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4話 誓い (終)

「そろそろ起きろよ、はぁ…アエルのご飯、キリスにあげるかな…」

ラルフのその声でアエルは目を覚ますし、アエルの少しうとうととした表情はすぐに驚きの表情に変わる、目の前には見たことのない料理と昨日では想像できない量の食べ物が置かれていた、アエルは自然とリーアを見ると、リーアは美味しそうに料理を食べ、口いっぱいに頬張っていた、アエルは驚いた顔を見せながらラルフに質問をする。

「何処から持ってきたの?、私も食べていい?」

ラルフは「食べてくれ」と返事をし、アエルは美味しそうに食べ始める、少ししてラルフは話し始める。

「キリスが食料を買ってきてくれたんだ、それで作ったんだ、それに中々の出来だろ、ラーオラに教えてもらったからな」

そう言い終えるとラルフは懐からIDカードを取り出し、アエルに見せる、そのIDカードはリーアが見つけた物と同じ物で、それを見てアエルは少し目を細めラルフを見ると、ラルフは首を横に振り話す。

「奪ってない、リーアから貰ったんだ、要らないって」

アエルはリーアに視線を向けると、リーアはうんと頷く、ラルフは続けて話す。

「それで俺達は今日でここを立ち去るから、今出来る、ご馳走を作ったんだ、申し訳なさとお礼を込めてな」

アエルは納得し、食べる速度を少し速める、少ししてアエル達は食事を終え、ラルフは思い出したように再び話し始める。

「アエル達は手がかりを探してるんだけ、この都市を出るとき、もしも飛行船が使えなかったら、俺達と一緒に来ないか?、まあ待てるのは夜までだけど…」

リーアは「お願い」と返事をするが、アエルは「何で知ってるの?」そう返すと、ラルフはツーヨを指差し「聞いた」と言う、アエルは頷き、ラルフに1つ質問する。

「ラルフ、Aの63エリアって場所、知ってる?」

それを聞くとラルフは手帳を取り出し「Aの…63」と何度か呟きながら、何かを見つけアエルに見せる、手帳には地図が描かれており、ラルフは指を差し話す。

「ここがAの区域だと思うから、ここらへんにあると思うよ…」

アエルはじっくりと地図を見た後にお礼を言い、ラルフに待つ場所を聞き、ラルフはそれに答え、その後ラルフは2人に別れを言い、狼と共に立ち去る、遠のいていく狼を見て、リーアは悲しそうな表情を見せ、大きく手を振る、アエルはラルフを見届けた後に話す。

「リーア?、アレ渡してよかったの?、手がかりになるって言ってたでしょ?」

リーアは頷き、少し笑みを見せる、アエルが少し違和感を感じ、じっと見ていると、リーアは少し目を逸らし話す。

「アエル、Aの63エリアにはいつ行くの?、私は早く行きたいな」

アエルは少し首を傾げた後に「じゃあ、今日…、今行こう」と言い、リーアは少し切なそうな顔を見せた後、すぐに笑顔を見せ、うんと頷く。


アエルとリーアはしばらく歩き、ツーヨが持つ地図の端っこに着く、ただ辺りは荒れ果てており、建物は一切なく、しゃがめば身を隠せるほどの大きさの岩しか無かった、アエルは少し苛立ちを見せ「ラルフ…」と小さく呟く、ただツーヨがアームを外に出し、1つの岩に向け、音声を発する。

「岩の下に入り口があります、解除ハ任セテクダサイ」

アエルとリーアはツーヨが言った岩に向かい、アエルがその岩を押し、位置をずらすと、その下にはAと書かせた扉があり、ツーヨはその扉のロックを解除し、アエルに開けるように伝える、その扉を開けると底が見えないほど長い穴が空いており、梯子がかけられていた、長い穴の中は赤い光が暗闇を照らしており、アエルは少し警戒を強める、アエルが先に梯子を降りると、近代的な廊下に着く、科学の光が廊下を明るく照らしており、それを初めて見たアエルは驚いた顔を見せる、アエル再び梯子を登り、下が安全である事をリーアに伝え、2人は共に下に降りる、下に降りると、リーアは少し気分が悪そうに呼吸を乱す、それを見てアエルが寄り添うと、リーアは少し甘えるように「抱っこ…」と言うと、アエルは頷きアエルを背負う、2人は目的地を決めず建物の中を歩き回っていると、かなり広い空間に着く、ただその部屋に入るとすぐに扉が閉まり、物陰から廃村にいた黒い服の人達と白衣を着た男性が姿を見せる、リーアはアエルに下ろして欲しいと伝え、アエルは素直にリーアを降ろし、リーアは姿を現した人達に向けて話す。

「あ…あの!!、私の家族を知っていますか?、ここにいる人達が知っているって…、それに貴方はドクター?」

それを聞き、白衣を着た男性が近づこうとするが、アエルが剣を向け、その歩みを止め、少し不機嫌そうに話す。

「全く…、蛮族め、あぁ知っているよ、被検体6番、君の両親は良い実験の成果になったからな、まさか私を覚えているとは…、さぁこちらに来い、実験の続きだ」

それを聞きリーアは少し涙を見せ、怒りを込めアエルに「殺して、アエル!」そう願う、アエルは少し体を震わし、笑顔を見せた後に「いいよ」そう返事をし、黒い服を着た人達とドクターに強い殺気を向け、鋭い表情を見せる、合図を待つことなく黒い服の人達はアエルに向かっていく、アエルは間合いに入ってきた人物から斬っていく、リーアは人とは思えない動きをするアエルの姿を見ながら、ラルフとの会話を思い出す。


辺りはまだ少し暗く、寒さが残る早朝、リーアは物音で目を覚ます、物音の方に目を向けると、ラルフが荷物をまとめており、何かに気づいたようにリーアの方を向き小さな声で「あ…、ごめん」と言う、リーアは少し眠そうに立ち上がり、体を伸ばした後にラルフに近づき不思議そうに小さく話す。

「ラルフ、こんな朝早くに何やってるの?、それにキリスが居ない…」

ラルフは少し頭を掻き、答える。

「いや…黙って立ち去ろうとしたんだけどな…、キリスは買い出しに行ってるよ、そろそろ帰ってくると思う」

そう言い終えるとラルフは荷物を背負う、少しして狼が荷物を背負い帰ってくる、ラルフは狼が背負う荷物の1つを地面に下ろし、リーアに向けて話す。

「リーア、この中に食べ物が入ってる、はぁ…君達食べ物なしで廃村に来てただろ?、だからあげるよ」

リーアは少し申し訳なさそうに荷物の中を覗いたあとに、ラルフを見ながら「ありがとう」とお礼を言う、ラルフは少し笑みを見せ「じゃあ、また何処かで」そう言い、立ち去ろうとすると、リーアはラルフを呼び止め話す。

「ラルフ!、待って、ラルフに聞きたいことがあるの」

それを聞きラルフはすぐに止まり、リーアの方を向き頷く、リーアは少し躊躇った様子で「ラルフは外から来たんでしょ…」そう言い、ラルフは「そうだよ」と返事をする、リーアは小さく首を横に振り話す。

「ラルフはもしかして私の家族を知ってたりするの?、私のお父さんの名前は…」

ラルフはリーアが話している途中で「知っている…、だけど言えないよ…」そう少し弱々しく言い、リーアはラルフに近づき顔を見ながら「教えて…、お願い」そう言う、ラルフは目をつむり深く考えた後に仕方なく話す。

「わかった…、だけどリーアにとって辛いことだ、それでも聞く?」

その言葉でリーアは少し察し、涙を見せ頷く、それを見てラルフは話す。

「わかった、だけど話す前に別の話をしていいかな?、俺の心の準備をしたいから…」

リーアは頷き、ラルフは続けて話す。

「リーアのご両親の事は別の所で知ったんだ、そう言えば30年経ってるって言われたみたいだけど、この都市が30年経ってるだけだよ、実際は3年…、俺はリーアの事を資料で見たことあったんだ…、はぁじゃあ話すか」

そう言いラルフは暗い顔を見せ話す。

「リーアのご両親は殺されてた、俺はそれを1つの資料を見て知った…、嫌な思いとともに…、ご両親は3年前に亡くなっていた」

リーアは泣き崩れ、ラルフはやるせない気持ちからか歯を食いしばる、少ししてリーアは鼻をすすりながらラルフに質問する。

「誰に殺されたの?、私はどうしたらいいの?」

ラルフは少し情けない顔を見せ、質問に答える。

「誰に殺されたかは俺にはわからない…、だけどご両親は…、実験の結果亡くなった…、だからおそらくデルタロス、そこに所属する執行者のドクター」

そう言い終えるとラルフはリーアの顔を見て、荷物を降ろし、話す。

「はぁ…、リーア、その心を癒せるとは思えないけど、こういう時は美味しいものを食べるべきだ、俺が作るから」

そう言いラルフは食材を手に取り、料理を作り始める。


アエルの周りには屍が転がっており、その死体たちは無理な再生を繰り返し、人の形を保ってはいなかった、アエルは血を流すドクターを強引に引っ張り、リーアの目の前まで連れていき「リーアが殺す?」そうリーアに言い放つ、リーアはアエルから短剣を受け取り、小さな刃をドクターに向ける、少しでも押せばその刃はドクターの胸に突き刺さり、その命を奪えるが、リーアは少し体と目を震わす、それを見たドクターは落ち着いて話す。

「とんだ化け物がいた…、被検体6番、私を殺そうとしても無駄だ、今貴様の目の前にいる私は、劣化コピーに過ぎない、その意味がわかるだろ?」

そう言い終えると後ろから刃が首を突き刺し、アエルが冷たく「なら、全員殺すよ」そう言い、アエルは剣を抜き、リーア向けて話す。

「リーア、大丈夫?、このまま逃げる?」

リーアは少し動揺した気持ちのまま、コクリと頷き、アエルは少し心配した顔を見せ、リーアを抱えようとすると、リーアはそれを優しく拒否し、ゆっくりと歩き始める、しばらく2人はゆっくりと長く寂しい廊下を歩く、その中アエルは壁に描かれたA.63を見て、目的地がすぐ近くだと思い、リーアを急がせるように背中を優しく押す、少しの間リーアはアエルに押されながら歩き、少し大きめの扉が見え、リーアは歩みを止め、少し寂しそうな顔を見せ振り返り、アエルに向かって手を伸ばす、アエルは少し不思議そうにその手を取り指を絡ませる、リーアは優しく笑みを見せ話す。

「アエルは生きて…、忘れないで」

そう言い終えるとアエルの視界は白く染まる。


「始祖よ、まず初めに貴方には死の運命がある、あの金色の髪の娘、あの者と共に歩むなら、共に死を迎える」

その預言者の言葉を聞き、リーアは驚いた顔を見せ、否定するように首を横に振る、それでも預言者は続けて話す。

「始祖よ、運命は確定している、だからこそ貴方に問う、生きたいのか?、それとも生かしたいのか?、どちらか1つの力にはなれる」

リーアは少し顔を伏せ、小さな声で「どうやって死ぬの?」そう聞くと、預言者は「すまない、私にはわからない、ただ死神は白黒の髪の大男だ」と答える、リーアは顔を上げ先ほどの質問に答える。

「私は…、アエルを生かした!、死ぬのはとても嫌だけど、それでもアエルには生きてほしいの」

預言者は「不思議だ…」そう呟き、預言者は手が届く引き出しから指輪を2つ手に取り、リーアに手渡し話す。

「これは入れ替わりの指輪、着けた者同士の体を入れ替える、死神が見えた、その時が使う合図だ、生き残れるのは絶対ではない、可能性だ」

リーアはその指輪の1つを指にはめ、もう一つを強く握る、リーアは何かを思い出し話す。

「あの…服を貰ってもいい?、アエルが血だらけだから…、着替えて欲しいの」

預言者は頷き、返事をする。

「少し小さいかもしれないが、入り口の近くに置いてある、貴方の分も持っていけ…」

そう言い終えると預言者は眠そうに話す。

「では…最後に、始祖よ、廃村には外から訪れた、迷いを抱える者が現れる、その者は貴方の両親を知っている…、では…さようなら…」

預言者は頭を下げる、リーアは「両親を知っているの?」そう言い、預言者に近づくが、預言者は息をせず静かに眠っていた、リーアは預言者に向かって頭を下げ、服を手に取り、小さな部屋を出て行く。


ガコンとツーヨが落ちる音を聞き、アエルの意識がハッキリする、だが目の前にはアエル自身がいた、その胸は貫かれ人の腕が突き刺さっていた、ゆっくりとその貫いた腕は抜かれ、目の前にいるアエルは痛みで声を漏らす、その景色を見ていたリーアはこう叫ぶ「リーア!!」と、胸を貫かれたリーアは壁に投げ飛ばされ、アエルは目の前にいる白黒の髪の大男に近づこうとするが、体中に痛みが走る、のではなく体中に走っていた痛みに気付き、体を怯ます、そのアエルを気にする事なく目の前に立つ白黒の髪の大男は「つまらん」そう呟き、リーアを横目で見る、アエルは体中に走る痛みに慣れ、白黒の髪の大男に近づこうとすると、廊下に1人の男性の声が響く。

「黒虎、被検体6番を殺したら許さんぞ、私の価値を考え、行動しろ」

薄暗い廊下の奥から姿は少し違うがドクターが現れる、黒虎と呼ばれた大男はドクターに向けて話す。

「せっかく楽しい戦いが出来る、そうお前から聞いたのに、蓋を開ければこれだ、何が化け物だと」

ドクターは黒虎を睨み話す。

「代行者である、お前達には、大した相手ではないだろう、ただ私にとっては、十分に化け物だ」

黒虎は少し鼻で笑らい「それで、こいつ何処に連れてく?」そう言い、アエルを向き強い殺気を浴びせる、アエルは2人が話している間に武器を拾っており、一切恐れることなく、それどころか怒りを顔に出し、黒虎を睨みつける、ドクターは「少し傷つけてもいい、絶対に捕まえろ」そう言い、黒虎は少し不機嫌な顔を見せ、アエルは今度こそ黒虎に近づこうとするが、リーアが黒虎の足につかまり「アエル!、逃げて、生きて!!」そう息苦しそうにそれでいて必死に叫ぶ、黒虎は視点をリーアに向けると、それと同時にドクターが苦しみ出し「私が…、死ぬ?!」そう言い、その場に倒れる、突然のことに黒虎は少し混乱したようにドクターの方を向き、アエルは最後にリーアと過ごした夜の記憶、その言葉を思い出し、辛く辛く悲しい顔を見せ、リーアと共に歩いてきた道を走り戻っていく、黒虎はすぐに正気に戻り、逃げるアエルを追いかけようとするが、信じられない力でリーアに足を掴まれ、走るのを阻止される、黒虎は苛立ったようにリーアを蹴り飛ばし、逃げたアエルを追いかける。


痛みは絶えず流れ生み出されるが、アエルは以前よりも軽く、そして速く地面を駆ける、すぐに広い空間の場所に着くが、その場所には外へと繋がる長い階段が出来ており、その階段に対してアエルは疑問に思うが、自身が追われている、その事を強く思い出し、長く続く階段を素早く駆け上っていく、上がっていくと陽光ではなく、明るい月明かりが、アエルを照らす、アエルは夜が訪れるにはあまりにも早い、そう思うが足を止める事なくラルフが待つと言った場所に向かう、アエルは息を切らすほど走り、ラルフが待つと言った場所に着くが、ラルフの姿、白い毛皮の狼の姿、それどころか何もなかった、アエルは深く息を吐き捨て、諦めるように後ろを向くと、そこには黒虎が息を乱すことなく立っていた、アエルは武器を構え、鋭い表情を黒虎に向ける、黒虎がアエルに向かい距離を詰めようとすると、黒虎は胴体を撃ち抜かれ、辺りに大きく響く銃声音が鳴り、エンジン音が辺りに響く、黒虎の撃ち抜かれた胴体はすぐに再生を始め、アエルに向かい距離を詰めるが、それを阻止するように刀を持つ男性が凄まじい速度で黒虎の前に現れ斬りかかる、刀を持つ男性は黒虎を挑発するように「よぉ、クソ野郎のグッズ」そう言うと、黒虎は動揺したように表情を変える、その間にアエルの後ろに飛行船が止まり、飛行船に乗る1人が「ラルフが言ってた奴か、ラルフの仲間だ、速く乗れ!」そう言い、アエルは迷いながらも、飛行船に乗り込む、飛行船の中に人型の機械と白い毛皮を血で濡らし眠っている狼そしてラルフが弱々しく壁にもたれ座り眠っていた、刀を持つ男性は時間を稼ぐように黒虎の相手をし、黒虎は苛立ったように話す。

「お前何者だ!?、その内にある力、身に覚えがある、それに俺の名をなぜ!、知っている?!!」

刀を持つ男性はヘラヘラと笑い話す。

「さぁ、なんでだろうなぁ?、エキにでも聞いてみたら、どうだぁ?」

それを聞き、黒虎は眉を寄せ、冷静さを取り戻すために呟き始める。

「代行者の名を知るのは、同じ代行者かごく一部のデルタロスの者だ…、となるとお前はデルタロスの人間だな…」

刀を持つ男性は「そうかもなぁ」そう言い、刀を黒虎に向け「降臨」そう言い放つ、その言葉を聞き黒虎は目を見開き驚いた顔を見せる、降臨その言葉のすぐに、何もいなかった場所から少し透ける巨大な蛇が現れ、黒虎に襲いかかる、黒虎は「黒虎顕現」と焦ったように言い放ち、襲いかかる巨大な蛇をちぎり、荒々しく地面に投げ捨て、声を荒らげ「はぁ?!、双武の力だと?!!」と言い放つ、黒虎はすぐに刀を持つ男性の方に視線を向けるが、刀を持つ男性はその場所におらず「じゃあなぁ、クソ野郎ぉ」その言葉を聞き、そちらに視点を向けると、刀を持つ男性は浮かび上がる飛行船に乗っており、煽るように手を降っていた、黒虎は強い混乱の中、飛び去っていく飛行船を眺めるしかできず、声を大きく上げる、その声でラルフは目を覚まし、飛行船が飛んでいることに気づき、辺りを急いで見渡す、その様子を見て飛行船の上にいたネズミ色の髪の少女が話す。

「ラルフが言ってた人は乗せてるよ、だから安心して寝てて…」

それを聞きラルフは苦しそうに声を出す。

「いや!、アエルがまだだ、早く戻ってくれ、助けないと…」

それを聞き、アエルは悲しい顔を見せながら、ラルフの前に立ち静かに話す。

「ラルフ…、私がアエル…、リーアが助けてくれたの…、命をかけて…」

ラルフは「は?」と混乱したように言葉を漏らし、涙を見せるアエルと指輪を見て、何かを察し、悔しい顔を見せ、口から黄色が混じった血を吐き出す、しばらくの間、沈黙が続き、アエルがラルフに向けて話す。「ラルフ…、リーアは最後に生きてって言ったの…、だけど私、もう…」

ラルフはアエルが話し終える前に割り込み、話す。

「駄目だ、アエル、それはリーアに対しての裏切りだ、どんなに苦しくても生きないと」

涙を見せるアエルを見て、ラルフは続けて話す。

「リーアは何か望んでいなかった?、もしも望んでいたら、それがアエルの生きたいと思えるものになるはずだ、俺がそうだったように」

アエルはラルフの顔を見て、リーアの言葉を思い出す、少ししてアエルは涙を拭き、こう誓う。

「リーア、私は生きるよ、絶対に、そして最後に生きてて良かったって、そう思えるように生きるから…」


黒虎がアエルを取り逃がした後、しばらくて黒虎は全ての村にいる戦士達を一箇所に集める、多くの戦士達がいる、その前の高台に立ち、黒虎は話し始める。

「俺は黒虎、デルタロス第二席代行者だ、そしてお前達が言う、神々の知り合いでもある、今よりお前らはデルタロスの一員になってもらう、否定する者は俺が今ここで殺す」

そう言い終えると戦士達は当然の様に罵声を言い、黒虎は苛立ち、1人の戦士を見せしめに殺害する為、飛びかかろうとすると、ノイズ音と共に黒虎は何者かに殴り飛ばされ、その人物が話す。

「竜を孕む黒き虎、誇り高きその姿、誇り高きその闘争、だが模倣である黒き虎、その誇り高き輝きはホコリを被り、暗く曇らせる、君は本物にはなれない」

黒虎はその人物を見て「ゼルス」そう言葉を漏らし、自身では勝てないと思い、おとなしく立ち尽くす、その姿を見てゼルスは少し呆れ鼻で笑う、その後に戦士達に向けて話す。

「私はゼルス ゴールド、君達の同志だ、そして君達は完璧と言える肉体を持つ人間だ、だが君達は短命、この場所を離れれば潰える」

突然現れたゼルスに当然に戦士達は罵声を浴びせるが、ゼルスは続けて話す。

「この場所は力を失った、外と変わりなくなり、君達は命を落とす、だが君達は戦士だ、戦士とは戦いに生きる者、種を全うするなど君達にとっては許されないだろう、だからこそ私が君達に戦うその場所を用意する、だからこそ共に来い」

それを聞き、一部の戦士は罵声を止め、ゼルスは手を伸ばし、黒いポータルを生み出し話す。

「戦士として死を迎えたい者のみ、それをくぐれ」

そう言うと、何人もの戦士達が黒いポータルをくぐっていき、半数以上の人が居なくなる、ゼルスは黒いポータルを閉じ、立ち去ろうとすると、おとなしくしていた黒虎が話す。

「ドクターを殺したのはお前か?、何をする気だ?」

ゼルスは答えようとすると、カシャカシャと鎧の音を鳴らし、1人の男性が籠った声で話す。

「アイツは俺が殺した、デルタロスの拠点を記した、記録を奪う為に、それにあのクズは死ぬべきだ」

黒虎はすぐにその人物が誰か気づき「騎士」そう言うが、中世の鎧を着た男性は不愉快そうに話す。

「俺を騎士と呼ぶな、それは俺には対しての最も侮辱になる、俺は騎士と呼ばれるべき人間ではない」

黒虎は中世の鎧を着た男性の言葉を気にせず「なぜ、裏切った!」そう言うが、中世の鎧を着た男性は嘲る様に「矛盾だ…、だがお前は忠誠なんてないだろ?」そう言い、ゼルスの隣に立つ、黒虎が更に何かを言おうとするが、2人はノイズに飲まれ、姿を消す、黒虎はそれを呆然と眺めるだけだった。

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