第八話 再開(2)
春波と浩二の戦いが終わると、次は国防軍隊長兼カルデラ王国国王の達也と元大帝国近衛軍隊長の浩一が戦う事になった。
このときも郁弥は二人に相手の力と特徴を教えて戦う事になった。
達也は戦いが始まる前にもう一度、浩一の姿を見たが身震いが止まらなかった。なぜなら春波と浩二が戦っているときもそうだが、これからクラス化け物でレベル940を前に表情を一切変えていなかったのである。いやわからないのである。その表情のかわらなさが、不気味でただ立ってるだけなのに一切隙が見えなかった。
「両者ともに相手を殺してならない」
郁弥はいきなり条件付きで手を鳴らした。
達也は速攻でオリジナルマジックを使おうとした瞬間、なんと音もなく浩一の拳が目の前にあった。達也はあまりにも速すぎて考える前に本能的に体が動いて避けた。だが避けても風圧で吹き飛ばされた。だがそれよりも浩一が殴った方向がとんでもなかった。滑走路のコンクリートは吹き飛び、何十メートルも離れてたのに建物の一部が崩壊していた。
「威力どうなってるんだよ!」
達也は確実に生存本能がなければ一撃で頭どころか、風圧で胴体すら吹き飛んでいた。
「オリジナルマジック”発動”、空間よ、切断せよ。空間切断」
達也は浩一に手を向けて手を握ると、浩一のヘソから右肩をかけて切断した。
あまりにもあっさりと倒せたので、拍子抜けだと思った。だが浩一は一瞬で体を治して、体勢を低くしてアッパーを仕掛けた。
「空間よ、移動せよ。テレポート」
達也のオリジナルマジックは時空制御、時間と空間を操作する力を持っている。さっきの空間切断は攻撃範囲を制御するのが難しいが、防御を無視して攻撃することができる空間操作である。それと同じようにテレポートも空間操作の方で目視できる範囲に自分か相手を転移する技である。
達也はあまりにも至近距離だったので、浩一と入れ替わって距離を取った。もはや切り札を使うしかないと思うと、浩一から殺意の視線がなくなった。
「強さは分かった。問題ない」
達也は浩一がいきなり戦闘を止めた理由はわからないが、一つ言えるのは今の自分と浩一の実力差は雲泥の差があると言うことだった。反撃する隙を一切与えずに終始余裕を残していた浩一と、どさくさ紛れになんとか一矢報いることができた攻撃ではもはやダメージを負わせることができたとは言えず、しかも浩一はいとも容易く自分で負ったダメージを回復していた。これでは勝ち目はないとも言える。
「兄さんの答えは?」
浩一は郁弥に頭を下げると、すぐに帰ろうとした。
浩二はすれ違うときに浩一に聞いた。浩一は少し黙った。
「実力はない、帝国と対峙する実力すらない。だが価値はあると思う」
浩一は浩二にそう伝えると、そそくさと帰ってしまった。
浩二は少しため息をつくと、郁弥たちにこれから行われることを伝えた。
まず今の地球は殆どが元大帝国近衛軍たる浩二が主導権を握っていた。つまり今のアメリカを裏から操ってる張本人でもあった。しかもアメリカだけでなく、ロシア、中国、北朝鮮、韓国も同じだった。この五カ国が持っているすべての戦力を持って、カルデラ王国の戦力を調べる。
浩二はそう伝えると、両手に炎と氷を出して手と手を合わせた。すると超好熱と超低温によって水蒸気爆発を引き起こした。達也がすぐに空間制御で蒸気を吹き飛ばしたときには姿が消えていた。
「郁弥、君が言っていた帝国とはなんだ?」
「条約を結んだときに対峙してもらう国だ」
郁弥は達也からの質問は国防軍全員と親衛隊長、各軍部の元帥にも聞かせるとのことだった。今は対峙する国が帝国であるとだけ伝えた。
これはフィクションです。現実とは全く関係ありません