1話 獣の目覚め
おぼつかない視界の中歩みを進める、自分の体がどの様な形、姿をしているかも分からずに、自身の記憶も持たず、何を目的に生きることも知らずに、ただひたすらに白き獣は遠い空にかすかな光を目指し歩く、唯一ある最初で最後の人の言葉を胸に想いながら。
薄汚れた狭い部屋の中、一人の少年は眠りから目を覚ます、質素な掛け布団をベットの隅に追いやり、少し気だるそうに身体を起こしベットに座り、静かに一人話し始める。
「またあの夢…、言葉を胸に…ってそれが僕に分かんないってのが頭にくる…」
少年は視点を横に移し、壊れている目覚まし時計を見て続けて話す。
「そして…昨日買ったばかりの目覚ましが機能してないのが余計に腹が立つ…」
少年はそのように言うと深くため息を漏らし、立ち上がり棚から缶詰を取り出し、それを開け中身をほうばる、作業のようにそれを行っていると部屋の天井から雫が滴る、少年は再び苛立ちを覚え、それを抑えるように静かに話す。
「上のやつ…、また朝からシャワーを浴びてる…、少しは下のやつらのこと考えろ…、いや…」
少年は言葉をのみ込み、先ほどよりも深いため息を漏らし、食べかけの缶詰を床に置き、着替え部屋を出る。
少年は薄暗い廊下を慣れたように歩き、外に出る階段を目指します、少し歩き他よりも光が目立つ場所つく、ただその場所には一人の大柄な男性が椅子に座り少年に睨みをきかせていた、少年は嫌な記憶を頭に浮かべ、少し緊張を顔に見せ、階段に向かって歩みを進める、少年が大柄な男性の横を通り過ぎ階段に一歩足をかけると、この空間にふさわしい声が「おい」と少年を呼び止める、少年は少し額に汗を見せ、階段を一歩おり振り返る、大柄な男性は立ち上がっており少年を見下ろす、そして大柄な男性は口を開く。
「一つあんたに聞きたいことがある、俺は…怖いか?」
その言葉を聞いた少年は驚きで少し目を見開き、それと同時に怖いに決まってるだろっと言う言葉が頭の中に広がる、少年が固まっていると大柄な男性は少し悲しそうな顔を浮かべ、話し始める。
「だよな…怖いよな…、すまないが特にどこが怖いか?、顔か?、隠さず話してくれると助かる…」
少年は嫌な記憶を再び頭に思い浮かべ、少し頭を悩ませた後に決意を決めたように話し始める。
「確かにあんたの顔とその体格は怖い、ただ僕はそれ以前にこの場所に始めてきた時、あんたが人をボコボコにしていたのを見た、それがあるから僕はあんたが怖い」
その言葉を聞いた大柄な男性は地面を見るように顔を下に向け、悲しそうに話し始める。
「正直に打ち明けてくれてありがとう…、ただあんたが見たその…、俺が人をボコボコにしてたのはそういう仕事なんだ…、多分だがその人はこの場所に無断で何ヶ月も滞在して…」
少年は大柄な男性の左肩を優しく叩き何度か頷く、その後少年は口を開く。
「分かった…、今のあんたを見ていたら怖さなんて感じない、明日から挨拶をしたくなった」
そのように言い終えると軽く笑顔を見せ、階段に一歩足をかけると大柄な男性は少年を呼び止める。
「待て!、俺の質問に答えてくれたお礼だ受け取ってくれ、それとこれから仕事だろ…、が頑張れよ」
大柄な男性はそのように言い、少年にラッピングされたパンを手渡す、少年は快くそれを受け取り「ありがとう」とお礼を言い、階段を上り始める。
外に出ると車が走り呆れるほどに高い建物が並び立っている場所に出る、辺りを見渡すと始めに目がつくのは巨大な壁、ただその壁は呆れるほどに高い建物よりは高くはないが、少年が住むこの都市を大きく囲っている、少年は壁がある方向に歩き始める、しばらく歩き巨大な壁の下にたどり着く、壁の入り口の様な場所に人が何十人か集まっており、少年もその集まりに向かう、ある程度近づくと深く帽子をかぶった男性が少年に気づき声をかける。
「今日は遅かったな、何かあったのか?、まあさっさと手続き済ませてこいよ」
少年は適当に返事を返し、壁の入り口の中に入っていく、入ってすぐに軍服を着た人が少年を呼び止める。
「おい、止まれ、ここはアルスル都市第三防壁内だ、君みたいな子供が来るような場所じゃない」
そのように軍服を着た男性が言うと、その後ろから男性が話す。
「子供以前に関係者以外立ち入り禁止だろ」
少年は少し慣れたようにポケットから紙を取り出し、話し始める。
「僕は壁の清掃に来た、これ都市長からの許可書」
軍服を着た男性は驚いた顔を一瞬見せ、許可書を凝視した後に口を開く。
「本物…、分かった、手続きの場所はそこを曲がった…」
少年は話を聞ききる前に「知ってる」と言い放ち、その場所に向かう、少し歩くと中年の男性がだるそうに座っており、少年がカウンターの前に立つとお前かっと言う顔を浮かべ口を開く。
「えー、書類を、後俺のためにコーヒーを」
少年は書類を中年の男性に渡し、返事を返す。
「金ない無理、それと流石に酒の缶詰ぐらいは隠したほうがいい」
中年の男性は書類を確認することなく受け取りサインをする、その後話し始める。
「ああ~そうだ…、これ聞いた後にサインか、まあいいか、じゃあめんどくせえが、名前は?」
少年は「キリス」と答える、その後に中年の男性は「年齢と性別は?」と聞くと少年は「多分16、男」と答える、中年の男性は書類をキリスに返し「最後、出身地は?…、ってこれいるか?」と聞くとキリスは書類を受け取り「別の都市、働いてくる、そうだ、これ預かってて」と答え、ラッピングされたパンを中年の男性に渡す、中年の男性はそれを受け取りカウンターに置く、キリスは「食うなよ、絶対」と言うと、中年の男性軽く手を上げ小さく揺らす、それを見たキリスは振り返り歩き始める。
キリスは入ってきた場所とは反対側に歩き、壁の中から出ると先ほど反対側にいた人達がおり、その全員が作業着に着替えていた、その中の一人がキリスに近づき話しかける。
「お前また作業着なしで作業すんのか?、流石に見てるこっちが不安だからこれやるよ、あ!これ俺からじゃあ無くてみんなからな」
そう言い小さな袋をキリスに手渡す、キリスはそれを受け取り中を開き、感謝を伝えるため口を開く。
「ありがとう、けどお返しとかはできない、大事に使う」
キリスはそう言うと、小さな袋の中にあるマスクを装着し、フードをかける。
キリス達が行う壁の清掃は砂嵐により壁に突き刺さっている何かの破片や何かの肉片などを撤去する仕事だが、そのほとんどは機械によって行われる、キリス達は機械が壁から切り離した破片や吸い取り吐き出された肉片を回収する役割だ、この壁の清掃は他の仕事よりも高い金が貰えるが、それだけ危険な仕事でもある、キリス達が住む都市の外、世界は人にとって有害な場所であり、何の対策もなしに外に出るとものの数分で肺が機能を停止し、その後他の臓器にも致命的なダメージを負い死に至る、例え対策をしたとしても数時間もすれば同じ症状が現れる、ただその時の体調や気分、人によって時間差は大きく変わる、ただこの仕事を行う人達は死に対する不安の中、仕事を行わなければならない。
「ああ~疲れた!、これで70万イタ…明日で140万イタ、頑張るぞ!」
その様に深く帽子をかぶった男性が叫ぶように話す、続くようにその男性の横に立つ男性が憎たらしくい口調で話す。
「これでリーズにいい贈り物を買えるぜ、お前は借金返済だけどな」
深く帽子をかぶった男性は不快そうにその様に言った男性を睨見つけ、深くため息を漏らし視点をキリスに向ける、キリスは2人の会話に気にもとめず空に緑色に輝く何かの破片をかざしていた、深く帽子をかぶった男性はそれに興味を示し話しかける。
「それエメラルドか?、ずいぶん光輝いてるけど?、それかなりの値段なんじゃないか?、なあどこで拾ったんだよ」
キリスは緑色に輝く破片を片手で包み、声の方を向き答える。
「壁に突き刺さってたからもらった、これエメラルドって言うの…」
そう答え小さな袋に緑色に輝く破片を入れる、深く帽子をかぶった男性は頭を少しかき口を開く。
「いや…俺もそう言うのに詳しいわけじゃないからエメラルドってわけじゃないぞ?、まあ価値はありそうだよな…、後軍人に絶対に見せんなよ、清掃の時に拾ったものとかは渡さなきゃいけないからな」
キリスは知ってるよっと言う表情を浮かべ、何度か頷き自宅がある方角に歩き始める、深く帽子をかぶった男性は手を大きく振りながら「また明日な!」と言い、キリスは振り返ること無く、軽く手を上げる。
キリスは少し疲れを見せながら人混みを歩き、ふと視点を右側に移すと雑貨屋が見える、それを見たキリスは今朝の時計を思い出し、小さな苛立ちを抱え雑貨屋に向けて歩き始める。
店の中に入ると少し古めかしくはあるが多くの品が棚に並んでおり、ただ人はキリスと店員、そして片手で数えるほどしかおらず、少し店員も暇そうにしており、入って来たばかりのキリスをぼんやりと眺めていた、キリスは少し店内を歩き目覚まし時計を探す、店内の奥にある棚に複数個目覚まし時計が並んでいるのを見つけ、キリスはその中で一番安いものを手に取りレジに向かう、会計を済まし店から立ち去ろうとすると、キリスよりも年上そうな少年が呼び止め話す。
「あの、ちょっといいかな?、少し君に聞きたいことがあるんだけど?、君緑色に輝く何か持ってないかな?」
それを聞いたキリスは驚きで少し目を見開き、少年に「持ってない…」と言葉を返すが、少年は集中するように片目を閉じ、視点をキリスが持っている小さな袋に向けて、続けて話す。
「そこかな?、多分だけどそれ、この都市では価値を持たないと思うよ、ただ俺はそれが欲しい」
キリスは目を細め、少年を少し睨見つけ「あんた何者?」と言葉を返す、少年は少し笑みを見せその質問に答える。
「何者…か、そうだな…、旅商人とかになるのか?、まあ詳しく知りたいなら、場所を変えないか?、ご飯でも食べながら、もちろん俺のおごり」
キリスは少し悩んだ後に決心したように小さく頷く、少年はそれを見ると嬉しそうに話す。
「ありがと、結構強引だったけど話を聞いてくれて、近くに良さそうな店があったからそこで話そうか」
そう言うと少年は振り返り歩き始める。
店を出ると辺りは暗くなっており、科学の光が都市中を照らしていた、少年は少し申し訳なさそうにキリスの顔を見る、キリスはその不安を晴らすように話す。
「店ってどこら辺にある?、あんたみたいな人が良さそうって思う店なんだったら、イタルタ区画にある店?」
少年は顔を傾け頭を悩ませるように眉間にしわを寄せる、その姿を見たキリスは少年が何も知らずこの都市を訪れ、訪れて日が浅いことを理解する、それと同時に少年が緑色に輝く破片をこの都市では価値がないと発言したことに対して深い溜息を漏らし、少年に睨みをきかせる、少年は謝るように笑みを見せ歩き始める、キリスは一瞬ついて行くかを迷うが、顔を横に何度も振り、少年の後を追う、少し歩きキリスと少年は隠れるようにある小さな飲食店にたどり着く、少年は嬉しそうにここだよっと指を指す、キリスは少しがっかりした顔を見せるが、すぐに頬を少し上げ、少年と共に店の中に入る。
店の中は外見では想像できないほどに広く豪華で、なかなかに賑わいを見せており、キリスの隣に立つ少年はこの光景を想像していなかったのか、驚いた顔を隠すこともせず見せていた、2人が店の中に入りすぐに一人の店員が駆けつけ話す。
「いらっしゃいませ、2人で構いませんか?、席の指定などはありますか?」
少年はまだ少し驚いた顔をしながら少しぎこちない言葉遣いで答える。
「2人で問題ないデス、え…奥の席…個人部屋とかある?、あ…ありますか?」
店員は少し苦笑いを見せ、「ありますよ、ではご案内しますね」と2人を部屋に案内する、2人は席に座ると店員は「では注文がありましたら、そちらの呼び出しボタンを出してくださいね」と言い、そそくさと部屋から出ていく、少年は真剣な顔になり話し始める。
「さて、話の続きなんだけど、俺は正真正銘世界を旅する旅商人だ、ただこれは表向きだけど、君も俺に色々聞きたいことがあると思う、だから答えられることは答えるから」
キリスはメニューに手を置き、少年の目を見ながら話す。
「はじめに何者?って聞いたけど、別に僕はあんたが何者でも構わない、何であれが欲しいとか何に使うとか、ただあれをいくらで買い取ってくれるかそれだけ、けど2つ聞きたいことがある」
少年は笑顔を見せ何度か頷き、それを見たキリスは続けて話す。
「あんたの名前と、何で危険を冒してまで旅をするのか」
少年はあっと言う顔を浮かべ、少し嬉しそうに答える。
「そういえばお互い名前も知らないのか、俺はラルフ、旅をしている理由は色々あるけど、まあ強いて言うなら世界を楽しくするためと明日を生きたいと思えるように」
ラルフはそう答え、上着の内ポケットから財布を取り出し、その中から黒く黄金が散りばめられたカードを取り出し、テーブルの上に置き続けて話す。
「俺はそれにこれを払うつもりだ、知ってると思うけど、これはこの都市の通貨、イタがデジタル通貨として入っている、金額は1億」
キリスは金額を聞き、驚きで「は?」と声を漏らす、キリスはすぐに目をつむり考えを巡らせる、黒いカードは高級店などでしか使うことができず、黒いカードを発行した人物以外が使用することは禁止されており、最悪の場合体に穴が開く事を思い出す、ただそれでも黒いカードを欲しているものは多く、危険はあるが1億以上は稼ぐことができる、キリスが迷っているとラルフはメニューを手に取り読み始め「この都市は価格が高いんだな」と呟く、その呟きを聞きキリスは一旦黒いカードの事を忘れ、メニューを手に取り読み始める、メニューに載っている値段は他の店よりも3倍ほど高く、キリスは驚きの感情と共に期待で頬を上げる、2人は注文を済まし、キリスは少し悩んだ後に話し始める。
「ラルフさん、少し待って、もう少しちゃんと考えた後に決めたい、その黒いカードは少し面倒だから」
ラルフは笑顔を見せ親指を立て了承する、2人は注文を済まし、待っている間ラルフが思い出したように話す。
「聞くのは野暮だとは思うけど、君は何で金を欲しているの?」
キリスが何も答えずにいると、ラルフは再び話し始める。
「まあ…金はいくらあってもいいしな、あの…ごめん」
ラルフが申し訳無さそうな顔を浮かべ、少し頭を下げる、それを見たキリスは何ら気にすることはなく話す。
「別に…、話しづらい理由があるわけじゃない、いや…特別な理由ではある…」
キリスは少しため息を漏らし、続けて話す。
「僕はこの都市の生まれじゃない、だけど僕自身はどこで生まれたかも知らない…、この都市では異人特例税って言う税法がある、この法律は結構適当でこの都市の生まれではないものに馬鹿みたいに金を吸い上げる法律、ただでさえ物価が高騰してるのに、僕はこの税法のせいでいっぱい金がいる…、生きるために」
ラルフは少し悲しそうな顔を浮かべ、少しの沈黙のあとに何か話そうとすると、扉の向こうから店員が話す。
「ご注文の食事ができました、中に入ってもよろしいですか?」
ラルフは了承し、食事が運ばれ、2人はそれを食べる。
食べ終えキリスが席を立とうとすると、何か思い出したように、ラルフが話し始める。
「そうだ、一つだけ君に大事なことを伝えないと、デルタロスって言う組織を知ってる?」
キリスは首を横に振る、それを見たラルフは「まあ知らないよな」と呟き、続けて話す。
「それでその組織が、その破片を回収しに来たら、何の抵抗もせずに素直に渡すこと、じゃないと…危ないからな…、あとそいつらは衣服の何処かに丸とその丸の上に輪っかのエンブレムがあるから、本当に気をつけてな」
キリスは少し眠そうに頷き、2人は5日後に会う約束し別れる、キリスは食べ過ぎたせいか仕事の疲れのせいか強い眠気に襲われながら自宅に帰る、道中今朝会った大柄な男性がキリスを心配そうに一言「お疲れ」と声をかける、キリスは足を止めること無く一言「パン美味しかった」と返事を返す、狭く小汚い自室に入るとキリスは疲れから息を大きく吐き出し、ベットに倒れ込むように飛び込み、持っていた小さな袋を床に優しく置き、そのまま眠りに落ちる。
不自然に明かり消える駐車場で1人男性が呟くように話す。
「まさか任務の場所に極小とは言え、リーアスの欠片があるとは、まったく面倒な」
顔を覆い隠すマスクと戦闘服を着た人がその様に呟くと、同じ服装の人が車から少し変わった短機関銃を取り出しそれを渡し話す。
「あまり面倒とは言うべきではない、我々はもとよりリーアスの確保が最優先だ、それこそが創設者の望み」
その様に言い終えると車からもう二人現れ、そのうちの一人が話す。
「この場に星の龍が居たら、お前かなり印象悪かったぞ」
それを聞きはじめに喋った人は舌打ちをし、4人はキリスの自宅がある地下に歩みを進める、4人は静かに階段を降りていき、先頭にいる人が降りた先に人がいることに気づき、後方にジェスチャーでそれを伝え、素早く降り、大柄な男性を壁に叩きつけ座り込ませる、銃を大柄な男性に向け、冷酷な声で質問する。
「一度だけだ、貴様らが盗んだ、聖人の腕は?」
大柄な男性は何かを悟ったように声を上げながら懐にしまっていた拳銃を取り出そうとすると、何の躊躇もなく弾丸が放たれ、大柄な男性は致命傷になりうる場所のみを撃たれ、即座に絶命する、4人は何事もなかったように歩みを進め始める、少し歩き4人のうちの1人が「この部屋だ」と小さく話し、4人は歩みを止めキリスの自宅の前に止まる、1人が鍵穴を見て、小さく舌打ちをしたあとに、ピッキングを素早く行い扉を静かに開ける、2人が外で待ち、残りの2人が音も立てずに歩き、寝ているキリスの目の前まで近づき、1人がキリスを銃で小突きキリスを起こす、キリスは目覚め自身が銃を突きつけられている事を理解し、大人しく両手を上に上げ降伏する、キリスを小突いた人が話す。
「理解が早いな、一度だけだ、リーアスはどこだ?」
キリスはリーアスと言う見知らぬ単語を聞き、必死に頭を回し、緑色に輝く破片を頭に浮かべると同時に自身の目の前に立っている、人物の胸にあるエンブレムがラルフが言っていたエンブレムだと言うことに気づき「デルタロス?」と小さく呟く、そして話す。
「リーアスが何かしらない、だけど多分あんたの足元にある小さな袋…」
その様に言い終えると同時に弾丸が発砲され、先ほどの大柄な男性と同じ場所を集中的に狙われ絶命する、2人は小さな袋を回収し、部屋を出る、外で待つ2人のうち1人が口を開く。
「なぜ発砲した?、何か問題か?」
小さな袋を持った1人がその質問に「我々を知っていた」と答え、4人は目的地に向かうために歩めを進めようとすると、後方にいた1人が黒い影に凄まじい勢いで壁に押しつぶされる、3人は即座にそれが敵であることを理解し、フラッシライトを灯し、それと同時に照らされた黒い獣に攻撃を開始するが、黒い獣はそれを容易く避け、小さな袋を持っている1人を殺害し、小さな袋を手に取り、出口に向かい風のように走り抜ける、生き残った2人は少し息を乱し、1人が誰かに連絡をとる。
「リーアスの欠片が奪われました、我々では対処不可の獣が現れました…、はい…場所はルタ区画東タームラの地下アパート付近です、はい…お願いします」