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東京異世界ロープウェイ  作者: 福長 稔
東京異世界ロープウェイ1
7/23

東京異世界ロープウェイ 7

翌日は、台風の雨風で眠れなかった天候が嘘のように晴れ渡りまさに、台風一過の晴天となった。私は朝早く避難所を出て、徳さんが居るガード下へと向かった。高台の避難所を下ると、平地では川が氾濫したのか街が水に浸かっているのが見える。消防の救助隊がゴムボートを使い住宅に助けを求めている人がいないか探し回っている。徳さんが居るであろうところには、川の水が高速道路の高架橋の足が辛うじて見えるところまで水没している。その場所も救助隊が人を探している。徳さん、徳さん生きててくれよ。私はそんな思いでその場所を見ていると、ゴムボートからブルーシートに包まれた遺体らしき人が私のすぐ近くまで運ばれて来た。隊員が無線で遺体の様子を連絡している。

「身元不明、男性七十歳くらい目じりに親指大のほくろあり、心肺停止、病院へ搬送」その言葉を耳にした時、私はすぐ徳さんだと思い遺体に近寄る。すると消防隊の人が

「身内の方ですか、これから病院へ運びますので一緒に来て下さい」そう言われ救急車に乗った。救急車では救命措置が施されたが、心臓は停止したままの状態。それから徳さんは、そのまま病院で検視の後、霊安室へ運ばれた。

普通死亡が確認されれば、親族が迎えに来て遺体を自宅に連れて帰るか、葬儀場へと運ぶが、身内と連絡が付かない徳さんは、私が仮の引き取り手となって、葬儀まで付き添うことになった。そこへ役所の人が来て

「ご親戚の方を探しましたが、なかなか見つからなくって、すいませんが火葬まで付き添って頂いて宜しいでしょうか?」私はその言葉に

「良いですよ、この方には大変お世話になって、身内みたいなものですから」

 私は公園でいつも私の隣にいて、いろんな話をしてくれた徳さんに

「苦しかったろ、寒かったたろ、ごめん徳さん俺があの時、一緒に避難させるべきだった」そう言って、冷たくなった徳さんの傍らに座り涙を流した。

そして火葬されるまでの一日間親族も誰もいない遺体安置所で、公園で二人暮らし楽しかったことや、辛かった思い出などを語りかけ、長い夜を過ごした。


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