんだね」

マオくんのうしろから、声がきこえてきます。

「マオくーん、マオくーん」

それは、ママの声です。

マオくんはうしろをむいて、しずかに言います。

「行かなくちゃ」

川のむこうで、おじさんがえがおになります。


おじさんがききます。

「ママはげんき?」

マオくんがうんとうなずきます。

おじさんはもうひとつききます。

「ママのこと好き?」

マオくんがうんうんとうなずきます。

おじさんはもういちどえがおになって、マオくんに手をふりながら言います。

「おとなになって、おじいさんになるまで、ここにきてはいけないよ」

マオくんは大きな声でへんじをします。

「うん!」

マオくんは、ママの声がするほうへ、はしりだします。

まわりが、まっしろなきらきらにつつまれます。


マオくんが目をさまします。

「あれ、ママ?」

ママがなきながら、マオくんをだきしめます。

「よかった、マオくん、もうおきないかとおもったのよ」

マオくんは、びょういんのベッドの上にいます。

どうしてママがないているのか、マオくんにはわかりません。

「ママ、かなしいの?」

ママがなきながら言います。

「ううん、うれしいのよ」

マオくんには、やっぱりわかりません。


マオくんは、ゆめのはなしをママにします。

「しらないおじさんがね、おはなししてくれたんだよ」

ママがマオくんをだっこします。

そのとき、ママのスマホがおちます。

マオくんはそれを見て、ゆびさしながら言います。

「あ! おじさんだ!」

ママのスマホのがめんに、あのときのおじさんが、ママといっしょにうつっています。


ママはびっくりして、マオくんにききます。

「この人にあったの?」

マオくんはうんとうなずきます。

ママはまた、ないています。

「ママ?」

ママは、マオくんをつよくだきしめます。


マオくんとママは、またよるのお空をながめています。

きらきらとひかるお星さまに、マオくんは手をのばします。

「きれいだね、ママ」

ママはマオくんをよしよしして言います。

「ええ、そうね」

でも、いくらのばしても、とどきません。

お空では、ひとつのお星さまが、つよくひかっています。

作者の畝澄ヒナです。

短編ばかり書いている、自称小説書きです。

この作品を読んでいただき、ありがとうございます。

良いと思ったら、何かしら反応くださると跳んで喜びます。

よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。

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物語の中心にいるのはまだ幼いマオくんで、彼の目線を通して見える世界には、 素朴な好奇心や「きれいなものが好き」という純粋さ が溢れています。 キラキラと光る水や砂、夜空の星に手を伸ばすマオくん―― …
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