表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
出戻り魔術師のセカンドライフ  作者: 無口な社畜
第一章 元王都魔術師隊士の帰郷

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/65

10 一応フォローしておいてやるか

「お久しぶりです。アリーシャさん」


 立ち上がり、頭を下げた俺に目の前の女性──アリーシャさんが口元に掌を当てて小さく笑った。


「あら。あの子の話では私達の事をすっかり忘れてる人でなしって事だったけれど」

「まさか。ナターシャに関しては以前と変わりすぎていて思い出すのに時間がかかっただけです。それに比べてアリーシャさんは以前と全く変わりませんからね。当然ですよ」


 実際には多少年齢相応の容姿にはなっていたが、誤差の様なものだ。どうにも、女性の方が男よりも容姿を保つことに優れているんだろう。


「……何故俺を見る?」


 おっと。

 思わずスキンを見てしまったが深い意味は無い。

 そんな俺に向かってアリーシャさんはゆっくりと近づくと着席を促す。


「お世辞まで身に着けてるなんて、都会に行っていた人は違うわねぇ。それよりも、もうすぐナターシャが料理を持ってくると思うから、ちゃんと謝っておいてね?」

「それは勿論」


 頷いた俺のタイミングに合わせる様に廊下を誰かが歩く音がする。

 アリーシャさんが来た時にはそこまで音がしなかったからわざと音を立てているんだろう。どうも、怒りが収まるどころか増加しているようだ。

 音が近づいた所でアリーシャさんがドアを開けると、外から両手に料理と飲み物が乗ったお盆を持ったナターシャが現れた。勿論、仏頂面である。


「お待たせしました」

「……ナターシャ。お客さんに対してその態度は何です?」

「……だって」


 アリーシャさんの苦言にナターシャは一瞬バツの悪そうな顔を浮かべるも、直ぐにキツイ眼差しに戻る。

 これは、謝らないと本当に先に進みそうもなかった。


「ごめんナターシャ。さっき見た時は君があまりにも成長していたからすぐに気が付かなかったんだ。この通り。許してくれ」


 頭を下げた後にナターシャを見ると、少し困惑した表情を俺に向けていて、その後アリーシャさん、スキンの順に顔を向けた。


「私が来た時には思い出していたみたいよ?」

「君が立ち去った直ぐ後に思い出したようだな。俺も夫人も教えてはいない」


 スキン、ナイスフォローだ。

 二人の証言にようやくナターシャは俺がちゃんと思い出した事を理解したらしい。ハアーと気の抜けた様な声を出すと俺の対面に腰かけた。


「遅いよ馬鹿。寿命が縮んだかと思った」

「大げさだな」

「大げさじゃないよ。お姉ちゃんからお兄ちゃんは王都に行って変わったんだ、もう忘れなさいって言われてたから」


 お姉ちゃん……ね。


「それよりもお前、そこに座ってていいのか? 仕事は?」


 テーブルの上に並べられた料理を見るにまだ他にもありそうだし、何よりも食堂の営業はまだ終わっていない筈だ。


「えー。私今日はもうここに居る。お母さん後はよろしく」


 いいのか、それで。


「全くこの子は……。それじゃあ、アレク君、スキン君。ゆっくりしていってね。ついでに娘の事もよろしくね」


 どうやらいいらしい。

 部屋から出ていく母に向かって満面の笑顔で手を振るナターシャ。

 その無邪気な姿は確かに昔のナターシャを彷彿させた。


 ……それにしても、アレク君にお兄ちゃんか。随分と懐かしいフレーズを聞いた気がする。


 そして、お姉ちゃん。


 初日に色々あったから抜けていたけど、そこが一番問題だった。

 ひょっとしたら順番を間違えた気がプンプンするが、面倒な事は明日考える事にした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ