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きらきらにてをのばして

作者: 畝澄ヒナ
掲載日:2026/01/17

マオくんは、5さいになったばかりの小さな男の子です。

そんなマオくんは、きらきらしたものが好きです。


ママとうみに行ったとき、きらきらとひかるお水をさわります。

「きれいだね、ママ」

ママも水をさわって言います。

「ええ、そうね」

でも、いくらすくっても、つかめません。

となりでママだけが、マオくんを見つめています。


ママとこうえんに行ったとき、きらきらとひかるお砂をさわります。

「きれいだね、ママ」

ママがマオくんを見つめながら言います。

「ええ、そうね」

でも、いくらあつめても、くずれていきます。

となりでママだけが、マオくんを見つめています。


ママとよるのお空をながめているとき、きらきらとひかるお星さまに手をのばします。

「きれいだね、ママ」

ママがマオくんをよしよしして言います。

「ええ、そうね」

でも、いくら手をのばしても、とどきません。

となりでママだけが、マオくんを見つめています。


マオくんはママにききます。

「どうしてパパはいないの?」

ママは言います。

「むかし、お星さまになっちゃったから」

マオくんがお空をゆびさしていいます。

「じゃあ、お星さまがほしい!」

ママは言います。

「それは、できないのよ」

マオくんのほしいきらきらは、マオくんのものになりません。


ある日マオくんは、おねつをだしてしまいます。

1日たっても、2日たっても、下がりません。

ママがマオくんを、びょういんにつれていきます。

それでも、おねつは下がりません。

マオくんはつかれて、ふかいゆめの中へと入っていきます。


マオくんが目をさますと、そこにはなにもありません。

びょういんでも、おうちでもありません。

なにもない、しらないばしょです。

「ママ、どこ?」

ママをさがして、マオくんはあるきだします。


あるきつづけていると、小さな川がながれているばしょにつきます。

川のむこうに、きらきらが見えます。

マオくんは手をのばします。

「きれいなきらきら、ほしい」

とどきそうで、とどきません。

川に足をいれたところで、きらきらから声がきこえます。

「だめだよ」

きらきらが、人のかたちに変わっていきます。


それは、マオくんのしらない、おじさんです。

「こっちにきては、だめだよ」

マオくんは、ふしぎにおもって止まります。

「なんで?」

おじさんは言います。

「ママとあえなくなっちゃうからね」

マオくんはくびをぶんぶんふります。

「それは、いや」

しばらく、マオくんとおじさんは見つめあいます。


マオくんはいいことをおもいつきます。

「じゃあ、おじさんもいっしょに行こう」

おじさんは言います。

「それはできない」

マオくんはききます。

「なんで?」

おじさんはかなしそうに言います。

「1回お星さまになっちゃったから」

マオくんはかんがえます。


マオくんは言います。

「パパもね、お星さまになっちゃったんだって」

おじさんはくやしそうなかおをして言います。

「そう、なんだね」

マオくんのうしろから、声がきこえてきます。

「マオくーん、マオくーん」

それは、ママの声です。

マオくんはうしろをむいて、しずかに言います。

「行かなくちゃ」

川のむこうで、おじさんがえがおになります。


おじさんがききます。

「ママはげんき?」

マオくんがうんとうなずきます。

おじさんはもうひとつききます。

「ママのこと好き?」

マオくんがうんうんとうなずきます。

おじさんはもういちどえがおになって、マオくんに手をふりながら言います。

「おとなになって、おじいさんになるまで、ここにきてはいけないよ」

マオくんは大きな声でへんじをします。

「うん!」

マオくんは、ママの声がするほうへ、はしりだします。

まわりが、まっしろなきらきらにつつまれます。


マオくんが目をさまします。

「あれ、ママ?」

ママがなきながら、マオくんをだきしめます。

「よかった、マオくん、もうおきないかとおもったのよ」

マオくんは、びょういんのベッドの上にいます。

どうしてママがないているのか、マオくんにはわかりません。

「ママ、かなしいの?」

ママがなきながら言います。

「ううん、うれしいのよ」

マオくんには、やっぱりわかりません。


マオくんは、ゆめのはなしをママにします。

「しらないおじさんがね、おはなししてくれたんだよ」

ママがマオくんをだっこします。

そのとき、ママのスマホがおちます。

マオくんはそれを見て、ゆびさしながら言います。

「あ! おじさんだ!」

ママのスマホのがめんに、あのときのおじさんが、ママといっしょにうつっています。


ママはびっくりして、マオくんにききます。

「この人にあったの?」

マオくんはうんとうなずきます。

ママはまた、ないています。

「ママ?」

ママは、マオくんをつよくだきしめます。


マオくんとママは、またよるのお空をながめています。

きらきらとひかるお星さまに、マオくんは手をのばします。

「きれいだね、ママ」

ママはマオくんをよしよしして言います。

「ええ、そうね」

でも、いくらのばしても、とどきません。

お空では、ひとつのお星さまが、つよくひかっています。

作者の畝澄ヒナです。

短編ばかり書いている、自称小説書きです。

この作品を読んでいただき、ありがとうございます。

良いと思ったら、何かしら反応くださると跳んで喜びます。

よろしければ、他の作品も読んでいただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
子供の素直さの伝わる温かい作品ですね。自分もママと同じ立場になったら、お星さまの話をすると思います。きっとマオくんが話したことはママにとっての救いですね。心洗われます。
物語の中心にいるのはまだ幼いマオくんで、彼の目線を通して見える世界には、 素朴な好奇心や「きれいなものが好き」という純粋さ が溢れています。 キラキラと光る水や砂、夜空の星に手を伸ばすマオくん―― …
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