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出戻り魔術師のセカンドライフ  作者: 無口な社畜
第二章 故郷の小さな魔術師隊

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24 純粋詠唱魔術

「そうですか……あの戦場に……」

「そうらしい。最も君のように前線ではなく、後処理に回ったそうだけど」


 後処理……。


「そこしか知らないのであれば、寧ろ惨い体験をしたかもしれませんね」

「お、自覚はあるのか。そうらしいね。俺は現場を見た訳じゃないから知らないが、当時君が“大戦犯”だと騒ぎ立てられた程だったそうだね」


 正直思い出したくもない記憶だ。

 実際、当時はそうだった。二つ名である【白い惨劇】という酷い名も、当時の状況からの蔑称だった。真実がわかった今でもその名で呼ばれ続けるのは不本意だが、一々訂正して回れない。


「それにしても、先程から憶測ですね。当のクランチさんはこちらの部隊からの応援だったのでは?」


 そうであるなら、詳細な報告がされているはずだが。


「残念ながらクランチがウチに入隊したのは3年前だ。隊長格を除き最も実力があり、最も年上ではあるが、部隊の中では新人の部類だな」


 ここに入る事が出来れば、俺と同じような立場って事か。


「入隊時に色々聞いたが、トラウマになっているらしく口が重くてね。辛うじて聞き出せたのは、『見渡す限りの赤と白。真っ白に焼き落ちた敵兵の死体と血を撒き散らした味方の死体』、『あのような地獄の様な光景はあれ意外見た事が無い』って事位かな? 概ねあの作戦に参加した者たちと同じ感想だったよ」


 因みに、俺も同じ感想だった。

 あの魔術は訓練して身につけたものではあるが、実戦で使ったのは初めてだった。その為、加減が全くできなかったのだ。

 

「それにしても……敵味方を判別して追尾攻撃する範囲魔術だったとはね。判明するまでの間気が気でなかっただろう?」

「いえ……処刑されるならされるで仕方ないと思ってましたから」


 まさか、処刑される前に術式が解明されるとは思わなかった。


「そんな悲しいこと言うなよ。ま、その辺の所はウチのボスに感謝するといい。実際に現場で目撃したウチのボスが君の魔術の軌道を見ていて、戦後に徹底的に解明したのさ。古代語をダイレクトで詠唱する純粋詠唱魔術。しかも、詠唱者によって大分効果が変わる個人魔法だからね。大分苦労したようだけど処刑には間に合ったから良しとしとくべきだ」

「……まあ……」


 ん? ウチの()()


「話の腰を折ってしまうようで申し訳ありませんが、『ボス』とは?」

「ん? ボスはボスだよ。この部隊の実質的な責任者だね。創立したのもボスだ」

「隊長。その説明ではわからないでしょう」


 流石副長。全く分からない。


「隊長の言う『ボス』とはここの次期領主様の事だ。生憎現在は領地から離れているから紹介する事は出来んが、この部隊に関する事は全て“お嬢様”が決定しておられる」


 お嬢様?


「全て決定。という事は、私の事もご存じだと?」

「ああ、そうそう。元々ボスから指示が来てたんだよ。『もしも領地にアレクセイ・マストが現れたら直ぐに抱き込め』ってな。そういう意味では、グローリィからの報告はこちらとしては嬉しい報告だったわけだ」


 成程、叔父さんのコネだけでは無かった……という事か。


「だとすると、次期当主様は私の事もある程度知っていると?」


 ただの純粋な疑問だったのだが、目の前の2人は呆気にとられたような表情をした後、お互いの顔を見合わせ、再びこちらに顔を向けた。


「君……本気で言ってる?」

「貴様……流石にそれは……」


 ドン引いてるな……。何故だ?

 いや、待てよ? 確か、このやり取りはこの町に来てから何度かした。

 俺の元の所属なら知っていなければおかしい立場にいる人物?

 待て、実際に現場で目撃したって事は、前線に居た人物って事だ。あの場所で生き残った魔術師は数える程だった。

 そして、次期当主……。()()()()()()伯爵……。

 まさか……。


「リグレット・ラーグラント隊長?」


 まさかの、白龍隊の隊長かよ……。



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