襲撃
え~~楽しんでいただけてるでしょうか?スギ花粉です。ではどうぞ~~
「必要ない」
今、ソロスは北の首都トーランの城の中庭を歩いている。その横を一人ローブを着ている者がいっしょに歩いている
「ですが・・・・今やあなたは神聖帝国から狙われる身です。レイスが暗殺にくるかもしれません」
「ふん!!そんな事は言われるまでもない・・・北は絶対に忘れない・・・・あの悲劇を」
ソロスは話しかけてくる男を少しうっとおしく感じ始めていた
「我ら北は魔国などよりも、しっかりとレイスの脅威を理解しているのだよ・・」
「・・・・・北の王は・・レイスの本当の恐ろしさを理解しておられません」
「理解しているとも・・恐ろしき暗殺集団だ。だからこうして、城の中でさえ10名の護衛をいつも従えている」
その言葉通り、自分とコーリンと名乗った魔王からの使節団の代表の周りは騎士10人がしっかりと固めていた
彼らは武芸大会などで優秀な成績をおさめたものばかりだ・・・・一人一人が相当の腕なのだ
しかもここは北部の首都・・・トーラン・・・今や地方領主の兵たちも続々と集結しつつある
絶対に安全だ・・・・むしろここより安全な所などないともいえる
「だから、闇の軍・・・・といったか?そんな者たちの助けなどいらない。魔国で魔王の護衛をしていた方がいいぞ」
(まったく・・・魔族の王とは思えないですね・・・・心配性すぎますよ)
「・・・・・・そうですか」
とコーリンと名乗る男は、黙ってしまう
やっと諦めてくれたか・・・・・と安堵のため息を吐く
ドサドサ・・・・・・・・
その時・・・・・後方から、不可思議な音がした
ソロスは不審に思い振り返る
そこには・・・・・・自分の後方を護衛していたはずの3人の騎士が倒れていた
その先には、ローブを着ている二人の者が立っている
・・・・・・・・・・・ソロスは何が起こったのか理解できなかった・・・・・
その二人はゆっくりとこちらに近づいてくる・・・
周りの騎士はその異変に気付いたのか、一人がすぐさま抜剣して斬りかかった
ギン!!・・・・・・だがそれを一人が剣で受け止め、その隙にもう一人が騎士を斬る
ドサっと倒れてしまう
そして…周りで一斉に影が動いた
中庭のどこに隠れていたというのか・・・すでに残りの6人の騎士の周りは15人程が囲んでしまっている
ソロスはそれを見て、やっと理解することができた.自分は…襲われているのだ
この北部の首都…トーランで…しかも城の中の中庭で…自分は殺されかけている
あっという間に4人もの護衛がやられてしまっている
二人はどんどん近付いてくる…
・・・声が出ない・・・・だが・今大声を出した所で間に合うとも思えない
・・・・トン・・・・・と、何か木の棒のようなものが自分の首を叩いた
そのまま、膝から中庭に崩れ落ちる
「・・・ハァ・・・・ハァ・・・・・」
何度も・・・何度も・・・自らの首をさする
(・・・ある・・自分は・・生きている・・・なぜ・・)
「・・無礼をお許しください・・北の王・・ですがこうでもしない限り理解して下さるまいと思いましたので。ご安心ください皆気絶しているだけです」
その時・・コーリンがゆっくりと近づいてくるのが分かった
「彼女たち二人は、闇の軍の隊長を務めているものです。相当の腕がたちます・・・ですが1対1ではレイスに勝てないかもしれない・・それほどの敵なのです」
「・・・・・彼らが…役立たずといいたいのか?」
「いいえ・・北の王を護衛していた騎士たちはみな・・腕がたちます。ですが・・・それは正々堂々の立会いや戦場での事。我らの闘いは、そのようなものではありません。闇から闇へ・・・音もなく・・その敵から命を守るには特殊な訓練が必要なのです・・・特に今は地方の軍勢が集まり、知らない者の出入りが多くなっております・・・一刻の猶予もありません。どうか・・・ご理解の程を・・」
その言葉をじっくりと吟味するソロス。カタカタと手が震えている
「・・・・分かった・・護衛を頼もう。そうだ!!ジョルンも守る必要がある!!。神聖帝国との戦には絶対に必要な人材なのだ!!」
「ご安心下さい・・こちらに来る前に寄らせていただきましたが・・・・さりげなく100名が守っておりました。ジョルン将軍を殺す事は…不可能に近いかと思われます」
自分がジョルンに言った言葉を思い出していた・・・
{気をつけろよ…レイスが狙ってるやもしれんぞ…}
(…甘かったのは私の方という訳ですか)
「・・だが・・いいのか?それだけ魔王の周りの警護が疎かになるのではないか?」
それを聞き、コーリンは可笑しそうにこう言った
「ご安心ください。陛下は…我らが束になるよりも強いですから」
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