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東京異世界ロープウェイ  作者: 福長 稔
東京異世界ロープウェイ1
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東京異世界ロープウェイ 9

今日は日雇いの土木の仕事が入る。会社まで、無きなしの交通費を使い電車で向かう。朝から三時間ほど排水溝の穴掘りの仕事をする。体力を使い、髪や手足も泥まみれである。まだ午前中だが、体も疲れてへとへとの状態。すると午後からは、突然の雨で今日の作業は中止となり現場責任者から

「今日はもう帰っていいよ」と言われる。帰って良いも何も、たとえ仕事が短時間であっても、体はこんなに疲れ切っているのに、会社の都合で帰れとは納得が行かない。けれど、所詮日雇いの身分、今後の事を考えると反発すらできず、その日は、しぶしぶ退社する。給与は時給制なので報酬もわずかである。こんな日が続くと腹が減るほど働いても、食べ物が買える報酬すらもらえない。これならば、何もせず公園でじっとしていたほうがましだ。


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