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FLAGSHIP  作者: ふみ
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005

 サクラだけは理解した様子でカナメを見て、ナデシコの代わりに会話に応じた。


「カナメはゲームで命を奪うことも可能だって考えてるのね?」

「真偽は分かりません。でも、人間に都合の悪い技術の存在だけを否定的に考えるのは危険だと思ってます」

「都合の悪い技術……」

「『ゲームで死ぬかもしれない』という不都合な技術だって、望んでいる人がいれば存在しても不思議はないです」


 三人はカナメが『望んでいる人』と言ったことで明確な悪意を感じていた。『ゲームで死ぬ』ことが『誰かに殺される』と同義になってしまう。


「『人は同じ夢を見ることは出来ない』……か」

「えっ?……何?」

「あぁ、何でもありません」


 カナメの独り言だったが、カナメ以外の誰かが発している言葉のように感じて気になってしまった。


「あっ、あと謝罪なら必要ありませんから気にしないでください」

「でも、私が誘ったからカナメを巻き込んでしまったのよ」

「それでも俺には断る選択肢もありました。断らなかったのは俺の判断です」

「……でも、強引に誘って」

「あなたが強引じゃなかった時の方が少ないと思いますけど」


 それまでは悲しそうな表情をカナメに向けていたが、この一言でサクラは少しだけムッとしてしまった。ユリもナデシコも、二人のやり取りを見ている内に表情が和らいでいる。


「すごい技術であるからこそ、ある程度の危険は覚悟はしてましたから。あまり気にしなくていいですよ」

「カナメは、こうなることを予想していたの?」

「まさか、予想なんてしてません。……でも」


 三人は『でも』の後に続く言葉を待ったが、そこでカナメは黙ってしまった。

 予想はしていなかったが危険があることを覚悟していたことになる。理由は分からなかったがカナメは仮想世界に浮かれていただけの他のプレイヤーたちとは違っていたことになる。


「……私たちが無警戒過ぎたのかな?」

「そうなのかも」


 ユリとナデシコは小声で反省していた。

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