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ニポン47歩目 自慢された! ヤバいです!

前話でミスがありました。

暮須磨真君はリオナちゃんと同じ年です。失礼しました。

「む、息子のノリオ君? う、嘘でしょ」


嘘です。

レオンハルトです。

だが、勿論名乗るわけにはいかない。


「嘘じゃないですよ。ウチの息子のかわいいかわいいノリオです」


嘘である。

母さんが私の頭を撫でまわしてくるが、私はノリオではない。

まあ、母さんは知っているんだが、知っているからこそ、母さん?

そのちょっといやらしい撫で方はなんでしょうか?


「さ、さば……!」


ボスママが鳴いている。ボスママってさばって鳴くんだなあ。


「へ、へえ~。ノリオ君なんだあ。久しぶりねえ、ノリオ君。ノリオ君って確か獅子王学園だっけ?」

「ええ、獅子王学園に通っています」

「へえ~、ウチの真はエリートの木属高校だけどね」


だから?


どういうことだ?

ボスママがふんぞり返っている。

キゾクだから偉いということか?

まあ、木属高校に行っている人間でとても頑張っている人物を知っているからすごいとは思うが……。

私が考えを巡らせているとボスママが話を続けてくる。


「旦那も○○社で働いていて、空手も凄いのよ」


……この人は何故聞いてもいないボスママの旦那の話をしているんだ?


『マウントとりってヤツですね~』


まうんと?

ヘルハウンドの仲間か何かですか?

ヘルハウンドと言えば地獄の猟犬。

それをとろうとするとは……なるほど!

こういった脈絡のない自慢話をしているのは、近くにヘルハウンドがいると察知し、少し手でもレベルの高い自分たちに意識を向けさせて襲い掛からせようと考えているのだな!

でなければ、意味が分からない!

急によく分からない自慢話を言ってくるなんて!


ヘルハウンドの気配に気付けないとは愚かなレオンハルトォオオオ!

いや、そうなると母さんが危ない。


私は母さんをヘルハウンドから守るべく母さんに抱きしめられている方とは逆の手で母さんを軽く抱きしめる。


「レレレレレレレレレオ!?」


母さんが顔を真っ赤にしてうろたえている。

母さんもヘルハウンドを引き付けるためにボスママが急な自慢話を差し込んできた事に気付いたのだろうか。ヘルハウンドは恐ろしいものな、ふるえて当然だ。


「はあはあ……レ、レオ……」


息遣いも荒い! 不安な気持ちは分かります!


「うふ、うふふっふふふふ……」


急に嬉しそうに笑い出したぁああ! こんらん状態に陥っているではないかぁああ!

ああ、愚かなレオンハルトォオオオ! お前の弱さが母さんを不安にさせているっ!


「ちょ、ちょっと、何急にいちゃつき始めてるのよ、うらやま……じゃなかった非常識でしょ!」


ボスママが急に怒り出した。なるほど! そうやってヘルハウンドを呼び出そうと!


「なんなのよお! そんなイケメン……まあ、いいわ、わたしってさばさばだから。それより、鈴木さん? イケメン息子くんだから注意した方がいいんじゃない? 前の旦那さんみたいに裏切られないようにねえ?」


母さんの震えがぴくりと止まり、抱きしめていた腕に力が入る。


「かわいそうにねえ、鈴木さん。旦那さんと別れてからお仕事変わって忙しかったんでしょう。ママ友の集まりとかにも一切来なかったし……あれから、私も○○社っていう一流の美容系会社のオフィスで働くようになって、息子も木属に合格して、旦那も昇進したのよ」


ボスママがよほどヘルハウンドをとりたいのだろう。自慢話をまた差し込んできた。


「ま、精々自分磨きなよ。息子さんにも離れられないようにね」

「ご心配なく」

「さば?」


私は母さんの肩にそっと手を置き、出来るだけ安心させてあげられるように微笑む。

そして、ボスママの方を見て、口を開く。


「私は母さんを裏切りなんてしません、絶対に! だって、私は母さんが大好きだから!」


私の母さんへの信頼を口にする。

これはヘルハウンドをとるための自慢ではない。純粋な事実だ。

私は、私を受け入れて下さった母さんを守る。

母さんの方を見ると、母さんが苦しそうに震えていた。


「か、かあさん!?」

「ヤバいわ、生んじゃうかも……」


なにをぉおおおおお!?

母さんが何かを産もうとしている! 何故、何が、どうして、そうなった!


「レ、レオ……私も、大好きヨ」


母さんがヘルハウンドの目をしている。獲物を逃がさない目だ。かあさん?


「はぁああ!? なんなの? あんた、マザコン? あーあー、やだやださばさばしてないわねえ。ウチの息子はその点、さばさばエリートよ、ちょっとはみならいなさ……」

「あー、やっと見つけたー。おかーさん」

「さば!?」


ボスママが喋っている途中で飛び込んできたのはリオナとミオリ姉さんだった。

二人とも顔が微笑で固定されている。こわい。

母さんも二人の何かに気付いたのか顔が強張っている。


「あ、あら、ミノリとリオナじゃない……? ど、どうしたの? 急に?」

「わたしが特別授業で、姉さんが道場に行ってる間に、レオお兄ちゃんを連れ出してデートなんてほんと油断ならない策士ね。おかーさん」

「マジで、隙あらばなんだから、しかも何レオの腕を胸で挟んでんのよ。いやらしい」


リオナと姉さんが母さんを睨んでいるが母さんはいつものウフフ笑いに戻る。


「うふふ、だって、レオが嬉しそうなんだもの。つい、ね」


そして、私の腕を更に胸で挟んでくる。

かあさん!? かあさぁあああああああああん!

いかんいかんいかんぞ! レオンハルト!

心を無にしろ! 心を無に! むに。むに……むにむにしないでおかーさああああん!


「鈴木リオナ、さん?」


そこに何故か口をパクパクさせている真殿の声が。


「あ、暮須磨君、どうして……? そっちは、暮須磨君のお母さん?」

「あら、その制服は木属なのね。真のお知り合いかしら」


そう。リオナは進学校である木属だ。だから、リオナを見て木属が凄い場所だという事はしっている。


「あ、はい……っていうか、そうだ! 暮須磨君大丈夫!? 先生カンカンだったよ! ただでさえ暮須磨君、成績ヤバいのにこのままだと今度また赤点とったらもしかしたらウチで初めての留年かも……って」

「さば?」


ボスママが呆気にとられ、真殿が顔を青くする。


「ま、まことちゃん? あんた……成績ヤバいの?」

「い、いや、違うんだよ。ママ……その、なんだろう、つまり、まあ……そういう解釈も出来るかな」

「さばばあああ!」


もはや、サバババアと化したボスママが怒り狂っている。

そう、今日は特別授業があると聞いていた。真殿は行かないのかと疑問に思っていたが、どうやらさぼっていたようだ。

怒り狂うサバババアの元に姉さんが近づく。


「あのー」

「さばあ!?」

「えーと、さっきの話を聞くに、暮須磨さんって、あの、暮須磨勝さんの奥さんですよね?」

「さばあ!」

「あ、そうですか。あの、あたし、道場でお世話になってるというか、同じ道場の者なんですけど大丈夫ですか?」

「なにがさばあ!?」

「暮須磨さん、さっき盗撮で捕まってましたよ。女子更衣室を盗撮しようとしてたみたいで」

「さばあ?」


サバババアが顔を真っ白にして驚いている。


「さ、さばば……なんで、こんな……私だけがこんな目に……は、はん! どうせ! あんたん所も問題だらけの家庭なんでしょ! この息子だってどうせろくなもんじゃないんでしょうがああ!」


サバババアが私を指さして叫ぶ。

確かに、私は大した人間ではない。ノリオ様に比べれば凡人だ……。


「ちょっと……」


母さんの腕が、冷たい。白くて綺麗な母さんの手だが今は雪女のように冷たい。

そして、


圧。


圧倒的圧。


こわい。


「私の事はどういわれても構いません。ですが、この子のことを馬鹿にするというのなら……徹底的に戦わせてもらいますよ、お掃除の暮須磨さん」


お掃除の暮須磨さん?

私にはなんのことか分からないがサバババアには心当たりがあったようでぎくりと肩を震わせた。


「な、何故それを……?」

「一流美容系会社のオフィスにいっているのは嘘じゃないみたいですね。ただし、清掃員として……私、元々はそこの会社に居たんですけど、旦那と別れた時にやめたんです。とはいえ、仲のいい子はいっぱいいるし、戻ってきてほしいと言われていたんです。前の旦那との思い出もあるから断っていたんですが、レオのお陰で吹っ切れたんで今の職場を辞めて、戻ろうかと」


そう、今日は母さんの新しい職場での服を買いに来ていた。

それを私にも選んで欲しいと。何故かパジャマやら下着も好みを聞かれとっても恥ずかしかったが!

母さんはそんな顔を赤くした私のことをちらりと見て微笑むと、サバババアに向かって冷笑を浴びせる。


「それで、話を聞いていたら、最近、さばさば五月蠅い清掃の方がいるって……もしやと思って誘導してみたらやっぱりあなただったみたいですね」

「マ、ママ……ママは正社員じゃないの?」

「さばばばば」

「清掃の方が、一流美容系の社員が、上下なんて思わないし、興味もありません。ですが、あなたは許しません。私の息子を少しでも馬鹿にしようとした以上、私の中では……敵です」

「さばばば……な、なんで、すぐに教えてくれなかったのよ」

「別に自慢するような事でもないと思っていたんですが、態々マウント取りに来ようとされていたみたいなのでお伝えしただけです。私の自慢はここにいてくれていますから。

おうちの子とも学校のことも一生懸命やって正直に話してくれて私の事を大好きと言ってくれる自慢の子が」


そう言って母さんは再び私に抱きついてくる。

すると、姉さんやリオナが必死に剥がしにかかり、母さんはべーと舌を出す。

そうだな、この仲の良い家族が私の自慢だ。


「レオの貞操の危険を感じる!」


そうだな、何故一瞬にしてユイさまがここにいたのかは考えないようにしよう。

どんどんユイさまの能力が進化している。

すごいです! ユイさま! ユイさまは世界の宝! 誇りですとも!


「ふふ……そうですね、私もみんなが大好きです」

「あばあああ!」

「レオ……産んでいい?」

「そ、そろそろ本格的に保健体育について学ぶべきかしら」

「ちょっとハネムーン場所の下見してくる」


みんながこんらんしている。

あれ? 私なにかやってしまいましたか?


ユイさまは鼻血を出して倒れるし、母さんはおなかをおさえてひっひっふーと呼吸してるし、リオナがすまほで何か肌色の本を購入しようとしているし、姉さんが旅立とうとしていた。


「さ、さばばば……なんなのよ! なんなのよお! あんたら! さばばばあああああ!」


急に怒り出したサバババアが突っ込んできた!

マズい!

私は、咄嗟に四人を引きはがす。だが、出来たのはそこまで、サバババアの突進を不安定な態勢で喰らいよろめいてしまう。

よろめいた先には。


「プアーン!」


大きな鉄猪、トラックが……!







気付けば目の前に白い服のおじいさんが。


「おお、死んでしまったか、鈴木ノリオよ。じゃが、すまん! この死は予定外なのじゃ! じゃから、お詫びに異世界に転生させてやろう!」


……どういうことですか?


お読みくださりありがとうございます。

また、評価やブックマーク登録してくれた方ありがとうございます。


最近ふと書いた短編が思った以上に呼んで頂けているのでもしよければ…

囮女タンクレディ~デブスはいらないと追放された女重騎士は退職金代わりのビキニアーマーで身も心も軽くなり追放してきたパーティーを軽々飛び越える~

https://ncode.syosetu.com/n6155ih/


5000字程度なのですぐ読めちゃいます!

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