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出戻り魔術師のセカンドライフ  作者: 無口な社畜
第一章 元王都魔術師隊士の帰郷

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19 聞きたい事は2つ

「聞きたい事と言うか、話をしたい内容は2つですかね」


 特に引っ張る内容でもないので素直に告げると、叔父さんは「ふむ」と一言発して右手で顎を擦った。


「2つか。具体的には?」

「1つ目はあの事件の後から最後までの母さんの詳細。2つ目は……ちょっと言い難いんですが、職探しの手伝いをお願いしたいな……と」

「姉さんの事と職探しね。まずは簡単な方から聞こうか。仕事を探しているという事は、今後はこの町で生活していくという認識でいいね?」

「はい。もう王都に戻る気はありませんし、母さんの事もあります。今後はのんびり生きたいな……と」

「のんびり……ねぇ」


 俺の言葉に叔父さんは目を閉じると少しだけ唸る。

 やがて考えがまとまったのか、瞼を開いてこちらを見た。


「その話は僕の他には誰かにした?」

「役所にいた受付嬢とマーモットさんに。その時に、マーモットさんから叔父さんを頼れと言われたんです」

「マーモット?」


 マーモットさんの名前を出すと叔父さんが首を傾げる。

 どうにも記憶を辿っているようだが、思い出せないらしく再び唸る。

 おかしいな。母さんとマーモットさんって幼馴染だってマーモットさん本人から聞いたぞ? まさか……マーモットさん……実は本人が幼馴染だと思っているだけのただのストーカー……。


「……ああ。思い出した。いつも姉さんにくっついて回っていた大男か。たしか、一緒に王都の学園にまで行ってたんだっけ。もしかして、彼もこの町に帰ってきているのか?」


 ええ……。


「俺が子供の頃にはもういましたよ……」


 更には5歳の子供がいたのだから、もっと前から帰っていた筈だ。


「そうだったか。てっきり、姉さんが結婚したから傷心して王都に残ったのかと思ったよ。何しろ、子供の頃以来顔を合わせていなかったのでね」

「会ってなかったのですか?」

「会ってないねぇ。姉さんもそんな事は口にした事は無かったから、どうでもよかったんじゃないか?」


 そんな可哀そうな事言うなよ……。少なくとも、あの人は母さんが死んだことを物凄く悲しんでいたぞ……。


「その男がどうして僕を頼れと言ったのかは謎だが、僕は役所に頼るのは反対だ」

「一応聞きますが、何故です?」

「お前が王都に戻される可能性が高い」


 王都に戻される? この町の兵士団に入る訳じゃなくて?


「戻されますかね? 俺は正式な手順を踏んで退職したのですよ」

「その退職の許可を出したのは誰だい?」

「赤龍隊の隊長であるストラッド・ライエル様です」


 既に除隊した立場である為、貴族であるストラッド某は位は上なので様付けだ。

 だが、俺の返事を聞いた叔父さんは深いため息を吐いた。


「そのストラッド殿だがね。色々王都で状況が変わっているらしい。恐らく、近日中にお前の元に王都から帰還命令が届くはずだ。お前の真意がこの町でゆっくり過ごす事ならば、それよりも前に職を……それも、強い力の元に付くべきだ」

「強い力?」


 最も、この状況ではその選択肢は限られる。


「職の件は任せておけ。領主様に話を通しておいてやる」

「えっと。可能なのですか?」


 申し訳ないけどそこまで強いコネがある人には見えない。


「それが可能なんだ。ついては聞いておきたいのだが、()()()の職を希望する?」

「どちら……とは?」


 俺に出来る事なんてそう多くはないけど。


「騎士と魔術師だ」

「…………」


 まさか、そんな事も把握している?


「どちらも何も、俺に出来る事なんて1つだけですよ。王都での所属も魔術師隊でした」

「ふむ。そちらを選ぶとは意外だな。まあいい。本人の意思を尊重しよう」


 そう言うと叔父さんは机に戻ると便箋を取り、立ったまま机の上で何やら書きしたためると、手をならす。

 すると、先程と同じように使用人の女性がノックの後に現れた。


「お呼びですか?」

「ああ。この手紙を急ぎ魔術師隊長のスコットに届けてくれ」

「急ぎ……ですか」

「ああ、急ぎだ。あちらに先手を打たれるともう私でもどうにもならないからとにかく急げと伝えてくれ。愚かな甥っ子が先に役所に行って身元を教えてしまったのでね」


 え? 俺の事バカって言ってます?


「なるほど。畏まりました」


 しかも、使用人の女性もすぐに納得して退室していく。

 そこは少しは疑問を持ってもいい場面では? 初対面よ?


「さて。これで1つは片付いた。後はあの事件の後から死ぬまでの姉さんの事だっけ?」

「あ、はい」


 椅子に座り、ひと仕事終えたかのようにお茶に口を付ける叔父さん。

 いや、まあ……。

 これで職が決まるならそれでいいか。



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