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カナメは街外れにあるログハウスで仲間と合流することにした。このログハウスで仲間たちはカフェの経営を仮想体験している。
詳しいゲーム内容が発表されるまでの時間、プレイヤーたちは初めて体験するVR世界を独自路線で楽しんでいた。これからの冒険を期待してレベルを上げることに時間を費やすパーティーが多い中、カナメの仲間はカフェの経営を選択している。
正確にはカフェ経営を進めていた仲間からカナメは強引にパーティーに参加させられただけだったが、このゲームを継続するには必要な選択になる。
「……戻りました」
営業時間は終わっていたが、店内にいる仲間たちがテーブルを囲んで座っていた。
「あっ」
金髪の女性が立ち上がり入ってきたカナメを見た。
このゲームではオリジナルのアバター制作が禁止されているので、現実世界の姿をトレースしていた。この女性の金髪もモデルのような体形も現実世界と違わない。
「皆さん、こんな時間なのにログインしたままなんですね」
「……ええ、今日の発表について話してたの」
「みたいですね。街中も驚くほど静かでした」
「そう、なんだ。……でも、当然かもれない」
「俺、まだ発表内容を知らないので詳しく教えてもらっていいですか?」
カナメの言葉を受けて座っていた他の三人も立ち上がった。座っていたのは全員が女性であり、カナメは女性たちのパーティーに参加させられたことになる。
「発表内容についてはナビゲーションウィンドウから確認出来るようになってるわ」
「あっ、それを読めばよかったんだ」
金髪の女性を含めてカナメを待っていた四人の瞳が潤んでいるように見えた。
説明を求めたカナメに対しても発表内容を伝えることに迷いがあることを感じてしまう。
「……その前に、まず謝罪をさせてほしいの」
「謝罪、ですか?」
「ええ。知らなかったとは言え、あなたをパーティーに参加させてしまったことを後悔してる。本当にゴメンなさい」