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一国の異世界が世界を救う  作者: アドミラル
第一章 地球編
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第六話 北海道奪還戦

 郁弥の指示で杏と紀和は日本本土にある在日米軍基地に向かって見に行くように言われた。だから総務大臣が乗る車に乗って見に行くと、そこは郁弥の言った通りもぬけの殻だった。このときに杏と紀和は郁弥が日本本土の在日米軍基地を無視した理由がわかった。戦術や戦略的に見ても戦場が悪すぎるのもあるが、何より日本の外務大臣だった浅波浩二の存在である。

 浩二が集団的自衛権の行使を阻んでいる間に在日米軍が密かに逃げ出していたら、宣戦布告してから逃げ出す短時間よりも更に長い時間を使うことができる。だが総理大臣が勘と人を見る目で見抜いてしまったのもあり、物資がいくつか残っている様子だった。


「だとすると浩二は大帝国の人間?」


「だとしたらこんな回りくどいことをすると思う?」


 杏が言った大帝国の人間とは、あらゆる宇宙を支配した天照大帝国の生き残りではと思ったのである。ここまで予想することができたのは、カルデラ王国には大帝国の生き残りがいるのである。それが海藤郁弥である。しかも彼はただの生き残りではなく、その大帝国の皇帝だったのである。

 郁弥の正体を知っているのは国防軍と親衛隊長、各軍部の元帥しか知らない。けれど薄々感づかれている人も多くいた。しかし情報を封鎖しているからとは言え、一部一部の情報は開示しているので、その中に浩二の名前は存在した。

 浩二は元大帝国近衛軍副隊長で大帝国の国家貴族であり、郁弥が自慢するほどの頭脳明晰で天才と称されるほどの軍師であった。しかもそのレベルは量子コンピュータを相手に圧勝するほどである。

 だからこそ杏と紀和は浩二が何をしたのかがわかったとしても、その先で何を目的にしているかはわからなかった。しかし今は郁弥から日本本土を守るように言われた。だから今はここを守ることに集中した。

 一方この頃、竜龍は北海道の前線に到着していた。到着したときに自衛隊の司令官から在日米軍も敵なったことを聞くと、竜龍は単独で在日米軍基地に向かった。残りは迎撃で留めていた自衛隊の代わりに、最前線で柚葉を中心に国防軍がロシア軍の前線を突破した。しかしただ突破したのではなく、地球の常識を逸脱した”圧倒的”な魔法の力で完全に崩壊してしまい、ロシア軍は迅速に前線を下げ始めた。

 竜龍は在日米軍基地に残っていた兵士が数名いたが、竜龍の体はオリジナルマジックを使用せずとも鋼以上に固く、アメリカが持っている武器では竜龍の体に傷をつけることはできない。しかもオリジナルマジックの中には使用せずとも、使うことができるものもあった。竜龍はオリジナルマジックのほんの一端だけだが、身体能力が人知を超えるほどに強化されていて、在日米軍兵士を防弾チョッキの上からだろうと、壁を挟んでも拳で体を貫通させるほどの威力を出していた。


「北海道援軍の国防軍に通達、ロシア軍には一定以上の恐怖を植え付けて帰らせよ」


 竜龍は念話で北海道の援軍に来た国防軍にそう伝えると、撤退しているロシア軍の背後を攻撃した。しかし楽にロシア兵士を殺すのではなく、竜龍が言った通りにできる限り苦しませて殺した。しかも生存したロシア兵士に恐怖を与えるために首を跳ねたり、頭をまるで林檎を握りつぶすようにして恐怖心を植え付けた。

 その結果、ロシア軍は上層部の命令を無視して撤退を始めた。

 だが最前線の状況を知らないロシア兵士もいた。その兵士は一箇所に集中して最後まで戦う意思を示した。だが運がないことにロシア兵士が対峙したのは竜龍だった。

 日本海が見える一本道、夏だと言うのに気温は涼しく、太陽も輝いているのもあって過ごしやすい気温だった。しかしその一本道には竜龍を待ち構えていたロシア兵士が銃を向けていた。


「仲間でも言語が違えば情報が来ないわけか」


 竜龍は在日米軍基地で通信士らしき米軍兵士が通信していたので、てっきり前線に立っているロシア兵士には伝わっていると思っていた。しかしロシア兵士は待ち構えていた。情報が来なかったのか、それとも伝わっていなかったのかはわからないが、少なくとも竜龍は情報が来なかったと判断した。

 ロシア兵士は一本道だったのもあり、竜龍の姿が見えていた。だがここは日本海側であり、風が強かった。だから射撃せずに竜龍を引き付けてから一斉射撃しようとした。もちろんそれは竜龍も気づいていた。

 竜龍はロシア兵士の表情を見て、引き金を引くであろう距離800メートルに入ると同時に走り出した。予想通りにロシア兵士は射撃を始めた。だが竜龍には銃火器は効かない。

 残り距離が300メートルを切ると、ロシア兵士はなんと対戦車ミサイルを撃ち込んできた。さすがの竜龍も対戦車ミサイルは直撃さえしなければ問題ないが、直撃すればただでは済まない。しかし竜龍は足を止めた瞬間に死ぬと判断して、更に足力をあげた。

 その足力は残像が残るほどで、なんと300メートルの距離をたった一秒でロシア兵士に近づいて、頭を地面に叩きつけて潰した。だが足を止めずに周りにいるロシア兵士もほぼ一撃で殺し、戦いが終わったときには竜龍の体は前進血まみれで、ロシア兵士は無惨な姿になっていた。

 その姿を見た残党のロシア兵士は怯え、竜龍に”血塗れの死神”という二つ名がついた。

これはフィクションです。現実とは全く関係ありません

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