第二話 開戦
現代の日本はかなりきつい状況だった。近代ではわからなかったが、現代では日本の周辺に大量の資源があることがわかるようになった。そのせいで隣国のロシア、中国、北朝鮮、韓国の四カ国がその資源を狙っていた。そのせいで日本は対処に追われていた。
まだ狙っているときの対処だけならまだ問題ではなかった。なぜなら先ほど資源を狙っていた四カ国が宣戦布告してきたのである。
首相官邸では臨時閣議で集団的自衛権の使用について話し合っていた。だが避難を最優先してから集団的自衛権を使用すべきだと話していた。
「国民を守るためにまず自衛隊を動かすべきです!」
「自衛隊を動かしてしまったら国民も戦火に巻き込まれます。だから避難を優先すべきです」
一向に話が決まらず、閣議決定ができなかった。
総理大臣は説得しているのだが、頑固に住民の避難を優先させようとしている人物がいる。その人が外務大臣の浅波浩二だった。国務大臣の中で最年少の三十三歳の黒髪で赤目の男である。歳も若く見た目は少年に近しいのだが、外務大臣に必要な通訳に翻訳、政治や経済の状況分析と予測に優れ、外務大臣になってから数多くの実績を残しているために強く言い出せることができず、拮抗してしまっていた。
「ですが集団的自衛権を使わないと今以上に被害が増えます」
財務大臣はインフラの修理や自衛隊が使う武器、弾薬などその他のことも考えて、今すぐに自衛隊を動かしたかった。国家予算として考えずとも国民を守らねばいけなかった。だが浩二は一向に集団的自衛権よりも避難誘導を優先させようとしていた。
あまりにも決まらないので一旦閣議を中止して、十分後にもう一度閣議をすることになった。
「まさか浩二さんにも頑固な所があるとは思いませんでした」
総理大臣と総務大臣は浩二をどのように説得するかを話し合っていた。
総務大臣は今まで浩二の姿を見ていたのもあり、時々頑固な所があるのは知っていたが、しっかりと説得すれば意見を変えたりしてくれたが、今回はどれだけ説得したとしても一向に意見を変える気がなかった。
「一つ思ったことを聞いていいか?」
総理大臣は人を見る目はあると自負していた。だからこそ浩二と議論したことでわかったことがある。
総務大臣は総理大臣の話を聞いた。その話を聞くと、嘘だと思ったが確かに納得できる所もあった。だが証拠もなければ根拠もない。全部総理大臣の直感や感覚に等しかった。
「もし違ってたら大問題になりますよ」
総務大臣は心配になったが、総理大臣は覚悟していた。それどころか自分自身でも馬鹿らしい覚悟だと思ったが、ここで白黒はっきり付けないと今後に影響する可能性があった。
総務大臣は総理大臣の話を聞かなかったことにして、臨時閣議を再開させた。
だが閣議を再開させても浩二の意見は変わらなかった。だから総理大臣は総務大臣に伝えたことを聞くことにした。
「浩二さんに聞きたいのですがなぜ足止めを?」
総理大臣は浩二にそう聞いた。浩二もそうだが他の国務大臣も驚いていた。まるで浩二が裏切り者のような聞き方をしてきたのだ。
「いつもの君なら、頑固でも冷静に他の意見を聞いて受け入れるのが君だ。なのに君は冷静なのに頑固を貫こうとしている。何か隠していないか?」
総理大臣が浩二にそう聞くと、浩二は笑い出した。
「証拠はない、根拠もない。ただの直感だけで言い当てるとは思っていなかった」
浩二は立ち上がった。
どうやら総理大臣の予想は的中していたが、なぜそのようなことをしていたのかわからなかった。
浩二は手を叩いて、手と手の間に手榴弾が現れた。それが見えた途端に国務大臣は驚いたが、叫ぶ人はいなかった。
「冷静だな殺傷性の高いグレネードなのに」
浩二は慌てふためくと思っていたが、案外冷静にしているので逆に驚かされた。
「何が目的なのですか?浩二さん」
総理大臣は浩二を止める手立てはないので、話し合いで浩二が動くまでの時間稼ぎをすることにした。
「ただの時間稼ぎです」
総理大臣の考えでは浩二を止めることはできず、浩二はグレネードのピンを抜いて空中に投げた。国務大臣たちはすぐに机の下へ隠れようとしたが、グレネードはすぐに閃光を発してしまった。
前が見えず、めまいも出てきて、周りが見えるようになった頃には浩二の姿が完全に消えてしまっていた。
総理大臣は周囲が見えるようになると、すぐに警察に浩二の捜索と集団的自衛権の行使をするように伝えた。幸いなことに負傷者もなく、しかも浩二以外は集団的自衛権を行使することを認めていたので、総理大臣が勝手に命令してしまっても特に問題は起きなかった。だがもうその時にはかなり侵攻を許してしまっていた。
まずロシア軍は海上自衛隊が来る前に稚内市を中心に、包囲するように侵攻している。なんとか青森県と北海道の間にある津軽海峡で侵攻を止めた。他の戦域では自衛隊の奮闘のおかげで北海道以外で侵攻を許さなかった。
もはや日本だけでは侵攻を押し返す事もできず、アメリカに援軍要請を出したが全く動きが見えなかった。もはや万事休すだった。だが情報過多のせいで遅れたが、カルデラ王国と名乗る異世界の門が開かれていた。
これはフィクションです。現実とは全く関係ありません