ニポン6歩目 ガッコウへ行こう! 代わりに!
「おはようございます!」
「う……おはよう」
朝、ミオリ様が私に会うなり嫌そうな顔をする。やはり、まだ私はノリオ様のようにはいかないようだ。
「アンタさ」
呼び方もアンタだ。
「毎朝そうやって掃除してたら早く受け入れてもらえると思ってるの?」
ぎくう!
さ、流石、ノリオ様の姉上……。見破られたか……!
私は、ノリオ様の代わりとなるべく家の事をさせてもらっている。
ノリオ様であれば創造魔法というとんでもない魔法でなんでも解決できてしまうのだが、私には出来ない。なので、こうやって身体を動かし働くしかないのだ……!
「すみません……前の私であれば、こんなの一瞬で綺麗に出来ていたはずなのに……!」
「いや、前のノリオは掃除なんてしてなかったでしょうに」
なるほど……掃除という行為そのものを認識させることなくノリオ様はすませてしまっていたということか!
「がんばります!」
「……そ、そう。じゃあ、がんばって」
ミオリ様が顔を引くつかせながら去っていく。
頑張ろう。
勿論、早くノリオ様として認めてもらう為もあるが、何より家族の為に何か出来るのが嬉しくて仕方ないのだ!
「顔、キモいよ」
気付けば、妹君のリオナ様。
「リ、リオナ! おはよう」
「……顔、キモいよ」
いかん、笑っていたようだ。キモいは確か気持ち悪いの略。
いかんな、確かに邪念まみれだった。ノリオ様の代わりとはいえ簡単に家族になろうなどと……。
「ごめん! リオナ!」
「え?」
「気持ち悪かったよな! 不快にさせないよう気を付ける!」
「え? あ、いや、その、なに? ニヤニヤしてたからキモかったわけで。別に今のノリオをキモいとかそういうんじゃなくて……あーもう! わけわかんないんだよ! 急に家事とかし出して。あたしもお姉ちゃんも混乱してんの! 家事は、ありがと……って、お母さんは言ってるから!」
そう言ってリオナ様はお部屋に戻っていく。
よし、がんばろう。
私は不器用だ。ノリオ様のようなすごい魔法も使えない。
頑張ることしか私にはできない。
早く受け入れていただけるようにならねば。
私の乗り越えるべき試練はまだまだあるのだから。
その一つが始まる。
今日から、学校だ!
「あらあらまあまあ、素敵よ。ノリオ。新しい制服間に合ってよかったわ」
学校の制服を着た私を母上が涙を浮かべ見つめて下さる。
ノリオ様の服は私には小さすぎてぴちぴちだったので、母上が新調して下さった。
ありがたい……!
ぴんぽーん。
ぴんぽんだ! ぴんぽんが鳴った!
このぴんぽんに慣れるのも少し時間がかかってしまった。
何もない所から音が出るので、侵入者かと思って破壊してしまった時には本当に愚かなことをしてしまった。
『あの時はマジ大変でしたわー』
私の耳元でそう囁く光は『サブ超賢者』様。
超賢者様の本体は、ユイさまについている。だが、私を心配して下さり、少しだけ分け与えて下さったのだ。
基本的には、超賢者様の使い魔のような存在で、万能ではないが、あの電撃はサブ様でも使えるらしい。
何度もお世話になった。
「はい、ありが……」
『この声はお前にしかきこえねーんだから反応するなまほー』
「あば!」
よし、出かけよう。
「あ、おはよう。レ、レオ君……」
学校の制服に身を包んだユイさまが私を待ってくださっていた。
「おはようございます! ユイさま、制服姿のユイさまもお美しいですね!」
「ぴぎゃああああ」
ユイさまが倒れた!
一体何故!
その時、私の脳裏にノリオ様の言葉が思い出される。
『モブ騎士、高校に行くことになるよな。高校は気を付けろ。あそこは最悪だぞ。悪の巣窟、いわば、魔王城だ』
そうか。魔王の仕業か!
コウコウ……例えどんな悪人がいようとも必ず……!
「ユイさま!」
「ぴゃい!」
「いや、ユイ」
「ぴゃあああい!」
「貴女は必ず私が守る」
「一生……貴女は……私が、守る。ぴゃああああい~」
「ユイ! ユイィイイイ!」
ああ、なんだかユイが幸せそうに涎を垂らしながら瞼を!
おのれ、コウコウ! コウコウ王よ! 呼びにくいな! お前からユイ様を守ってみせる!
ノリオ様の代わりに!
『馬鹿二人を超賢者は守り切れるのか!? 乞うご期待!』
超賢者様が何か言っている! お手数かけます!
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