名もなき戦士たち
え~~スギ花粉です。今日のは、う~~ん、分かりにくいといえば分かりにくいかもしれません。ではどうぞ~~
・・・・・変わる・・・・どんどん・・・風景が変わっていく・・・・・・・
周りには机が多く並んでいる…がやがやと喧騒がある中
ある集団…というか二人が白熱した議論をしている
「そんな事は不可能だ・・・」
「いいえ!!可能よ!!」
バンバンっと目の前の女性がテーブルを叩いている。
「ありえない・・・大軍にこんな少数で突っ込んで円陣を組むだと??本隊がたどり着く前に全滅してしまう」
「あなたは頭で戦を考え過ぎるのよ!!」
「・・・・・頭でなく、どこで考えるというのだ?」
「荒ぶる魂でよ!!」
それを聞いてやれやれと頭をふる
「・・・・まったく論理的ではないな」
それを隣で聞いていた無精ひげを生やした男が大笑いする。
「ガハハハハハハ・・相変わらずミリア嬢は勇ましいな」
キンっと剣を抜き、ゴ―ンに剣先を向けるミリア
「ゴ―ン・・・次に私をミリア‘嬢’なんて呼んだら・・その舌掻っ切ってあげる」
「や・・やめようよ・・喧嘩はよくないよ」
ピップはオロオロしながら、止めにはいる。
「ガハハハハハ・・怖ー怖ー」
すると、バン!!と扉が開き一人の男が入ってくる
「はいはい・・只今戻りましたよっと」
「セ、セバス遅いよ・・・もう朝だよ」
だがセバスはそんなピップの注意にもまったく耳をかさない。
「おう・・ミリアじゃねーか。相変わらずいい女だぜ」
「残念ね・・あんたなんかまったく好みじゃないわ・・セバス」
二人がいつものやり取りをし始める。
そんな中、ジョルンはじっと何かを考えている
「ガハハハハ・・何考え込んでんだ?ジョルン」
「いや・・・・荒ぶる魂で考えてみているのだが、よく分からんのだ」
「「「・・・・・・・」」」
それを聞いたセバスがゆっくりと一言・・・こう言った
「俺さ・・・ジョルンって本当は馬鹿なんじゃないかって時々思うんだよな」
・・・・・・変わる・・・また・・風景が変わっていく・・・・
ここは、野営地だ。
「「「結婚??」」」
「えへへへへ・・・うん」
とピップは嬉しそうに報告する。それを聞き、バッとすばやくピップに掴みかかるセバス。
「け、結婚だと!!まさか・・・・お前!!」
「えへへへ・・・うん・・ミリアと」
「ば、馬鹿な」
と、セバスはピップから手を離すとそのまま膝から崩れ落ちる。地面に手をつき四つん這いになっている。世界が終ったかのようだ・・・・・
「ガハハハハハハ・・こいつはすげーや!!あの女たらしのセバスが口説き落とせなかったミリアを・・・まさか・・ピップがとは!!」
ゴ―ンはゲラゲラと大笑いしている。そして何かを思い出したかのように言う
「という事は・・・おい!!あの賭け・・やべーんじゃねーか!?おいおい、みんなセバスに賭けてたから・・お前の一人勝ちだぜ!!!・・なぁ・・ジョルン!!」
「私は賭けごとなどしていない。賭博は禁止されてるからな。ただ・・ピップには頑張ってほしかっただけだ」
「ガハハハハハハ・・・真面目なジョルンらしい答えだ!!だが・・どうするんだ?あの大金は?返すなんて馬鹿な事いうなよ・・・・そんな事するくらいなら、みんなでパーっと使っちまおう!!」
ふむ・・・とジョルンは腕を組んで考えている
「・・・そうだな・・ピップとミリアの祝儀という形にするのはどうだろうか?」
それを聞き、ピップが絶叫する
「えーーー!!もらえないよ!!そんな大金!!」
「ガハハハハハハ・・・そいつはいい考えだ!!おい・・ピップ・・もらっとけ・・もらっとけ。ガキこさえたら、金なんていくらでも必要になるんだからな!!」
バンバンバンっとゴ―ンがピップの肩を叩いている
「そうだ・・・ピップ。私も嬉しいんだ・・・もらってくれ」
「ジョルン・・・ありがとう・・本当ありがとう」
とピップに泣きながらお礼をいわれた。
ドン・・・ドン・・・ドン・・・ドン・・・ドン・・・ドン・・・
さっきから、セバスが地面に拳を叩きつけている
(そろそろ・・止めた方がいいだろうか?セバスの拳が潰れてしまう)
ジョルンは、セバスを羽交い絞めにする。
セバスは、「離せおらーー!!」とばたばたと暴れている
「なぁ・・・信じられるか・・俺に家庭ができるんだよ」
「ガハハハハ・・・羨ましいぜ!!あんな美人な嫁さんもらってよ!!」
ゴ―ンはピップに酒を注いでいる。
「式はどこであげるんだ?」
ジョルンは、セバスを引きずって二人の所へ戻る
「うん・・小さな教会であげようと思うんだ・・・みんなも絶対来てね!!」
「ガハハハ!!当然じゃねーか!!」
「・・グス・・グス・・」
「おい・・・セバス・・もう泣くな」
「馬鹿野郎!!ジョルン・・・これはな!!うれし泣きだ・・・馬鹿野郎!!おい・・ピップ!!絶対ミリアを幸せにしろよな!!」
「うん・・・ありがとう・・・ゴ―ン、セバス、ジョルン・・俺・・俺・・」
私たち4人はその夜・・・・・・・・・・・・・・朝まで飲み明かした
・・・・・・・変わる・・・景色が・・においが・・戦場のものへと・・・変わる
「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
目の前からドラグーン王国の兵士達が雄たけびをあげながら突っ込んでくる
私の前には、ゴ―ンが大剣を肩に担ぎ押し寄せる敵を見ている
「・・ゴフ・・俺の故郷は・・俺が守る!!かかってきやがれ!!ドラグーン王国の軟弱共が!!ガハハハハハ・・・この大剣の錆にしてくるぜ!!」
と叫び、先頭を切って突撃していくゴ―ン。私たちの部隊はその後に続き、大軍へと突っ込んでいった。
まるで鬼神のような闘いぶりだった。一振りで数人をなぎ倒し、鎧ごと敵を一刀両断する。
そして・・・・・・・・・・・・・・・・・鬼神はいなくなった。
(ゴ―ン……お前は守り抜いたよ。……お前のおかげで本隊が間に合ったのだから)
・・・・・・・カシャ・・・・・・・・・・・・そこで切り替わる・・・・
私は目の端になんとか捉えた・・・馬に乗り敵陣営に疾駆していく一人の男を。
敵は槍部隊を前衛に集めている。そのまま突き刺さると私は思った。
だが・・・飛んだ!!私は見た・・ありえない事だが激突する寸前、馬上から飛び上がり、敵の槍部隊の頭上を飛び越え、その後ろに控えている弓兵部隊に斬り込んでいった
私は部隊を率いて急いで突っ込んでいった・・・・無事でいてくれと祈りながら
だが、そこにいたのは体中を切り裂かれ倒れる一人の男だった
私はすぐに駆け寄る。周りには手に弓を持った何人もの敵兵が倒れている
「ハァ・・ハァ・・なぁ・・ジョルン。俺はな・・女癖が悪かっただろ?だけどな・・ミリアの事は本気だった。本気だったんだ。後悔なんかしてねーよ。あいつら、弓でミリアを狙いやがった。愛する女の事は・・命を懸けて守るもんさ」
そして・・・・・・・・愛に生きた男はいなくなった
(セバス・・・お前は世界一、かっこいい男だったよ)
・・・・・・カシャ・・・・・・・・また変わる・・・・・・・・・・
私たちは馬に乗り夜道を疾駆している。思いすごしであってくれと心の底から願った。
そして私たちは味方の軍営へとたどり着いた。だがそこは血の海だった。
そこかしこに、兵士の死骸が転がっている。
今日は新月だ・・・真っ暗な中、倒れた多くの松明が地面で小さな光を放っている
そんな中・・・私は探していた人物を見つける事ができた
だが、その腹に一本の槍が深く深く刺さっている。
当然駆け寄り、抱き上げる。
「ははは・・・何が神聖帝国の戦乙女かしら、笑ってしまうわね。あんな奇襲にも気付かないなんて私も耄碌したものね。ジョルン…あなたは優秀よ。あなたとの勝負は……私の負けかしらね?」
そして・・・・・・・私といつも競い合っていた戦乙女はいなくなった
(ミリア・・・お前は私が今まで会った女性の中で一番・・強く気高く美しかった・・・・今さらだが気付いてしまったよ・・私も・・私も・・お前のことが・・)
・・・・・・・・・カシャ・・・・・変わる・・・・・
私は横から急に吹っ飛ばされた。そのまま地面へと転がり、すぐに立ち上がる
そして剣を構えて敵に備える。だが…そこにはいたのは味方だったのだ
そこには、敵の矢で体をハリネズミのような姿にしたピップがいた
私は叫んだ…なぜだ…私などのためになぜ自分を犠牲にしたんだ・・・・と
「仕方ないだろ・・・体が動いちゃったんだから。そんな事言うなよ・・ジョルン。せっかく助かったのに。ごめんな・・・ミリアに・・ごめんって伝えてくれ」
そして・・・・・・・自分よりも他人を気づかう心やさしい男はいなくなった
(ピップ・・お前には言えなかったけど・・ミリアの部隊はもう敵の奇襲を受けて壊滅してたんだ。せめて・・せめて死後の世界で幸せになってくれ)
みな……いなくなった。そして……そして………………私だけが………
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